唐突ですが、私、ニジマスが好きなんです。 いや・・ニジマスに関わらず、イワナもヤマメもいわゆるサケとかマスの類はなんでも好きであり、もっと言うと魚ならなんでも好きなのですが・・ 今回ふとニジマスの事を思い立ち、いかにニジマスが好きかということについて書いてみたいと思います。
それはとある山間の民宿での出来事でした。 急きょ宿を探さねばならなくなった私は、たしか、とある電話ボックスにあった電話帳を頼りに一件の宿を予約したんです。 着いたときには真っ暗け。電灯もない山の中で、最後は未舗装の道路を進むと山中のどんつきにその宿はありました。 車のライトが入口あたりを照らすとご老人がひとり、ライトも持たずに立っていたんです。 「お待ちしておりました。こないのかと思って心配してました。さあさどうぞどうぞ」 宿のご主人でした。 ドボドボドボドボ・・・。 結構大きめなエアレーションの音。 小さな養魚池があるみたい。 なんて思いつつ、ご主人の後について、ひとり宿へ。
その宿はなんというか、いろいろと雰囲気があり、それはまたそれで不思議体験だったのですが、ともあれ、お風呂を済ますと二階の一室に通されました。 すでにだいぶ遅くなっていて、9時手前頃だったかと思います。 なんか悪いな~。しかもお客は自分ひとりだなんて・・。
「はい、お待ちどうさま」 宿のおばあさんが、お膳を持ってきてくれました。 テーブルに置かれたそれを見て、目を見張りました。
千切りキャベツにカットしたオレンジ。 お味噌汁にごはん。 そして・・ニジマスが二匹!
一匹は塩焼きで、もう一匹はムニエルでした。
おっと・・・。 なかなかシャレたメニューですね。 同じサイズのニジマスを二匹ですか。 養魚池がありましたから、きっと自家製のニジマスなんでしょう。 まあ、ニジマスは大好きですから。美味しくいただきますよ・・。
なぜか背筋をピンと伸ばし、ひとりむしゃむしゃとニジマスをいただきつつ、どうしても目に留まるのが、残ったもうひとつの皿に乗っているホイル焼きでした。
まあ、きっとキノコとか山菜とか、それ系でしょう。 もしかしてジビエ的なお肉だったりして?
なぜか少し緊張しつつ、同時になぜか少し期待しながら、そろりそろりとホイル包みを開けると・・・
やっぱり。
そこにはもう一匹、同じサイズのニジマスが、ほかほかのホイル焼きになって横たわっていたのです。 湯上りだからでしょうか。背中に一筋の汗が流れ落ちました。
もちろん、ニジマスは三匹とも美味しくいただきました。 大好きですし。
ただ、惜しまれるは、思い返すたび、もう一度あの宿に行って確かめてみたいと思っているのですが、どうしても、宿の名前や場所が思い出せないんです。□
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