本日も梅雨空。 このところ天気がぐずついていて、もう5日も水生ミミズを掘れず‥。 ところで、そんな週末、ふと就寝時に敷布団を指でなぞると違和感がありまして‥。 具体的に言えば、左手だけ指先の感覚が鈍いといいますか‥。 一瞬、なんか悪い病気なのか?とヒヤリとしましたが、指先を触っているうちに、すぐに原因がわかりました。 ミミズの掘りすぎで指の先の皮が硬くなっていたのです‥。 水生ミミズを掘るにはいろいろなコツがありまして、水流を起こすための手首は最も筋肉を使う箇所ですが、砂に混じって硬く引き締まった小石をほぐす指先もとても重要な部位。 私はサウスポーなので、ついつい左手でばかり掘っていましたら、ミミズ掘りに体が適応してきたというわけです。おそるべし、ミミズ掘り‥。 弦を押さえるギタリストの左手の指先が硬くなるように‥ミミズ掘りニスト?の左手の指先も硬くなるのです‥。
そして本日、つかの間、雨が上がったタイミングで、少しだけ掘ってきました。少しだけ‥。 ただ、5日間のブランクは、指先に気づいただけでなく、私の心境に小さな変化を与えておりました。 「ミミズってやっぱり気持ち悪いな‥」という気持ちが芽生えてしまったのです。 まあ、気持ち悪いかどうかにつきましては個人の見解によるところが大きいので、あくまでも私の感覚の話ではあるのですが・・ たとえばこの水生ミミズを水槽で飼いたいか?といえば、答えはNO。断じてNOです。 世の中には水生ヒルを好んで飼育する人がいることをつい先日知ったのですが、私はヒルもNO。 では金魚はどうかと言いますと、それはYESです。金魚は水槽で飼いたい魚です。 じゃあザリガニとかモツゴとかはどうだろう・・といえば、昔はYESでしたが、今はNOです。私の場合。もちろん子どもなどに見せるため・・とかならば、飼って見せたい気持ちもありますが、私自身のため・・となると、これは飼育が面倒くさいということを差し引いたとしても、今はNOかもしれません。ナマズは少し心が揺れますが、やっぱりNOかな。 それは気持ちいいとか悪いとかの話ではなく。 そのことを改めて水生ミミズが教えてくれたような気がします。 何が言いたいのか?と言いますと、どちらかというと今、私が水辺の生き物を見る時に興味を持っているのは「個体」ではなく「関係」だからではないかと・・そんなことを思いました。 つまり、ザリガニやモツゴやナマズなど、そこらへんの川で観察できたり釣れたりする生き物に関しては、その個体への興味というよりも、そのザリガニなりナマズなりが、その場所で何を食べて、何に食べられて、どんな所に隠れて、どんな所で卵を産んで、その他もろもろ、どのように生きているのか。という、生息環境やそこに棲む他の生き物との関係に興味がある、ということです。水槽で飼うということは、もちろんそこに小さな生態系を創出するなど深い楽しみがあることも存じてはいるのですが、私の場合は、生き物の個体そのものを見る行為という気がしてまして‥。なので金魚なんかには、そのような気持ちは働かず、個体を愛でるような楽しみをしてみたいとも思うのかな?と(野生の川で育ったマッチョな金魚を見たこともありますが・・)。 と言いますのは・・水生ミミズについて言いますと、たとえば単体で「ハイッ」って手渡されたとしたら、やっぱり気持ち悪いものだと思うんです。うねうねくねくね動いて・・。 でも、これが川のこんな場所に棲んでいて、こんな生き物に食べられていて、こんな似たような仲間がいて、同じような場所にはこんな生き物が棲んでいる・・みたいな「関係性」を考えながら掘り掘りしていると・・その強い興味が気持ち悪さを勝ってしまうのではないかと・・。 そんなことを思ったわけです。 前置きが長くなりましたが、本日は開けた瀬で少しだけ「マッチョ虹色水生ミミズ」を探し、ダメとわかるともう一つのテーマを追ってみました。 それは「富山ブラック水生シマミミズの黒さの源は何なのか?」というテーマです。 「富山ブラック」がいるのはこんな場所。まず周囲に植物が生えていて、緩やかな流れがきいている閉じられた浅瀬です。そしてミミズの色と同じく、その生息場所も全体的になんだか「黒い」のも特徴です。 はたしてこの黒さはなんなのか? 生息場所を上から見るとこんな感じ。中央やや下にある黒い枝を見てみますと・・ 腐った?植物の茎のよう。 こんな感じに真っ黒で・・ ボロボロとはがれる皮が真っ黒。 このような植物由来の腐葉土のような黒い土が石や砂の間に溜まりこんでいるのではないかと思っています。 少し掘ると、富山ブラックおりました。あまりブラックではないタイプでしたが。 掘るとこんな感じに黒っぽい土が舞い上がります。 砂礫はこんな感じ。 同じ場所にはガガンボの幼虫も良くいます。 これが成虫・・なのかは不明ですが、ガガンボも近くにおりました。 で、先ほどの黒い茎となる植物は、これだと思います。 ネットで調べたところ、ヤナギタデ(柳蓼)というタデの仲間。 葉が辛いそうで、それを食べる虫もいるということから「蓼食う虫も好き好き」という言葉が生まれたのだとか‥。また、この辛みを酢で溶いて作る「タデ酢」は、アユの塩焼きの薬味にピッタリなのだとか‥。 そして、もう一カ所のブラック場に。 シジミとの相性がよいことで気になっているタマガヤツリ(左の草)の横に、ここにもヤナギタデがありました。 そして黒っぽい富山ブラックを発見! ちなみに、70㎝ほどの距離を挟んでこの場所の対岸となる草地があります。 それはこんな感じ。こちらにはヤナギタデやタマガヤツリではなく、オオフサモと外来のチドメグサっぽい仲間が繁茂しています。流れの様子もそこまで変わらないのですが、黒い泥質はなく、こちらはもう少し砂質が勝っている雰囲気。そしてシジミはいますが、不思議とこちら側では水生ミミズは見つけておりません。 最後に私がこのところ「畑」と呼んでいる分流へ。 シジミも水生ミミズもたくさんいる場所だからです。 すぐにシジミは出てきます。 そして富山ブラックも・・。 そして畑にだけいる「マッチョ虹色水生ミミズ」にも少し似ているけど輝きが鈍い「水生ドバミミズ」もいました。 砂地に隠れる富山ブラック。 この「畑」に関しましては、とある疑念が湧いてきておりまして・・。 私があまりに掘りすぎるものだから、生息環境を変えてしまっているのではないか・・? なんてことを思っているのです。ちょっと野生とはことなるような、変な場所から変なタイプが出てくるんですよね。 「おぉ!富山ブラック、そこにいるかーー!?」 軽い驚きに目を少し見開きながら、そんな独り言を小さくつぶやいたりしております・・。 これはもしかすると、水生ミミズにおける野生の‥自然の「関係性」を楽しんでいたつもりが、いつしか環境を人工的に変えてしまっていたのではないかと‥。この硬くなった指が変えてしまっていたのではと‥。 そして人工的な「ミミズ畑」を作ってしまっているのではないかと‥. そんなことも感じた、ひさびさの水生ミミズ掘りでした。〈若林〉□
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