昨晩から今朝にかけてまとまった雨。

本当は暗いうちに観に行きたかったのですが、仕事前のひとときという常識の範疇にとどめ、少しだけ濡れた樹皮を観察に行きました。ミミズの木登りが観られないかと思いまして。

数日前の大水で地面が冠水したタイミングにミミズが木登りをするのを観てから、気になっているのです(その時の様子はブログ【木登りミミズ!】をご参照ください)。

こんな感じに濡れた樹皮を這い上っていたのです。この時も朝方でしたから、条件が整えば夜じゃなくても上るよう(ただ太陽が顔を出したタイミングでミミズは姿を消しました)。

今朝の樹皮。ばっちり濡れておりました。ヤスデとナメクジ。

なかなかたくさんいるヒダリマキマイマイ。

スジブトハシリグモ、でしょうか?

何者でしょう・・。糸で繭?を作っていました。

ダンゴムシは雨宿り。

ミミズはいませんでした。

この木はおそらくハンノキ。ほかにエノキ、クワ、オニグルミがあります。

一つ前のブログで、なぜミミズは木に上るのだろう?と考えました(その時のブログ【彼らはなぜ木に上るのか?】をご参照ください)

ミミズには次の二つのスイッチがあるのではないか?と考えています。

①雨を感じると動き出すというスイッチ

②取り付いた壁が濡れていたら上を目指すというスイッチ

理由は定かではありませんが、この二つのスイッチがミミズの多くに備わっているのでは・・なんてことを妄想しています。

先のブログでは「分散するため?」なんてことも書きましたが、多くのミミズの場合、分散よりも、居心地の良い場所にいたいがための移動なのかもしれません。

川辺でミミズが多い場所は、こんなところです。

ザ・エコトーン。水中から岸への移行帯です。川ではこんなところにたくさんいます。湿っているけど水中ではないところ。もちろん水中にもミミズはいるのですが、個体群の中心部はこのエコトーンにあるような気がします(もしかしてもっと陸側にはさらにたくさんいるのかもしれませんが、そこは調べ切れておりません…)。

つまり私が「川ミミズ」と読んでいる川の水中にいるやつは、エコトーンにいる「本体」から、少しはみ出した奴らなのではないか・・なんてことを考えています。

で、このエコトーンですが、当然のことながら、水位が変わると、その位置が変わります。

大雨などで水位が上昇すると、それまで水に使っていなかった陸地が水没しますので、水と陸地の境界はもっと上の方に移っていくことになります。先日の大雨はさらに増水したため、陸地の樹木まで冠水することに。その一度は冠水した樹木を上るミミズを観察した、というわけです(観察した時には水は引いており、木が生えているところは一部水浸しではありましたが、多くは陸地に戻っていました)。

で、木に上ったミミズですが、こんな感じだったのではないかと妄想を膨らませています。

水位が上昇と共に、エコトーンの境界にいたミミズの個体群の「本体」が少しずつ陸の高い方へ移動して、冠水した木の周りに集まり、ついには木をのぼり出したのではないか?と。

①雨を感じると動き出すというスイッチ

②取り付いた壁が濡れていたら上を目指すというスイッチ

この二つのスイッチが発動して。

なんとなく・・ですが、木登りをしたミミズがいつもその木の下にいたのかといえば、違うような気もするんですよね。とっかかりを求めて木の周りに集まってきた感じがありました。木登りをしていたミミズはその中の一部でしたが、元々の母数が多かったため、何匹も上っていたのかもしれません。そして曇り空とはいえ朝方に上っていたのも、母数が多かったからではないかと。

ですから、木が冠水しない程度の「平常時」に、果たして樹皮が濡れたぐらいでミミズがどれほど木を上るのかは、怪しいところです。それでも、冠水した時に比べれば数は少ないでしょうけど、上るやつはいるのではないか・・というのが、今の私の見立てです。

①と②のスイッチがオンとなることにより、特にそのミミズ自体が何をしたいというわけでもなく(?)木登り行動を発動する奴はいるのではないかと・・。

それは川の水中を這う「川ミミズ」とも、近いものを感じます。多くのミミズがそうはしなくても、川を泳ぐ奴もいれば、木に上る奴もいるってことです。

そんな奴らに注目をしています。〈若林〉□

 

【お知らせ】川辺の自然観察をまとめた一冊、『武蔵野発 川っぷち生きもの観察記』発売中です!(アマゾンの販売ページはこちら

★RIVER-WALK Vol.1~Vol.3発売中です!★