待ちに待っていた一冊が届いたと連絡が入り書店へ。

二神慎之介さんの『うまれたよ!サケ』(岩崎書店)

物語は波間に見える大きな群れのシルエットから始まります。

母なる川に上って卵を産み、自らは死して栄養となり、命を次の世代へ繋いでいく。

「誕生」を基点とする当シリーズらしく、卵の殻が破けて小さな魚が生まれ育つ過程が丁寧に描かれます。

私が好きなシーンは、メスサケが川底をくんくんと嗅いでいるような一幕。自らが掘った産卵床の状態を確かめているのか、卵の成長に欠かせない酸素を運ぶ湧水の匂いを感じているのか。メスサケの母としての矜持のような優しさのような、そんな印象を抱きます。

見開きで左右50㎝ほどにもなる大判の写真絵本は迫力いっぱい。特に産卵の瞬間までの一連にはサケの生命の力強さを存分に体感できます。その中にポッとメスサケが見せる表情が、この一冊のとてもいいところだなーと感じています。

二神さんは北海道のヒグマと本州のツキノワグマを追う写真家で、2017年には『RIVER-WALK Vol.2』で「動物写真家の川時間」というフォトエッセイをご寄稿いただいて以来のお付き合い。

こちらについては過去ブログをご覧ください。

海水温の上昇などいくつかの原因により、日本に遡上するサケが年々激減するさなかの撮影はとても大変だったことでしょう。ですが、だからこそ、この時代ならではの「サケの本」ができたのではないかと思います。イケイケどんどんでサケが大量に上ってきた時代とはまた違う視点を与えてくれるサケの本と言えるのではないでしょうか。

私自身、とてもサケが好きなのですが、思えば観察や釣りで触れていたのは川に上ってきた親サケばかりだったなーと。いつか浮上して間もないサケを見に、母なる川に足を運びたいと、そんなことを思いました。〈若林〉□

 

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