暑いですね。 雨が降らない日は暑い。暑くない日は雨が降っている。 そんな初夏の埼玉南部です。 先日、大雨で冠水した川辺に生える広葉樹(クヌギ、エノキ、そしてシデの仲間?)で初めてミミズの木登り行動を観察して以来、緩やかにずっと気になっています。 なぜ、彼らは木に上るのだろうかと…。 考えられる一つは、水浸しになった地面からの逃避です。 これはまた別の場所のオニグルミですが、こんな感じに大水で水位が上がり、冠水すると、ミミズたちは流されまいとするのか、もしくは苦しくなるのか、地面から這い出してくるのかもしれません。 雨が降ると、ミミズが地面から這い出すことは広く知られておりまして、その理由の一つとして言われているのは、降雨によって土壌中の二酸化炭素が増え、苦しくなったミミズが地表に這い出てくるというものです。 実はこの時も、そうなのかもしれない・・と思うような観察もしていました。 地面にできた水たまりに、多くのミミズが這い出していたのです。 ミミズの多くは、その姿形からノラクラミミズではないかと思います。 こんなでかいやつも。さらにでかいやつも。 そしてそのうちの3割ぐらいは何者かにちぎられ殺されていました。さらに2割ぐらいは、何らかの理由で水中で死んでいました。 あくまで印象に過ぎませんが、苦しくなって仕方なく土の中から這い出してきたように見えました。 ただ、それならば這い出して木に登ったとしても、そこまで高く登らなくても良いのではないか?とも思います。ところがこの時、木に登っていたミミズの半分ぐらいは1mを超える高さまで登っていました。高いところでは1m80㎝ぐらいまで上っていたかと思います。 そんなに登らなくても良いのでは・・とも思うのです。 でもこの行動は、何も珍しいことではないようにも思えます。 2面護岸の川で観察していると、ミミズは雨で濡れた垂直護岸をスイスイと上っていくのです。 こんな感じ。 この護岸這い上りが何を意味しているのかは分かりません。時折、護岸の溝に生えている苔をむしゃむしゃやっていることもありますが、そんなものはないところでも上ります。まるで上へ上へ這い上るようプログラミングされているかのように・・。 さておき、昨晩ちょっとだけ雨が降りましたので、朝方にまた見に行ってきました。樹皮が濡れていたら、そこにミミズが這い上っていないかと。 樹皮は一部濡れていました。 そもそも樹皮が濡れていないと、ミミズは物理的に這い上ることができないのではないかと思います。 こっちも一部が濡れています。 ただ、悪いことに、太陽が顔を出してしまいました。 基本的にミミズは光を嫌いますので、太陽が出ている中を上っているとは思えません。先日、木登りを見た時も、30分ほどすると雲間から太陽が顔を出し、すると途端にミミズたちは樹皮上から姿を消してしまったのです。 ヤスデはいました。 ヤスデも湿っているところを好んでいるようです。 このように樹皮の隙間にも。 さらにはカタツムリ。2匹のヒダリマキマイマイが交尾をしていました。カタツムリはミミズと同じく雌雄同体で、互いに精子の入ったカプセルを交換するのだとか・・。 謎の卵も。 カミキリムシ。 そして木の根元には、冠水した時にやってきたと思われるヒラタドロムシの幼虫が流されて溜まった水草や落ち葉にへばりついていました。 ナメクジは案外、乾いたところも平気みたい。 葉影にはクモも。 残念ながら、ミミズは見ることができませんでした。 樹皮がしっかり濡れた夜でないと、見ることはできないのかもしれません。 私の妄想では、この辺りの木にミミズが這い上るのは、なにも地面が水浸しになった時だけとは思いません。 ミミズには2つのスイッチがあるのではないかと思っています。 ・雨を感じると動き出すというスイッチ ・取り付いた壁が濡れていたら上を目指すというスイッチ このスイッチの意味の一つは、水没して苦しくなることからの回避なのかもしれません。洪水などに流されてしまうことからの回避なのかもしれません。 ただ、スイッチにはもう一つ理由があって、それは分散しようとする本能に基づいたものなのではないかと・・そんな妄想を膨らませています。 ミミズは非常に大食漢ですから、同じ場所にずっとはいられないのではないでしょうか。いや、いられる場所もあるでしょう。そんなところのミミズはもしかしたらあまり這い出したりもしないのかもしれません。 一方、餌が元々少ないような場所(例えば川の水中の砂利の下とか・・)では、チャンスがあれば、どんどん動いたほうが有利なのかもしれません。 妄想はつきませんが、いずれにせよこれから梅雨入りです。まずは地面がヒタヒタになっていない状況でも樹皮が濡れた夜ならばミミズは木登りをするということを、観察してみたいと思っています。〈若林〉□
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