今日は晴れ。

なかなか寒いのですが‥何がきっかけなのか? ネコが発情期のうなりを上げ始めました。

さて。

この冬に2回、渓流を歩いてきました。

目的はアオシギです。

アオシギは英名「Solitary Snipe」。

Solitary=孤独。

単独行動が多い冬鳥で、はるかシベリアやサハリンからやってきては、冬の間、渓流の水辺でひっそり孤独に過ごしている鳥です。

『RIVER-WALK Vol.2』の「渓で出会う鳥図鑑」(解説:西教生さん、イラスト:成瀬洋平さん)でも紹介をしています。

その姿を観ることはなかなか難しく、過去にも数回、ひとりで観察に冬の川に行っているのですが、観たことがありませんでした。

ですが、今回、鳥に詳しい方にご同行をいただいて、初めて飛び去る姿をチラリと観ることができました。

大きさはハトぐらい。我が「潟」にも春になるとやってくるタシギよりも少し大きいぐらい。

飛来数が少ないうえに、とても用心深い鳥なので、なかなか会える機会はありませんから、貴重なうれしい体験でした。

冬は都市近郊河川ばかりを歩いている私としましては、山奥の渓流は自然にあふれていますから、見るもの見るものが興味深く、しかもその時は鳥に詳しい方に解説をしていただきながらの川歩きでしたので、とても充実した時間を楽しむことができました。

自然界を生きる動植物は、それが単独でいるわけではなくて、常に他者との関係を保ちながら存在していることを強く意識することができます。

ツグミの体羽。鷹などの猛禽に襲われたのでしょうか。

そんななか、この日、特に興味深かったのが、ヤドリギとヒレンジャクとの関係です。

ヤドリギは、特定の広葉樹に寄生する植物で、渓流釣りをする方なら、河畔や入渓する道中で目にしたことがあるかもしれません。私もよく目にしていましたが、「寄生植物ね・・」ぐらいのあまりにもそっけない思いしか抱かずスルーしてました。ヒレンジャクも「派手な鳥だなー」ぐらい。

ところが今回は、とても興味を抱くことができたのです。

この写真の下、黄色いイワナの卵のようなものは、ヤドリギの実です。手でつぶすと、ネバネバして、中から平たい種が出てきます。

実の上にあるのが、ヒレンジャクが落としたものと思わしきフンです。実は半ば消化された状態で、平たい種が露出しています。

触りはしませんでしたが、フンも種同様ネバネバしていて、これが樹の枝などに落ちて接着することで、種から出た根が奇主に潜りこんで寄生することができるのだそうです。このように雪の上に落ちてしまったものはヤドリギ的には作戦失敗、というわけです。

つまりヒレンジャクは、ヤドリギの実をいただく代わりに、別の木の樹上ですることによって、種をまく役割を果たすと。そんな関係を結んでいるそうです。

見上げればヤドリギに黄色い実が‥。

そしてなんと、ヒレンジャクが、ちょうどねばーっとしたフンを落としているところも観察することができました。キレが悪いことこの上なく、その不快(?)を我慢してもなお、オツリがくるぐらいの実なのでしょう。

ハンノキに寄生するヤドリギ。ヤドリギになる実。それを食べてフンとして落とすヒレンジャク。失敗して雪上に落ちてしまったフン。風で落ちてしまったヤドリギの実。

これらを同時に観察することができ、ヤドリギとヒレンジャクの関係が、自分の中にとても強烈な印象を残すことになりました。

これからは、ヤドリギを観るたびに、ヒレンジャクの派手な姿を探すことになりそうです。

そこで、ふと思います。

「孤独な」アオシギは、何を求めて、はるか数千キロ離れた北方より、この小さな沢に降りたつのかと。それもたった一羽で。

水中にはカワゲラやトビケラの幼虫がうごめいておりまして、それも目的のひとつだとは思うのですが・・。

きっと人の知れない様々な関係性をもっているのだろうなと。

また会いにいきたいなー。〈若林〉□

 

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