先日のブログで飼育していた川ミミズが暑さにやられて死んでしまったことは書きました。2年5カ月も生きて、私が飼育していた全ての川ミミズの始祖である「ビッグマザー」こと「始祖ミミズ」も亡くなってしまいました。全く姿が見当たらなく、おそらく死んで溶けてなくなってしまったのだと思います。 期せずして飼育を始めたのが一昨年の冬(1月)。20個ぐらいの卵胞を湧水場から持ってきて、それを孵化するところから飼育を始めましたが、夏を前にへたってしまい、最後に一匹だけ残ったのがビッグマザーだったのです。 比較的涼しい自宅の下駄箱下に場所を移せば、もしかすると暑さを凌げたかもしれませんが、その前から痩せ細っていたので、寿命だったのかもしれません。 上がビッグマザー、下は成体となったその子どもです。 外見の形状から、おそらくはツリミミズ科のミミズかと思います。 こちら「オレハチ(オレンジハチマキ川ミミズ)」と私が呼んでいるミミズで、ビッグマザーともよく似ていますが、ボリューム感が違います。飼育していたミミズは通常5㎝ぐらいだったと思いますが、「オレハチ」は7㎝ほどあるやつもいます。太さも違います。 ともあれ、2年半ほど飼育して、ビッグマザーには実にたくさんのことを教えてもらいました。 ・寿命は2年5カ月以上 ・親が一匹で子供を産む単為生殖 ・産卵は晩秋から冬に多い ・一冬に20個以降の卵胞を産む ・秋になると元気になる(夏場に弱い) ・大型になると食べる量が一気に増える また、餌は主にムクノキの腐植(微生物の作用で分解が進んだ状態)を与えていたのですが、この餌の取りやすさには季節で大きな差があることも実感させてくれました。 具体的に言えば、落葉期である晩秋から春ごろまでは、川の流れの中に、いい状態の腐植がたくさんありますが、そこから急速に減っていき、6月中ばぐらいにはもうほとんど川の中では探せなくなってしまうこと。また、これは一般的なことなのかどうかはわかりませんが、川の中の分解は陸地の分解に比べてだいぶ早く、落葉して数週間(2週間ぐらい?)で食べられる状態になること。コナラなど厚くて硬い葉は分解が遅く、7月でもまだまだ川の中に見られること。それでもいい状態にはならず硬いままであること。 これらのことは、野外での川ミミズ観察の大きなヒントになっています。 今朝は少し、ビッグマザーの生まれ故郷の湧水場に行ってきました。水温計を忘れてしまいましたが、おそらく水温は16、17℃ほど。湧水は夏になると冷たく感じ、冬になるとまるでお湯のように感じます。これは湧水自体の水温が一年を通してあまり変化しないためで、夏は涼しく冬は温かい環境を生きものたちに提供していると言えるでしょう。 そんな場所で、いました! ビッグマザーと同じ種類の川ミミズです。 石の下の砂の中に潜って暮らしています。落葉はもうほとんどありませんが、何を食べて暮らしているんでしょうね。 こんな感じに石の裏にもいます。 黒っぽく見えるのがビッグマザーと同じ種類。右側の薄いやつは別種のツリミミズ。そして左側の薄い色の細長いミミズは、おそらく「マッチョ虹色川ミミズタイプ1」(おそらくヘンイセイミミズ)の幼体です。 こちらは「マッチョ」の成体。 ビッグマザーと同様、この湧水場に暮らす代表的な川ミミズです。 やはり「マッチョ」は川が好き。 ビッグマザーは2年以上生きる。では「マッチョ」の寿命はどれぐらいなのか。そもそもミミズが餌を大量に必要となるのはどの段階のことなのか。 ビッグマザーの故郷で新たな妄想のタネをいただくことができました。〈若林〉□
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