不安定な大気が時折、肌寒いと思うほどひやりとした風を運ぶ、こちら埼玉の一日です。まだまだ夏休みも満喫する前ですが、もう秋だなぁ・・(?)なんて感傷的な気持ちになったりして。

そんな2017年の夏。本日は川で出会った鹿について少し文を散らしてみたいと思います。

題して「2017夏・鹿 ~Dear deer~」

 

【同じ淵で2日連続、雄鹿と雌鹿に出会う】

Dear deer

あなたに出会った瞬間、私の胸に早鐘が鳴りました。明るい夏色の鹿の子模様に身を包み、2本の立派な角を天に広げ、あなたは木漏れ日のさす淵の脇にたたずんでました。

急いでカメラを構える私を尻眼に急斜面を駆け上がってしまいましたね。

写真におさめることはできませんでしたが、いいんです。斜め後ろからの光に神々しく照らされたあなたの姿は、私の網膜に焼きついていますから。

翌日、同じ川の同じ淵で出会ったあなたにはビックリしました。またいた!みたいな・・。淵のすぐ上流に立つあなたの頭に角はありませんでしたね。一瞬のデジャブを感じた後、やはり斜面を駆け上がっていってしまうのか・・と思いきや、あなたは逡巡し、なにを思ったのか、その淵の斜め下流にいる私たちに向かってきたじゃありませんか。

そしてスポットライトのようにさしこむ光に照らされた淵にザブンと飛び込むや、犬かきならぬ鹿かきで我々の目前を泳ぎ、下流の斜面へと上り去っていったのです。

今度はカメラを構える時間は十分にありました。が、あまりに近距離での出来事だったため、慌てに慌ててカメラケースがこんがらがってしまい、結局、あなたの優雅なダイブ、そして鹿かきもおさめることはできませんでした・・。

いいんです。網膜には焼きついてますから。でもちょっと、いや、だいぶ引きずりました・・。あと30秒ぐらい淵の中でプカプカ浮いて涼をとったりしてくれてれば、あなたの姿をおさめられたろうに・・。

そんな2017夏・鹿

 

【シカシラミバエと出会う】

Dear deer

先日、あなたを探している人と出会いました。

シカシラミバエ、というハエです。

ハエの割にはがっしりしたマッチョな手足と長い爪カギを持っていて、あなたに取りつくやガシッとその爪で身体を固定し、ちゅうちゅうとあなたの血を吸うというのです。何を思ったのか私にも寄ってきてはピタッと止まってカサコソと皮膚の上を歩きまわったりして、吸おっかな~それとも逃げよかな~と、相反するプログラムに操られているようなおかしな動きをしてました。

虫にめちゃくちゃ詳しい同行者がパッとつかまえ、私に教えてくれたのです。

あとでネットで調べてみると、鹿に取りついたあとは羽根を落としてそのまま寄生するとのこと・・。そして取りついたまま、一匹のうじ虫を産むのだとか・・。

大丈夫ですか? どこかムズムズしませんか? くれぐれもお気をつけあれ・・。

そんな2017夏・鹿

 

【キセキレイの巣を見つける】

Dear deer

虫にめちゃくちゃ詳しい同行者は、鳥にもめちゃくちゃ詳しくて、今年使われたキセキレイの巣を見つけました。近くでは親鳥がヒナをヒー・ヒーと呼びながら、これからひとりで生きていくための知恵を授けてました。

巣は見た目以上にどっしりと密で、しっかり作られてました。そして巣立ったヒナたちを母親の体温とともに温めていたのが・・・あなたの真っ白な体毛だったのです。

お尻の毛でしょうか。でも想像してごらんなさい。自分の抜け毛が可愛いヒナたちのおふとんになっているなんて・・・。

あ、ちなみに私もあなたの尻毛を使わせてもらってます。スピナーの針に巻いたり、毛バリにしたりするんです。蛇足でしたね・・。

そんな2017夏・鹿

 

また会いに行きまーす。〈若林〉□

 

 

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