昨日は、5日ぶりぐらいにまとまった雨の降った埼玉南部。雨が最も強まったタイミングは、日没直後の19時前後でした。

ならば…と、近所の川へ、木登りミミズを探しに出撃してきました。

場所によっては、ご覧の通りに樹皮に薄い水の膜ができるぐらいの、時折の強い降り。でも台風3号の時のような冠水ではありません。あくまでも普通の雨ではあります。

もはやおなじみのナメクジ。これはクワの樹皮上です。私がミミズが上りやすい木として注目しているのがこのクワなのです。

ナメクジはいろいろ見ていると数種類いるみたいで、これはこれで和むというか、癒される存在なのですが、目当ては違います。

こちらはオニグルミの樹皮を上るナメクジ。オニグルミはクワに比べるとツルツルしていて、ナメクジには上りやすく目に映ります。もう少しザラザラして象の肌のようなエノキもナメクジは上りやすいようで、たくさん這い上っています。

10年後が楽しみな木の股に挟まったオニグルミ。

小さな甲虫も。

ヤモリもいました。

フレッシュなセミの抜け殻も。

ん?

いました!! 数日前に見たやつと同じ種類に思えます。クワの樹皮。6㎝ほどの、おそらくはフトミミズ科の幼体です。大きさはそう、サクラミミズぐらいでしょうか。

地面から30㎝ぐらいだったかな?

やっぱりクワがいいのかな?

その後しばらくクワ、オニグルミ、エノキ、サイカチ、あとちょっとわからない小さな木を探して歩きましたが、見当たらず。やはりそんなにたくさんいるわけではないみたい。

しばらくナメクジとヤスデばかりを見ながら彷徨いました。木の股にはガガンボの幼虫もいました。

カタツムリも。

そして、とあるクワの木で、私はさらなる目撃を果たしたのです。

こんな感じ・・(これはちなみに観察後に撮影したものです)。

こちらが発見時の状態。わかりますでしょうか。

クワの木の股にある、若干朽ちかけた樹皮の隙間に頭を突っ込んで、尻尾側を覗かせていました。これ、シマミミズではないでしょうか? 大きさは全体が見えなかったので推定ですが、10㎝ほどはありそうでした。

光を当てると左側に、樹洞の奥にも体の一部が見えます。

なんと高さは1m以上!

いや、もしかしたら雨が降ったタイミングで地中から這い上って、木の股に至ったのかもしれません。ですが、なんとなくですが、彼は樹皮の中に暮らしていて、この雨で少し外に出てきたのではないか・・なんてことを思いました。

シマミミズはツリミミズ科のミミズでして、ツリミミズ科のミミズの中には朽ちた木の中に暮らすものがいるそうです。もちろん、元々は地中から這い上ったのだとは思うのですが、何らかのタイミングでここに棲むことに決めたミミズなのではないかと、そんなことを思いました。

いやー、すごい観察をした。すでに服はパンツまでびしょ濡れですが、満足です。

ところが、これで終わらなかったのです・・。

クワの木の場所から少し離れたところに、気になっているサクラの木があったので、そちらも帰り際、少しだけ見てみることにしました。すると、なんと、驚いたことに・・。

おいおい・・。でかいぞ。おそらく15㎝ほどのフトミミズでした。地上1.7mほどある木の股から顔を覗かせていました。もっとじっくり観察したかったのですが、光を当てたことで嫌がり、木の股に引っ込んでいってしまったのです。

さらにその木の裏側に回り込むと・・。

これはー!! これも15㎝以上。独特の縞模様は「クリームオヨギデカミミズ」にそっくりです。おそらくブラックライトを当てればビカビカに輝くことでしょう。ですがこれはきっとクリームではありません。クリームは環帯の境目がもう少しぼんやりしていますし、その後側にぼんやりと白い斑紋がありますから。これはまた別の色白のミミズなのでしょう・・。

地表からの高さは50㎝ほど。こいつは光を当てると嫌がって後ずさりし、そのまま地上の土の中に潜っていきました(ちなみに後ずさりは見ないことはありませんが、川ミミズ観察ではあまり見られない行動なので、少し意外な感じがしました)。

一本目の桜で大きなミミズが2匹、這い上っていたのです。

これは・・ものすごい数のミミズが上っているのでは・・。

そんな期待と不安?を抱えながら、他の木を見てみると・・。

 

なんといないのです。たまたまだったみたいなのです。

ミミズ観察にはこんなことがよくあります。なんなんでしょうね。

それでもかなりの数のサクラを見て回ると、もう一本、2匹のミミズが這い上る木を見つけることができました。

その一つがこちら。地上から1.2mほどでしょうか。

私が「マッチョ虹色川ミミズタイプ1」と呼んでいる、ヘンイセイミミズにも似たミミズ。全長これも15㎝ぐらいでしょうか。

さらにその裏には全長10㎝ほどの色白のミミズ。これは今見ると、環帯の後側に白い斑紋もあるので、「クリームオヨギデカミミズ」っぽくもありますね。でも大きくはありませんでした。そして光を当てると地表1mぐらいのところからポトリと落ちて、そのまま消えてしまいました。

さらに別の木の根元で、6㎝くらいの小さく細いミミズも。でもこれはクワで見たやつとはまたちょっと違う印象。いずれも種は断定できず・・。

それにしても面白いのは、いる!と思いきや、ほとんどいないこと。それでもいること。おそらくですが、同じ種類の木でも、その中にミミズが好む木の状態があるのではないかと思います。それはクワでもサクラでも・・。

木をもう少し理解してみたくなってきました。〈若林〉□

 

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