低気圧が一つ通過するごとに、季節が進んで行きつ戻りつ・・。明日あたりからの大荒れ模様はどのような次の季節を見せてくれるのでしょうか。

さて。

このところ川を歩きながら観察している落ちアユも、そろそろ終盤の模様です。落ちているアユも減ってきたように思えます。

今朝は産卵を終えた直後と思わしき、アユが浅瀬でゆらゆら泳いでいました。尻尾のあたりは擦り切れたのか、水カビのようなものが付着しています。

浅瀬では彼らが秋の「ボーナスフード」である落ちアユを狙っています。白いのがコサギで黒いのがハシボソガラス。

夜になるとケモノも拾い食いしていることでしょう(4種の動物の足跡があります。わかりますでしょうか?)

土手の上にも。鳥でしょうか、それともイタチなどのケモノでしょうか。

浅瀬に見られるアユの亡骸には、たくさんの食痕が見られます。

頭はやっぱり美味しい部分なのかな?

ですがこれが実際、どんな動物による仕業なのかは、今ひとつよくわかっていません。じっくり時間をかけて観察すればわかるのでしょうが、ウォーキングがてらの瞬間しか見ていない私にはわからないのです。

先日見た、こちらは、たまたま目の前で食べているところを観察することができました(撮影はできず)、ハシボソガラスでした。

ニゴイやマルタウグイの場合、皮が硬いためか、鳥に食べられるのは目玉が多いのですが、アユの場合、目玉が小さいこともあり、目玉だけ食べられている姿はほとんど見ません。全体的に皮も体も柔らかいこともあるのでしょう。このようにエラ近くだったり、頭だったり、食い破られている姿を見ます。

こちら目を離して20分ほど後の姿。さらに頭が食べられていました。その姿を押さえようとTG6を動画モードにして30分置いたまま撮影してみましたが、捕食者は現れず。警戒されたのでしょう。ですが、この亡骸も、当たり前のように次の日には無くなっていました。

このように全身を水カビに覆われて朽ちるように崩れていくアユもいます。これはこれで川の中の水生昆虫や植物を育む栄養になっていることでしょう。ですが、おそらく相当量のアユが産卵後もしくは産卵中にカワウやサギ類、ハシボソガラス、そしてイタチ、アライグマ、タヌキ、ヒトに食べられていることでしょう(上の写真の足跡クイズの答えは、後の4種です)。

さて。そんな折、なかなか機会のない観察をすることができました。

ちょうど1匹のアユを食べている最中のハシボソガラスを観察する機会に恵まれたのです。

おそらくはメスのアユだったと思われますが、脚で押さえつけてはクチバシでちぎるように次々と身肉を食べていました。

アユはどんどん小さくなっていき、1匹丸ごと食べてしまうのではないかと、そんな勢い。つつく、なんて食べ方ではなく、ガツガツと貪るように食べていたのが印象的でした。

そして驚いたのは、カメラを離した瞬間の行動でした。

残ったアユの肉片を水中に突っ込み、その上にオオカナダモの切れ端を覆い被せたのです!(撮影できずー)

・・これは、貯食だ!

これまでにもハシボソガラスの貯食らしき行動は見たことがありましので、ピンときました。

これは埋めたと思わしき落花生をほじくりだしているところ。

そして、オオカナダモをかぶせたさらにその上に・・

大きな枯れ葉を持ってきて・・

かぶせたのです!

さらにクチバシで微調整。

なんとアユの貯食です。しかも浅瀬とはいえ、水の中!

そして貯食を終えると、近くの石をひっくり返し・・

なんと小さなドジョウ(もしくはウキゴリ)を食べたのです!

ならばなぜ、アユをもっと食べなかったのでしょう。ドジョウはデザート代わりなのでしょうか。それとも非常食としてのアユをまずは確保しておきたかったのでしょうか・・。

飛び立つカラス。その一部始終を目撃されていたとは思いもよらぬことでしょう(いや、すべてお見通しですね、きっと)。

そして目撃者である長靴を履いたおじさん(私)は、浅瀬を渡ってカラスのいた場所へ・・。

まるでわからず。カメラの画像をモニターで確認して、ようやく最後に被せた葉っぱを見つけました。

こんな感じです。葉っぱの下にはオオカナダモがありますね。

ドキドキしながら取り除いていきます。まずは一番上の落ち葉から。

そしてオオカナダモを取り除くと・・なにかが見える!!

最後、被さっていた小さな葉を取り除くと・・。

おおお!!!

流れに浸されるように、アユの肉塊が貯蔵されていました。

どうやら腹ビレか尻ビレのあたり。

見事に水中の流れに浸けられておりました。

陸上に貯食するよりも、水中の方が臭いも拡散しないのではないでしょうか。他の鳥やケモノに横取りされないように、あえて水中に貯食したのだとしたら驚きです。

おじさんは肉塊をしばし眺め、感触を確かめ、撮影し、それからカラスのどこからかの視線を感じて、丁寧に埋め戻したのでした。

「貯食」というアユ利用における新たな視点を獲得した本日。これからは埋められたアユも探さねば・・。

そしてその先の目標もあります。

それはイタチの貯食です。

どこかにごっそりとアユを蓄えた貯蔵庫が見つかりやしないかと、そんな光景も夢見て、もうしばし、歩いてみたいと思います。〈若林〉□

 

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