本日も雨。それでも埼玉南部はしとしと降りですから、梅雨らしき雨です。

九州から中部にかけてはまだまだ強烈な雨が降っています。

「人の暮らしと川」という概念が、これまでとは変わってしまいそうなほど‥。

いろいろな不安を抱えながらも近所の川へは足を運びます。

ミミズを掘りに‥。

※今回も、センシティブなミミズの画像がたくさん出てきます。苦手な方は、そっとウィンドウをお閉じになってください‥。

 

さて。昨日の話。

まず朝は、ルーティンとなっているいつもの川観察。

いきなりアレな画像ですが、死んで干からびたミミズはアリたちにとってこの上ないごちそうに違いありません。旧石器人のマンモスであり、極北狩猟民のクジラであるのでしょう。興味深いのは2匹が重なり合っている姿。

こっちにも。おそらく・・ですが、交接中(交尾のようなもの)のミミズだったのではないでしょうか。

ミミズが土からはいだしてきて、そこで干からびて死んでしまうことについては諸説ありますが、きっと「こんなはずじゃなかった」ことは間違いないだろう‥とは思うのですが、どうなのでしょう。

ツユクサが咲いておりました。

おなじみのヤナギタデと‥

このところ目立つようになってきた(おそらく)ミゾソバ。いずれもタデの仲間です。

そしてこれら水辺に生える植物の腐った根などが水生ミミズの主要な食べ物のひとつとなっているのではないか・・なんてことを考えています。

すでに掘り痕が数カ所・・。

まさか‥私の他にも掘り師がいるのであろうか‥?

なんてことを考えていましたら、ニゴイがスパスパやっていました。産卵シーズンを終えて、体力を回復してきたころでしょうか。スパスパして何を食べているのだろう‥。この川で掘りつづけてわかったのは、主要となる虫は黒川虫とガガンボ幼虫、それに水生ミミズ‥。石をクチバシでひっくり返すハシボソガラスはおそらく黒川虫がお目当てなのかと思うのですが、ニゴイはどうなのか・・。

タデ類の際で「富山ブラック水生シマミミズ」がおりました。

ちょっと虹色に光っています。この虹色についてですが、流れの中にいるやつは光が鮮やかなんですよね。おそらく・・ですが、もともとの体色というよりも、流れの中で流されないように体を踏ん張ることで身が突っ張ることで輝きが増すのではないか‥なんてことを思っています。同じミミズでも流れの中に入れると輝きます。

水生ミミズは美しい‥。

水生ミミズ同様?腐った根を食べて育つキノコ。水生ミミズもキノコもこのミニマムな世界の分解者なのでしょう。

マッチョ虹色的なやつも見つけることができました。

おそらく‥ですが、こいつも流れの強い中に入れると、もっとビカッと輝くのではないでしょうか。「マッチョ虹色水生ミミズ」は流れが強く開けた所にいるやつほど鮮やかに光る傾向を感じているのですが、これまではその場所に棲んでいるための順応のようなものではないかと思っていたんですね。黒い岩の中から出てきたイワナが真っ黒であるように‥。でも、もしかすると、単純に流れの中にいるやつは身を張っているため輝きが増すのでは・・なんてことも今では思っています。

充実した朝の観察でありました。

さて。本来ならばデスクワークをしに事務所へと向かうところでありますが、この日は外で打ち合わせがありまして、車を走らせ南下します。そして向かった先は・・。

朝に観察していた川の上流部です。

普段観察している中流部も、こちら上流部も、いずれも都市近郊を流れる川のため、上流に行けば行くだけ水がキレイで澄んでいる‥なんていう期待はしておりませんでしたが、それにしても粘土質で茶色いニゴリが入っている感じは少し意外でした。粘土の上に僅かに砂と砂利が顔を出している感じ。コイとカメはたくさんいました。

やや残念な気持ちで、この川と分岐するもうひとつの支流へ。実はそちらのほうは勝手知ったる川であり、いい感じの砂礫底であることは承知しておりました。

水は透き通り、砂礫が表れている印象。水深はくるぶしからひざ下ぐらい。

ミゾソバがたくさん生えてます。

小石と砂利と砂と泥がいい具合でコンポジットされています。いい具合・・とはシジミや水生ミミズがいかにもいそうな「いい具合」です。

すぐにシジミが見つかりました。

カワニナの殻もちらほら。カゲロウの幼虫もいました。黒川虫も。そしてトノサマガエルぐらいの茶色いカエルが足元を泳いでいきましたが確認できず‥。ヤマアカガエルかもしれません。

この川は武蔵野台地を刻むように流れる湧き水豊富な川なのですが、ネットで少し勉強してみましたところ、川は台地上の関東ローム層(富士山などの火山灰由来の赤土です)を突き抜け、その下にある湧き水豊富な武蔵野礫層を流れているのだとか‥。一方、最初に見に行った粘土質の川のほうは、関東ローム層の影響もあるのだそう。単純に生活廃水や工業廃水などによる差だけではなく、地勢的な違いが両者の環境を分けているようで、とても興味をそそられました。

で、この川でも・・

おったー!

小さい。でも雰囲気はオレハチ(オレンジハチマキ水生ミミズ)的なものをまとっています。

背中はすべすべなのに腹側にある毛が結構剛毛な感じがオレハチ的な特徴。

腹側には毛が生えてます。

そしてさらに、もうちょい大きいやつ。

これも伸び率の高いオレハチ的な水生ミミズ。

こんな感じに短く太く縮みます。

そして環帯のあるオトナも見つけることができました。

ケースに入れるとこのように絡み合ってしまうのもオレハチ的。

まあ、控えめにいって気持ち悪いのですが‥。でもここで今回、あることに(ようやく)気づくことができました。日々の観察と、先日購入した本から得た知識により・・。

私が観察きた水生ミミズは大きく2種類に分けられるのだと。

 

まただいぶ長文になってしまいました。でも続けます。

日本にいる大型陸生ミミズのうち、主要なグループは次の二つ。

・フトミミズ科(ドバミミズなど。おそらく幸田露伴が記すところの「はねみみず」を含む)

・ツリミミズ科(シマミミズなど。おそらく露伴記すところの「赤蚯蚓」を含む)

ツリミミズ科は、フトミミズ科に比べて動きが鈍く、釣り餌に向いているようで、形態的にフトミミズ科とツリミミズ科を見分ける点は次のふたつ。

・フトミミズ科は体の周囲に毛が生えているのに対し、ツリミミズ科は腹側にしか生えていない。

・フトミミズ科の環帯は第14~16体節が膨れるが、ツリミミズ科では第22~34体節の間で5~8体節が膨れることによりできあがる。

写真でも分かりやすいのは先端から環帯までの体節の数なわけですが・・

数えてみると、私が観察している水生ミミズにおいても違いは明らかでした。

【(おそらく)フトミミズ科の水生ミミズ】

・マッチョ虹色水生ミミズ

・富山ブラック水生シマミミズ

・水生ドバミミズ

 

【(おそらく)ツリミミズ科の水生ミミズ】

・オレンジハチマキ水生ミミズ

・非マッチョテズルモズル水生ミミズ(シマミミズっぽいやつ)

・オレハチハチマキレス水生ミミズ

そしてこのたび、湧水河川で見つけたこちら

命名「水生りんたろうミミズ」(釣り餌のりんたろうみみずに似ているので‥)

 

となりました。

あとよくわからないのが・・

・細マッチョ虹色水生ミミズ

そして

・くるんくるん水生ミミズ

 

ひとつ傾向として感じているのが、フトミミズ系?の水生ミミズよりも、ツリミミズ系?の水生ミミズのほうが、より流れが効いていたり、湧き水の豊富な川、つまり酸素を要する?ミミズなのではないか?・・ということ。でしょうか・・。

やや専門的な分類に足を突っ込みつつありながら非常に雑な記述にて、あまりよくない書き方だなあ・・と思い始めておりますが、どちらかというと湧き水&清流系と思わしきツリミミズ系をもう少し掘っていこうかなと思っております。ナマズの中でもタニガワナマズを求める‥みたいな?(違うか‥)〈若林〉□

 

★RIVER-WALK Vol.1~Vol.3発売中です!★