今年も新潟県の村上に、鮭釣りに行ってきました。 結果は、当日12人が「調査員」として竿を振り、釣れた鮭の数は0匹。 まあ、私は昨年も0匹でしたので、通常運行の範囲内ではありますが、釣りをしたその日に全体で1匹も釣れなかったのは過去5回の少ない経験ですが初めてのこと。 国の研究機関が発表する「さけます来遊速報」によると、10月末までの新潟県の河川での捕獲数は前年比約30%。昨年の来遊数自体がここ30年ほどでみても最低近い状況でしたから、あくまで10月末までという、まだ高い海水温の影響をもろに受けているだろう時期だとしても、今年は新潟でもかなり少ないことが予想されます。つい先日の共同通信の報道では、東北で前年比8〜9割減、北海道で3割減と報じられていました。 当然のことながら、鮭の値は上がります。釣りの翌朝には村上市街で催されていた六斎市も見てきましたが、そこでも海で漁獲されたメスで1kg2,300円ほどの値がつけられていました。3.5kgのメスならば、8,050円の計算です。 それでも村上では、鮭は年取り魚(年越しに出されるおめでたい魚)とされますので、高くても数が少ない鮭は次々と売れていきました。 とあるご年配の方が買った鮭を、お店のご主人が捌くところを見せてもらいました。 一本の牛刀で、実に見事に、淡々と捌いていきます。見せ物としての派手さなどどこにもなく、ただ捌くための捌きを見せていただいた気がします。 エラはずし。 どんびこ(鮭の心臓)。 1匹のメスの鮭から、これだけのわた(内臓)が出てきました。これも丁寧に袋に収めます。 氷頭(頭部の軟骨)を取りやすくするために割ります。 後にもう1匹追加され、2匹のメスはこのような形になりました。袋にはわた。捨てられたのは最初に落とされた胸ビレぐらいだったのではないでしょうか。 村上では、鮭は残すところのない魚、と言われているのです。 三面川から少し北上した川では漁を見せてもらいました。 そして私も1匹のメス鮭を購入。4,500円だったかな? 安いのは川で獲れた「カワサケ」の漁協直売であるため。 一般的に、鮭は川に入ったものよりも、海で漁獲されたもののほうが身に脂が乗って美味とされています。私はどちらの鮭も好きですが、どちらかと問われればカワサケを好んでいます。味というよりも、長い長い人との歴史を感じながら食べるカワサケが好きなのです。 これまでワタの大部分は捨ててしまっていたのですが、今回はできるだけすべてを味わってみることに。 村上の人が「かげ」と呼ぶエラは、できるだけもみ洗いして血を落とします。 胃や腸、そして細長い塊は幽門垂と呼ばれる消化器官です。黒っぽいのは肝臓(レバー)。左に見えるのはどんびこ(心臓)となります。 一番の驚きは、肉以外もいろいろと食べようとすれば、本当に捨てるところがないことでした。実際、出たゴミは胸ビレと尾ビレと浮き袋のみ。 そしてそれぞれの部位を、今も美味しくいただいています。
かげ(エラ)の素焼き。焼き加減が甘いと固くて食べられませんが、あるポイントを越えたところでサクサクの食感に。素揚げも美味しそうです。 背わた(腎臓)は塩をして珍味の「めふん」に。お店で出すものは2年ぐらい寝かせたりするそうですが、今はアニサキス対策も含め冷凍庫で寝ています。 氷頭なます。氷頭(鮭の頭の軟骨)を薄切りにして酢で締めたものです。コリコリした食感と鮭の風味がクセになる味でした。はらこを少し散らして。 はらこの醤油漬け。村上ではイクラのことを「はらこ」と呼びます。「腹子」ですね。なんだかこのところアニサキスが身近なので、醤油漬けした後に2日間、冷凍しました。それがまだご飯の上で溶けきっていない状態です。 身は焼き漬けや、ちゃんちゃん焼きで。ふっくらとした身を美味しくいただきました。 そして昨晩は、冷凍していたもつを刻んで豆腐とネギと一緒に味噌汁に。村上では「なわた汁」と呼ばれるもので、以前、30歳ぐらいの地元の方に一番好きな鮭料理は?と聞くと、この「なわた汁」と答えられたこともあり、今回初めて食べてみて、なるほど・・と感じた次第です。 個人的な感想ですが、大きめの肝臓は、イワシのツミレのようにやや魚臭さがあり好みが分かれるところではあるかと思いますが(私は普通でした)、幽門垂や腸などの消化管、そしてどんびこ(心臓)は、歯ごたえよく、とても美味しかったです。鮭の他の部分では味わえない良さを感じました。味付けは、わたを茹でてあくを少しすくい、田舎みそと若干の生姜を練りチューブで加えたのみ。 一緒に行った友人もオスとメスを購入して、いろいろ楽しんでいる模様。中骨を数日干してから炙る「即席塩引き」がとても美味しそうだったので、次はそれも試してみたいと思います。 来年も食べたいな。 戻ってきてくれるかな。 鮭は本当に魅力的な魚です。〈若林〉□
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