暑いです。 埼玉南部、過酷な暑さです。 そんなさなか、潟ではついに・・というか、とうとうその日が来てしまいました。 潟の雑草除去作業。 冬の間はほとんどツルツルだった潟が、春から夏にかけて、この通り。抽水植物のガマを中心に、多くの植物が繁茂しております。これも田んぼの排水路という、栄養満点の水だからこそ、でしょうか。 三面護岸ではありますが、常に5㎝ほどは水が流れており、護岸底に張り巡らされた雑草の根がつかんだ泥が陸地を作って、流れの変化が生まれ、さらに泥が溜まる所と流される所の差がはっきりとして、ひとつの生息環境を作り上げていたのです。 コイやボラの幼魚、ミドリガメ、アメリカザリガニ、コサギ、ゴイサギ、シオカラトンボあたりがこの小宇宙の夏の常連と言えましょうか。 そして潟育ちのカルガモたち。 彼らは潟に生えた植物の根にいる動物(おそらくはザリガニ)を追い回して食べていました。彼らのエサ場はなくなりますが、もうだいぶ大きくなったから大丈夫かな・・? そんな心配をしながら、猛暑の中、潟へ。 ユンボで掘り起こされたガマは、このように左右に陸揚げされます。 刈り取られた潟は、こんな有様。 でもこれから台風の季節ですから・・。 雑草が繁茂していると排水路の役目を果たしづらくなり、浸水のリスクが高まるのです。だから、こんなに暑いさなか、作業のおじさんたちは頑張っているのです。 上の写真の右上あたり、まだ緑のガマが生えています。 今日はここまで、というわけです。 そのガマが、なにやらガサゴソと動きました。 潟育ち団なのか?(「潟育ち団」について詳しくはこちら) なんと・・・。 これまで見なかった、遅生まれの一団が・・。 このサイズのヒナ連れだと、まだまだ危険も多い時期。 おまけにこの猛暑。心配です。
さて。本題はこれからです。 最近、頭の片隅に残っているブログがありまして・・。 noteというサイトで写真家・二神慎之介さんが書かれたブログ『ヒグマはなぜ、山に登るのか。』であります。 気になっている箇所をざっくり言うと、ヒグマは本当は山よりも平地にいたいんじゃないか?・・みたいなことを書かれている箇所です。でも平地は人間が占拠しているから山に入ると。 生きものを考えるうえで、知らずのうちに自分は大きな勘違いをしていたのではないだろうか・・?と思いました。つまり「クマが山にいるなら、それは山にいたいからいるのであろう」という考え。 話をカモに戻しますと、埼玉南部のここいら近辺には秋になると、オナガガモやマガモ、コガモ、ハシビロガモなど多くのカモたちが北方から越冬に渡ってきます。そして春になると北方へと帰っていきます。 これを私はどちらかというとポジティブに「楽しい旅」のように捉えていた節がありました。 でも、そうではないのかもしれません。 本当はそんな疲れる「渡り」はイヤでイヤでしかたないけど、しかたなく・・たとえば日本の夏の暑さには耐えられないから「渡らなければならない」のかもしれません。 もちろん、そうではないのかもしれません。 そんなことを考えたのは、ここいらで唯一渡りをしないカモが、今まさしく子育て中のカルガモで、こいつらはいったいどんなことを考えているのだろう?・・と、酷暑の本日、ガリガリとユンボで居場所を狭められている潟の親子ガモを見ながら思ったためです。 渡りをするよりも、酷暑に耐えたほうがいいとしているから、いるわけなのだとは思うのですが、ここ数日の暑さを一体カルガモたちはどのように考えているのでしょうね。 「灼熱、カモーンッ!」・・だったらよいのですが・・ 「渡りたくないから日本にいるけど、さすがにちょっと厳しいカモ。もう限界カモ」・・だとすると、心配です・・ ・・と、そんなことを思った理由はもうひとつありまして(長文にてすみません・・)。
本日、我がカタツムリハウス(春から越してきた小さな事務所です)の冷房が、この灼熱で効かなくなってしまったんです。。 壊れてしまったわけではありません。ただ、あまりに暑すぎて、ハウスの壁がメチャクチャ熱せられて、まるで網焼きのサザエのように中身がぐつぐつと・・蒸し風呂のようになり、なんとか段ボールで壁を作って冷風を寄せ集めるもただも気休めどころか熱風にも感ぜられ・・。 「これは本気でアブナイ」と「渡り」を決意したのです。 ですが最寄の涼しいお店まで徒歩30分という、なかなかの立地ですから、できたらこのままなんとか我慢してハウスで作業を続けたく、さらに30分ほど粘ったのですが、フラフラになってもうだめだと・・。 で、そこからの炎天下30分、とぼとぼ歩いての「渡り」ですよ。 その時にフラフラの頭にひらめいたんです。 「まるで渡り鳥だな」と。 そしてこうも。 「渡り鳥は渡りたくて渡っているわけじゃないのかもしれないな」と。 本当はこんなこと絶対にしたくないんだけど、しないともっとまずいことになるからやらざるを得ない。炎天下をとぼとぼと歩かなきゃならない。 そんな状況に身をおいて、生きものへの考え方の幅を少し広げることができた昼下がりでした。 マクドに着くと発売したての巨砲シェークMとアイスコーヒーSを一気に胃に流し込み、15分ほど休んで、なんとか通常の状態に。
夕方になり、またカタツムリハウスに戻ってまいりました。 冷風も勢いを取戻し・・なんとかこのひらめきを、キーボードに打ちつけている、というわけです。 果たしてこの夏、あと何回、したくない渡りをギリギリの選択の末に敢行しなければならないのだろう・・。〈若林〉□
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