まとまった雨が降ったのは一昨日のこと。 昨日の昼過ぎには太陽が顔を出しましたが、この季節のまとまった雨は、水辺の生きものたちが動く観察のチャンスです。 仕事帰り、ひさびさに「クリームオヨギデカミミズ」を探してみました。 それにしても、この3〜4年で出会える生きものがとても増えました。生きものたちは季節のめぐりにとても敏感で従順ですから。また、観察を続けるとともにさまざまな知識を得ることで、さらにさまざまなものが見えてきたようにも思えます。 この日は春になって活発化するハサミムシが、垂直護岸の狭小エコトーンで水生動物であるヨコエビを捕らえていました。普段は水中の中にいるヨコエビですが、雨が降り護岸が濡れると、なぜだか這い上ってくるのです。川ミミズと同じですね。 ヨコエビさん。 ハサミにガッチリつかまれて、むしゃむしゃと食べられてしまいました。 ハサミムシは思っている以上に猛々しい生きものです。 もう少しすると交尾して、メスは子育てに入るのだそう。 ヨコエビと川ミミズ。これは環帯が出ていない幼体です。おそらくは表層性のフトミミズ。ヒトツモンミミズあたりなのではないかと思われます。 成体は7月ぐらいに大量に発生しますが、少しずつ成長している季節であることを感じます。彼らの早春から夏にかけては少しずつ見えるようになってきました。 こいつはおそらくキクチミミズの幼体。これも7月に大量発生して、お盆過ぎにはほとんどいなくなってしまいます。これも一年生の表層生種かと思われます。ハサミムシのご馳走ですね。 少しずつ見えるものが増えてきています。 でも「クリームオヨギデカミミズ」は見つかりませんでした。 「マッチョ虹色川ミミズ・タイプ1」(おそらくはヘンイセイミミズ)が川底に這い出す姿を見ようと別の川へ。 15㎝ぐらいのやつがいました。いつもいるわけではなく、観察するにはタイミングがあるのですが、それもなんとなくわかってきたように思います。 そして今朝、また別の川へ。 コサギが小さな魚を食べていました。 おそらくはボラの幼魚だと思います。 カワウと一緒にも。もう少し大きな魚が狩られていました。こっちはオイカワかな? ニゴイの産卵も終盤。このように水深のある淵に溜まっているのは産卵を終えた魚たちでしょう。明後日に新たな群れが来なければ、もう今年は終わりかな・・。 この季節なら必ず観察することのできるアカミミガメ。6月からアメリカザリガニとともに特定外来生物に選定されます。飼っているカメを川に放すのはもちろん、売買など、さまざまな規制がかかります。ただ、アカミミガメとアメリカザリガニは、例えばブラックバスやブルーギルなどの特定外来生物選定種とは違い、特例で飼育は可能です。最後まで面倒を見られるのなら、飼ってもいいというわけです。 そして川で捕まえたカメやザリガニをその場に放す再放流(さいほうりゅう)には規制がかけられません。キャッチ&リリースなどとも言われますね。なのでザリガニ釣りをしたりガサガサでアカミミガメを捕まえても、その場にすぐ放せばOKです。 さてこのカメですが・・ だいぶ背中がもふもふでした。アオミドロなのかなんなのか。川ミミズでも棲みついていそうなもふもふ・・。ウミガメの甲羅にはフジツボなどの生きものが棲みついてますが、アカミミガメも調べたら面白いことがわかるかもしれませんね。 そして嬉しかったのがこいつです! なんとクイナ! この川では初めての出会い! 大好きな鳥ですから、とても嬉しいです。 何を食べているのかな? アメリカザリガニかな? 流れてくるヒゲナガカワトビケラとかも食べているのかな? 川ミミズも食べているのかいな? いろいろな妄想がもくもくと。 いつもの場所にはカワモズクもありました。 満足して事務所へ向かうと・・ なにやらこちらも賑やかです。 一昨日のまとまった雨でガタが開いたんですね。 ガタ開きにつきましては、こちらをご参照ください。 やっぱり始まってました。 コイのハタキ(産卵行動)です。 今年もまた、賑やかな季節がやってきました。 思えば5月は梅雨前にもかかわらず、まとまった雨が多いんですよね。その雨に期待・・というか適応してきた生きものは、特に川っぷちにはたくさんいるような気がします。 ただ、ガタは三面護岸の人工水路。そこだけが計算外なのでしょう。このようにガタ開きのあとは、取り残されたコイやフナが累々と・・。 ガタに降り立つ季節がやってまいりました。 なかなか普段は触れることのできない大型魚と戯れることができます。 でかいフナ。 でかいフナ。 太いフナ。 あちこちに・・ 長いコイも(ちょっと注目しています)。 ゴツいコイも。 いやあ、夜朝と川っぷちの生きものと戯れることができました。それもこれも溜め込んだ知識と経験のおかげでしょう。見えなかったものが見えるようになるのは、なんと素晴らしいことでしょう。 ・・と、ここまで書きながら、自分の中では痛いほど気づいていることがあります。それは・・ 「見えなくなったものも多い」 ということなんです。 知識と経験により、効率よく生きものたちと会えるようになるのは良いのですが、そうなると自分の行動に無駄がなくなるんですよね。無駄がなくなるということは、幅がなくなるということです。 特に感じているのは、それこそ「クリームオヨギデカミミズ」です。彼らはまさに神出鬼没でありました。歩いて歩いて、ようやくぽこっと一匹だけ現れる、そんな出会い方をするミミズです。 今年もすでに何度か狙って川に入っておりますが、まだこれぞ!という姿はお目にかかれておりません(一度だけ幼体らしいのを冬に見たぐらい)。 自分の中で「これはないだろー」なタイミングだったり場所だったりにいるのかな、と思います。 きっと、「見えるようになる」ということは、「見えなくなる」ってことでもあるんでしょうね。〈若林〉□
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