埼玉南部、昨晩はものすごい雷でした。しばらく緊張の途切れない時間が続き、寝ているのに疲れました。

さて。川ミミズの話の続きを少し。

春に(おそらく)ヘンイセイミミズがたくさん現れていた小さな川で、今は(おそらく)フトスジミミズがたくさん現れている…と、昨日のブログに書きました。

念のため、夜の這い出しを観察に行ってみましたところ・・。

いました。(おそらく)フトスジミミズです。長さは10㎝ちょっとかな。

こっちにも。

これは幼体か?

いるわいるわ。

大部分は成体のよう。

岩の上に出ているやつや・・

壁を這い上っているやつも一匹。

います。

全部で16匹観察することができました。この日は他に観察できたミミズはゼロ。

7月初旬の今、この川の河床に這い出しているミミズの多くは(おそらく)フトスジミミズです。

同じ川で2〜3月には、(おそらく)ヘンイセイミミズが最も多く河床に這い出しておりました。

 

こんなやつです。

2〜3月は、ほぼ9割はこいつでした。

たくさんいたんですけどね。

これらがいろいろと示唆することはありますが、私が観察した限り、近所の川において確かなことは、次のことです(※種は確定できませんが、便宜上、ここから先、(おそらく)は省いて書き続けます)。

2月中旬から3月下旬に川を這う大部分はヘンイセイミミズ。

6月末から7月頭に川を這う大部分はフトスジミミズ。

ヘンイセイミミズは成体や幼体で冬を越す「越年生」のミミズ。

フトスジミミズは卵で冬を越す「一年生」のミミズ。

これまでの観察から、ミミズが河床に這い出すのは、ある程度成長してからではないかと考えています。別の川では6月末から7月にかけてキクチミミズが二面護岸の湿った壁に大発生します。ほとんどが成体で、幼体もいますが、それは成体と同じぐらいの大きさにまで成長しています。明らかに小さいやつはもういないのです。

では、キクチミミズは6月末になると、突如川に現れるのでしょうか? 

これまではそのように考えていました。ですが今年、4月にはすでにキクチミミズの幼体が川にいることを観察することができました。ただ、無防備に這い出している数は明らかに少なく、大部分は護岸の隙間や河床の砂利中に潜んでいるようでした。

そして今、大きく成長したヘンイセイミミズが見られなくなった川で、4㎝ほどの、おそらく幼体ではないかと思わしきミミズがいます(確かではありませんが体型から推察しています)。ただこれらは、夜も河床には這い出してはいないようでした。日中に砂利を掘って見つけましたが、少なくても夜に這い出しを見つけることはできていません(まだ1日しか見てませんが・・)。

ヒトツモンミミズが別の川で急にたくさん現れる(河床に這い出す)ことや、春の一時だけ這い出す「クリームオヨギデカミミズ」も成体もしくはそれに準ずる大きさにまで成長した幼体であることを考えると、河床に這い出すのは、成体もしくはもうすぐ成体になるようなサイズなのではないか?・・なんてことを考えています。

この川のヘンイセイミミズの一年を妄想してみます。

2〜3月、夜間に河床に這い出してくるヘンイセイミミズは、その行動も手伝って?配偶者を探し、交接して、卵胞を産むのかもしれません。ミミズの場合、単為生殖の場合もあるので、あるいは交接とは無関係かもしれません。ただ、6月末にはいなくなってしまうことを考えると、3〜5月ぐらいには産卵期があるのではないかと思っています。6月末に4㎝ほどに成長したやつがいることを考えると、2〜3月にはすでに卵胞を産んでいるのかもしれません。春に生まれた幼体は、秋ぐらいまで砂礫の底に潜ったまま暮らしているのではないでしょうか? 河床に出てくれば、アメリカザリガニやドジョウ、そしてアメリカツノウズムシなど、恐ろしい天敵がたくさんいますから。そしてある程度大きく成長した秋口になると、時折、這い出しては食べ物を探すのかもしれません。そして時折、河床に出ては移動しながら食べ物を探し、また砂礫中に潜ったりしながら、冬を越すのではないでしょうか。

とはいえ、7月初旬から翌2月にかけては観察をまるでしていませんので、あくまでも妄想です。もしかしたら8月ぐらいにはまた現れるのかもしれませんし、秋になっても現れないかもしれません。今年は定期的に観察して、そのあたりをつかみたいと思っています。

ヘンイセイミミズが河床に這い出したり、あれほどいたやつが今、いなくなっていることの原因として、食べ物のことを考えています。食べ物とは落ち葉です。

事務所で川ミミズを飼育して初めて分かったのですが、ちょうど良い具合に腐った(分解の進んだ)腐植って、常に同じ場所にあるわけではないのです。あくまでも私が餌を拾っている一つの川に限った話ですが、晩秋に一気に木から落ちて供給された葉は、川の中で1カ月もするとミミズのいい餌になります。水の中は分解が早いんですね(水生昆虫や水温によると思います。この川は湧水豊富で冬でも水温が10℃以上あり、カワゲラがたくさんいます)。ところが4〜5月ぐらいになると、川の中の腐植は分解されてしまったり流されてしまったりして、だんだんと少なくなっていきます。一方、陸地に落ちた葉の分解は、川よりも遅いので、4〜5月でもだいぶ残っています。エコトーンのある川ならば、これらが少しずつ氷河のように水中に流れ込み、そこがいい餌場となります。ただ、私が観察している小さな川は二面護岸河川なので、エコトーンがほぼありません。こうなると、川の中の餌は、4〜5月ぐらいに一気に乏しくなってしまうのではないかと思います。

もしかすと、餌不足によって、成体やそれに準じるサイズの幼体は、移動して姿を消してしまうのかも・・なんてことも思っています。

卵胞から生まれたばかりの幼体は小さいですから、餌が少なくてもいいのかも・・とか。大型の奴らは、新天地を求めて下流へと分散していくのかも・・とか、そんなことを考えています。

 

と、あれこれ考えているのですが・・では、なぜフトスジミミズはこの時期(6月末〜7月頭)に、この川の河床を這い出すのか? そもそもフトスジミミズは、元々卵胞の頃から、この河床の砂礫底に暮らしていたのだろうか? それがそこそこのサイズになった夏に、河床へと現れるのだろうか? もしくは、元々川の中にはおらず、林から落ちてくるのかも・・? 

確かなことはきっと、いつまで経ってもわかりませんが、まずはこの夏から秋にかけて、ヘンイセイミミズとフトスジミミズの河床への這い出しがどのようになっていくのかを、ゆるゆると観察し続けてみたいと思います。

木登りミミズも観察したいし・・忙しい夏になりそうです。〈若林〉□

 

写真は近くで見たモクズガニ。