今日はいい天気。薄く白いベールのような雲がかかっている埼玉南部。

昨日は通信障害でほぼ一日中ネットがダウンしておりまして、いかに仕事をネットに頼っているか痛感した次第です。

なにせ、本当にできることがなくなってしまい‥ミミズを掘りに川へ行ってしまったぐらいですから‥(危険な暑さですぐに退散)。

さて。このところミミズ続きの当ブログ。すみません、本日もミミズが登場してまいります。センシティブなニョロ画像が苦手な方は、そっとウィンドウをお閉じくださいませ‥。

 

まずは、ついに購入してしまった『ミミズ図鑑』。

なにせ税込5,280円もする図鑑ですから‥4,000円ぐらいまでならば結構思い切って買うことができる私ではありますが、購入を決意するまでに1カ月ほどかかりました。

ですがこのところ観察を続けている「マッチョ虹色水生ミミズ」について、ネットでは情報はほぼヒットしないことから、専門的な図鑑に当たるしかないと思い、思い切って購入へと踏み切りました。

第一人者である石塚小太郎さんの著作だけあって、形態から生態、分類までとても濃い内容。‥というか、ほぼ知らないことしか書いていない一冊。これから少しずつ、勉強していきたいと思います。

で、結果から申しますと、おそらく「マッチョ虹色水生ミミズ」に類するミミズは紹介されておりませんでした。でも「ニジイロミミズ」という和名を持つミミズがいることが判明。美しき虹色は、意外にミミズの普遍的な特徴のひとつ‥なのかもしれません。

もはや費用対効果的にも後に引けない状況にもなりまして、もう少し観察を続けていきたいと考えております。

で、川へ(昨日の観察です)。

久しぶりにニゴイのメスを観察することができました。産卵場であり、シジミとミミズとスッポンの生息場でもある砂利底。

ここを掘りたいと思っておりましたが、ニゴイがいたためスルー。先日もマッチョ虹色水生ミミズを見つけた分流へと向かいます。

オオカナダモが可憐な白い花を咲かせておりました。

こんな感じの場所ですね。底質は2~3センチぐらいまでの小石とそれよりも小さな砂利、さらに小さな砂、そして泥質も少し。

これまでの観察によると、水生ミミズがいる所は、水通しの良い砂利底です。河川形態的には淵尻から瀬頭にかけてのあたり。ニゴイやサケマスが卵を産み落とす環境とも重なります。そしてここでは似たような場所にシジミもいます。

こんな感じの場所ですね。4~5㎝ぐらいの石もありますね。

こんな所をガシャガシャ掘ると、水生ミミズが出てきます。

ですが、本日は掘りません。実はちょっとした気づきがありまして‥。

こちら先日、観察をした、カラスがおそらくは水生ミミズを捕食しているシーンです。

砂利の中に潜っている水生ミミズをカラスはどうやって見つけることができるのか‥。それをずっと考えておりまして‥。

次の可能性を考えておりました。

①水生ミミズが砂利から出てきて動き回っているのをついばんでいる。

②水生ミミズの巣穴や、そこから少しだけ飛び出したりしているミミズを見つけてついばんでいる。

③カラスにはわかる水生ミミズのいる痕跡がある。

でも、①だとしたら、カラスがあまりに余裕をかましすぎていると思いました。動いているものを襲うなら、もっと興奮しながら狩るのではないかなと‥。③だとしたらちょっと私にはわからないだろうと。②だとすれば、水面上から観察をする私にも気づけるだろうと。

そんなことを思って、水面上からしばらくの時間、観察をしていたのですが、ミミズが飛び出していたり、巣穴らしきものは、なかなか見つけることができません。

単純に見つけられていないだけということもおおいに考えられます。

ですが、とある渓流の風景を思い出し‥上記3つのケースとは異なるケースを思いついたのです。

それは黒っぽい渓流の浅い流れの河床で目立つ白い石の存在です。

先日、「リバーウォークストーリー」でも書かせていただいた西さんと「なんでしょうねー」なんて話をしていたのですが、西さんの見立てはカワガラスが石をひっくり返してカワゲラなどの水生昆虫を捕食した痕ではないか‥というものでした。

そんなことを思い出し、ひらめいた仮説は「カラスは石をひっくり返してミミズを探している」というものでした。

残念ながらカラスがミミズを捕食しているだろうシーンは一度しか観察しておらず、望遠レンズも持っていなかったため、確かなことはわかりません。でも、知能の高いカラスのこと。きっと石をひっくり返してミミズの尻尾なんかが現れたところで、それをついばんでいるのではないか‥と考えたのです。

で、前置きが長くなりましたが、本日の観察では、それを確かめてみようと。つまり、表面の石をひっくり返すことで水生ミミズはみつけられるのかを試してみたのです。

こんな感じに、麻雀牌で遊ぶ「上海(シャンハイ)」というゲームがあるのですが、その感覚でしょうか。将棋崩しみたいな趣もあります。

しばらく取り除いていくと‥おっ!

シジミが出てきました。

生息しているままの姿です。

寄ってみると、水管が開いているのが見えました。

こんな調子で石を剥がしていきますと‥次に出てきたのは‥

ん?

おお! 黒川虫ことヒゲナガカワトビケラの幼虫です。

石の裏などに小石を寄せ集めた巣を作るのですが、その石を剥がしてしまったために露わになってしまいました。

太陽光を浴びて「これはまずい?」とさっそく修復を進める黒川虫。意外にも仕事が早いのが驚きでした。

さて。問題のミミズですが・・。

いましたいました!

マッチョ虹色水生ミミズよりは細くて地味、長さは10㎝ほど?ですが、おそらくこれもマッチョ虹色水生ミミズの類でしょう。小石をどかしていくとその下に砂の層があり、ミミズは小石と砂の間にいる感じ。意外と表層にいることがわかりました。

すぐに石の下に潜りこんでいきます。驚いたのは、頭が入った後の横移動の素早さ。瞬間で10㎝ぐらいは移動してしまいます。

一匹のモグラの行動範囲は直径100m以上であり、想像以上に素早く土中を動き回っているようですが、水生ミミズも小石と砂の間ではとても速い移動が可能なのかもしれません。これまであまり探せていなかったのは、異変を感じて横にどんどん逃げてしまっていたから‥かもしれません。

そして、もうしばらく広範囲の石を除けておりますと・・・

おわかりになられますでしょうか?

私は思わずうなりました。

まさにこれが、カラスの視線なのではないだろうかと‥。

中央でちょびっと見ているのが、水生ミミズの尻尾です。

この状態のミミズは、自分が見られているとは思っていないのでしょう。逃げずにこのまま尻尾を露出したままの状態です。

これならばカラスも余裕をもってついばんでしまうことでしょう。

周囲の石を少しずつ除けていきますと、虹色に輝く本体が出てきました。その横には足を伸ばしたままのシジミも‥。おそらくはこれが、彼らのいつもの生活の姿‥。

また一歩、水生ミミズに近づくことができた観察となりました。〈若林〉□

 

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