川っぷちの強敵であるアレチウリもだいぶ枯れ落ち、クズやカナムグラもだいぶなりをひそめてくると、冬の河道観察が面白い季節となります。
霜の降りる朝はとても冷え込みます。
土手の斜面が立ち上がるところにいくつか新鮮な掘り跡がありました。キツネかタヌキかそれともアライグマなのか…。なにを探しているのでしょうか。穴を覗いてみると答え(?)がありました。
なんと7〜8㎝ほどのフトミミズです。環帯がないので幼体。尾部の膨らみからはノラクラミミズのように思えます。ここはかつて大雨で冠水した時に15㎝をゆうに超えるノラクラミミズが大量に這い出していたのを観察した場所。もしかするとお目当てはミミズ、なのかもしれません。
こちらの穴は、群生するヨシのすぐ脇にいくつか見られたもの。地下茎がかじられているように見えました。
ヨシやオギが倒れたところには、けもの道が続いています。よく見ると河道はけもの道だらけです。けもの道は土手を越えた先にも続いており、そこには藪地や畑、疎林などが連結しています。川というと、水の流れているところばかりに目が向きがちですが、実は土手と土手に挟まれた河道や河川敷は、けものや鳥たちの暮らしの場なのです。小さな川の場合は、河道だけで暮らしているわけではないと思います。河道が田畑や雑木林、荒地など異なる環境をつなぎ、川とつながれた環境を行き来して暮らしている動物も多いのではないかと思います。
特に都市近郊河川の場合、川は生きものたちにとっての大切な「回廊」なのです。
けもの道をたどって進んでいくと、けものたちのフンに気づきます。これは・・キツネでしょうか。独特なラー油のような匂いが立ち込めていました。
こちらはオニグルミの木の根元に広がっていた、タヌキのためフンです。タヌキは複数が同じ場所で用を足すことが知られています。いわば公衆トイレでしょうか。タヌキたちはこのトイレで仲間のフンを嗅いだり見たりして、餌を認識したり体の具合を気遣ったり(?)と、情報交換しているそうです。
フレッシュなフンを観察。濃いグリーンと、濃いベージュ。いったい何を食べたらこのようなフンになるのでしょう。未消化のタネなどからも食べているものを推察することができますが、このグリーンとベージュはよくわかりませんでした。
フンに混じっていた種子はこんな感じ。左のギンナンと右のカキはわかりますが、中央の小さな粒はなんでしょう。ちなみにタヌキのためフン場はアカネズミたちにとってはご馳走の山みたいで、これらをかじった痕も見ることもできます(フンを食べたりもしているようです)。
枯れ葉の上に、小さなフンがありました。アカネズミかな?
長さは1.5㎝ぐらい。オレンジ色でとてもフレッシュです。この時期、この色で考えられるのは、カキもそうですが、一番はカラスウリ。
果たしてネズミが食べるものでしょうか。もしくはクコでしょうか。
近くにはセンダンの実(左)もたくさん落ちていましたが、これは熟してもレモン色。でも同時に見つけたフレッシュなタネは、似たような色をしていました。センダンの実はタヌキもよく食べ、実がたくさん落ちるこれから、ためフンにもたくさん混じってくることでしょう。ネズミも食べるのでしょうか・・。
これもカラスウリかな? 食べたのはタヌキ? よくわかりません。
オニグルミの木の下には、この様な穴の開いた実がたくさん落ちています。これもアカネズミの食痕でしょう。
根元には、こんな感じに溜まっていることも。食事場ですね。
近くにはものすごい数の殻も落ちていました。一見、リスのような割り方ですが、実に見事に中身を取り除いていますね。これだけ本格的に収穫をするということは、この木の実は美味しいのかもしれません。来年が楽しみです。
枯れたカナムグラやコセンダングサの薮にポッカリと開いたスポットに、白い羽根が散っていました。
被害者はおそらくカワラバト(ドバト)でしょう。
少し茶色いキジバトのような羽根も混じっていました。交雑だったのかな?
オオタカかハヤブサあたりでしょうか。
ガガイモ?のタネ。
カヤネズミの古巣もひとつだけ見つけることができました。
またしばらくしたら、歩いてみたいと思います。〈若林〉□
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