今日は30℃超えの予報も出ていましたが、案外早くに雲が出始め、そこまで気温は上昇しませんでした。その代わりにとても蒸し暑い、埼玉南部です。

ここ数日、ちょこちょこと時間を見ては、TG-5とiPad miniを使ってWiFi撮影のテストを近くの川でしているのですが、これがなかなか地味で良き川時間。

手法はといいますと、まずTG-5を川に設置して、ケーブルを介して陸上でお茶飲みながらiPad miniのモニターを眺めて撮影する感じです。

こんな感じですね。

この撮影の面白いところは、カメラだけを置き去りにして、そこに撮影者が存在しないところ。だから警戒をしない生き物の姿が収められるかといえば、それは甘い考えでして、明らかに異物であるカメラの存在は、魚たちにとって結構大きな物であるはずです。

でも、設置してしばらく見ていると、ちらほらとカメラの前を通り過ぎてくれる魚たちの姿をモニター越しに見ることができます。

岸辺近くで最も見られるのがこちら。ウキゴリの幼魚。まるでパーマークのようなまだら模様がついてます。そして右下にいるのは、おそらくヌマチチブの幼魚(違うかなー)。写真だとほぼ区別つきませんが、動きの質違うというか、ピンピンと跳ねるように泳ぐヌマチチブに比べてウキゴリはもう少しスイスイ泳いでいきます。

ウキゴリはこのままの体色で大きくなったらトーマンみたいでカッコいいのに。

結構地味な色になります。

そしてヌマチチブが大きくなるとこんな感じ。

この川で最も簡単に見つけられるといっても過言ではないほど、たくさんいます。

これはこれできれいなんですけどね。

 

で、今回は、珍客が現れました。

真黒いクサガメです。

正確に言うと、カメラを設置するときに見つけたので、カメラを亀に自分で向けつつ、股にケーブルを挟み、もう片方の手でiPad miniを持ちながらシャッターも切るという荒業。

もっと撮りたかったのに、すごい勢いで逃げていきました。

老成な雰囲気。甲羅も欠損してますね。

 

で、カメラを設置しなおして陸へ。

狙いはここ最近、とても好きなハク。

その見事な砲弾型は大海原を疾走するキハダマグロのよう。

画角にして畳一畳ぐらいのアングルスペースに、果たしてハクはやってきてくれるのか。

ハクが数匹いた瀬に設置して陸上でモニターを見る。・・・ん?

お前はさっきのクサガメ!(だと思います)

なんと、自分からカメラのほうに寄ってきてくれました。

そうなのです。この撮影法の面白いところは、あくまでもカメラに寄ってきてくれるかどうかは生き物任せ、というところなのです。

数匹いたハクは、クサガメの往来とともに消えてしまった。

そしてまあまあ大部分の時間を、このような不毛の砂漠のような川底を見て過ごすことになります。

星野道夫だとすれば、ツンドラでカリブーを待つ心境か・・。

「川は呼吸する」と教えてくれたのは、山形のスズキ釣りの達人ですが、同じような流れに見えても、その流れは強まったり、弱まったり、流芯も右へ行ったり左へ行ったり・・。なんとなく周期性を持っているようにも思えるのですが、常に一定ではないことだけは確か。

特に、遊泳力の弱いハクなどの場合、適した流れがあるようで、その流れの塊がちょうどカメラの前にやってきたときにだけ、群れがやってきてくれるような感覚。

もっとも、カメラが下流側に作りだす流れの渦も、大いなる影響を与えているはずですが・・。

で、この不毛の地を見ながら待つこと1時間・・。

その間、急いでやらねばならない仕事のことを考えてみたり、日焼けした後の疲労感に思いを馳せてみたり、これも仕事っちゃ仕事なのだろうか?と自問自答してみたり・・。

そしていい加減、熱射病になるぞ・・と諦めようとしたときに、向こうの方からうっすらともやもやしたものが寄ってくるわけです。

きたー・・。

ズンズン、ズンズンと。

上手いことに苔を食んでいる。少しずつ群れが近づいてきます。

おお・・ハクよ!

ああ・・

・・行ってしまった・・。

そしてまた不毛の地へ。カリブーのいないツンドラへ。

 

帰ろう・・。

 

「世界の広さを知りたければ、小さなものにこそ目を向けよ」

そんな言葉を胸に秘め、長すぎたお昼休みを終えるのです。〈若林〉□

 

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