今日は曇り。そろそろ梅雨明けの声も聞きたいところですが、また明日から雨の予報‥。

そんな合間を縫って、川へ‥。

やはりいつもの水生ミミズ掘り、でございます。

今日は水生ミミズの虹色について考察を深めようかと、そんなテーマをいだき、たやすく水生ミミズを見つけることのできる通称「畑」へと向かいます。

ところが、これまで見つけることのできていた分流のトロ尻で、見つけることができませんでした。お目当てはフトミミズ科と思わしき「マッチョ虹色水生ミミズ」と「富山ブラック水生シマミミズ」だったのですが‥。おりません。

実は、少し前からとある心配事がありました。

それは私が掘ってしまうことで底質を変えてしまい、その影響で水生ミミズはどこかに行ってしまったのではないかと‥。

特に「富山ブラック~」は、特にその疑念が払えないほどの減りっぷりでした。

少し場所を変えて、「畑」の上流側へ。かつて「富山ブラック~」を大量に見つけることのできた場所です。

かろうじて、そこで「富山ブラック~」を一匹見つけることができました。

「富山ブラック水生シマミミズ」。名著『ミミズ図鑑』などを見ておりますと、フトミミズ科のキクチミミズというやつではないだろうか‥なんてことも思っておりますが、なにせこちらは水生です。

試しにこいつを流れのある所に置いてみると、流されないように踏ん張るためか身が張って、虹色の光沢が出てきました。

おそらくは元々の個体差もあるのでしょうが、同じ個体でも身を張っている時は、より虹色に光るのではないでしょうか。

「マッチョ虹色水生ミミズ」か「水生ドバミミズ」かわからないようなやつも見つかりました。マッチョかドバかは虹色の光沢のあるなしで判断していたのですが、これも流れにさらしてみますと・・。

なかなかの発色。もしかすると「マッチョ虹色水生ミミズ」と「水生ドバミミズ」は同じ種類なのかもしれません。流れの強い所で見つけたギラギラに輝いていたものは「マッチョ~」として、流れの比較的緩やかな所で見つけた輝きの鈍いものを「水生ドバミミズ」と判別していたのかもしれません。

思えばギラギラに輝いていた「マッチョ虹色水生ミミズ」って、ミミズ観察を始めた5月中旬に立て続けに3匹、鮮やかなやつを見つけて以来、それを越すようなやつに会えたことがないんですよね‥。そしてそいつらのうち2匹は流れの急な開けた瀬で見つけたミミズでした。

私、あることが気になっていたんです。

それは観察を開始した5月中旬から、少しずつミミズの居場所がわかってきて、より一層、見つけられるかと思いきや、特に「マッチョ虹色水生ミミズ」と「富山ブラック水生シマミミズ」に関しては、どんどん見つけづらくなっているということです。

努力量はほぼ同じなので、可能性としては・・

①私が掘ることで減らしてしまっている

②季節的にどこかに移動するか死んでしまっている

ということでしょうか。

そんなことを思っておりました本日、おや?と気になることがありました。

それはこちら。確かなことは言えませんが、見た目からはおそらく「マッチョ虹色水生ミミズ」(「水生ドバミミズ」も含め、ここでは「マッチョ~」とします)の若い個体。長さは8㎝ほど、環帯を付けているオトナに比べてだいぶ細い体つき。これらのサイズ、これまで割合としては少なかったんですよね。それが今日は、このサイズが4~5匹おりました。

そこでふと気づいたんです。

「そういや2㎝ぐらいの小さなミミズは見ていないなー」と。

そう、このタイプのミミズでは、小さくてもこのサイズだったんですね。それよりも小さなやつは、このタイプでも、「富山ブラック~」でも見ていないなと・・。

そう思った時、これらのミミズの繁殖期が改めて気になったんです。

「富山ブラック~」は7月の今、ポチポチ見つかるぐらいでだいぶ数は減ってしまった。見つかるのは環帯がついているオトナばかり(これまでは環帯のないやや小型も見かけておりましたが、それよりも小さなやつは見たことがありません)。

「マッチョ虹色~」は、5~6月にかけて大型のものばかりを見ていたが(環帯がないものもいました)、今日は細くてやや小型のものが増えた気がする。開けた瀬で見つけたビカビカのやつはだいたい5月だった気がします。

ミミズの本を見ると、おおよそミミズの繁殖期は6~8月といった感じなんですね。初夏から夏にかけてがメインのようなんです。

ミミズの種類にもよるかとは思うのですが、私がはじめて密なる富山ブラックを流れの緩い水辺で見つけたのは6月9日のこと(当日の様子はブログ【み‥みつです】をご参照ください)。

その日は、今見ると「マッチョ虹色」「富山ブラック」それぞれの環帯なしのものも見つけてました。

そしてなにより、こちらです。

表の石を数個取り除くと、その下には密なる「富山ブラック」(一匹、マッチョ系もまざっています)。

そしてはじめて「光らないマッチョ」という表現をしていたのもこの時でした。こちらも密におりました。

この大量の集合体は、いったいなんだったのでしょうか‥?

その答えに導かれるような出来事が本日、ありました。

ふと、川辺の陸地の石をどけてみたんです。すると・・。

お・・おった! これはおそらく「富山ブラック水生シマミミズ」。そして中央左下には2㎝ほどの小型のミミズもおりました。

めっちゃ元気で、すいすいと砂と砂利と小石の混ざり合った地面へと潜って行きます。ちなみにここも、増水すれば冠水するような場所。でも今は湿ってはいますものの完全に陸地です。

こんな小さなやつも発見。

こんなのも! これはおそらく今年の初夏(6月)あたりに孵化して育ったやつでは・・(かなり適当です)。ちなみにミミズには一年で死んでしまう一年生のものと、複数年生きるものがいるそうです。

トビムシの仲間もたくさんいます。

結構、あちらこちらにいます。深くはなく、石をどかせば出てくるほどの表層。

少し水が残っていたところで跳ねていたミミズを捕まえた・・と思ったらウキゴリでした・・。

マッチョ系もおった! 環帯があるのでオトナですね。

モグラの穴のように、しっかりとした穴を作って収まっていました。

これはまた違う?と思いたくなる長い奴も。「くるんくるん水生ミミズ」のような感じ。

なかなか大型のマッチョ系。

果たしてこいつは「マッチョ虹色水生ミミズ」と同種なのか?・・。

ちょっと水に浸けてみると「マッチョ~」のような輝きこそありませんが「水生ドバミミズ」にはそっくり。でも自らだすと、土の中にいた時よりはぐったりしている感じがしました。

入るところにはいます。土壌の具合が決め手のよう。

ひとつはおそらくこのヤナギタデ。この腐って黒くなった根をミミズは食べているのではないでしょうか・・。

また別の所でも・・。ヤナギタデが倒れた岸にて。

おりました。これは尻尾。おそらく「富山ブラック~」のほうですね。

 

今回の気づきにより、これまでの考えを改めようと思います。

これまで、私が観察してきたのは水の中に棲む「水生ミミズ」で、陸生のものとはまた別のやつだと思っていたんです。でも今回、感覚としては「富山ブラック水生シマミミズ」とほぼ同じだろうと思うミミズが陸地の表層におりました。「マッチョ虹色~」的なほうは何とも言えませんが、「富山ブラック~」は、水中にいたやつと陸地にいたやつは同じなんではないか・・と思います。

そして種類はわかりませんが、これまで見たことのなかった2㎝ほどの小型のミミズも多数見つけることができました。つまりおそらく産卵、そして卵(卵胞)から生まれて初期の段階までは、陸生として土の中にいるのではないでしょうか。

では・・彼らはいったいなぜ、川の中に進出してくるのでしょうか?

私の中に思い浮かんだのは、アリの結婚飛行です。

アリは普段は土中の巣の中で生活しますが、そこで羽根をもって生まれた女王アリと雄アリは、春から初夏にかけての一時に「結婚飛行」と呼ばれる配偶者を見つけるための旅に出ます。巣で生まれた女王アリは、別の巣の雄アリと出会うために旅立つのです。

ミミズは雌雄同体と言われていて、オスメスはないのですが、二匹が並んで交接と呼ばれる連結をして精子を互いに交換するそうです(種によっては単為生殖もすることがわかっており、いろいろとナゾばかりなのですが・・)。

交接するタイプは相手と出会わなければなりません。

出会うには巣穴に閉じこもっているよりも、表に出て相手を探したほうが効率はよいはずです。

夏場、ミミズが雨の後などに路上でたくさん死んでいる姿を見たことはありませんでしょうか?

この「大量死」については諸説ありますが、繁殖のために移動をしているのでは?・・という説もあるようです。

二匹が寄り添うこんな姿を見ると、せっかく意中の相手に出会えたのに‥という悲劇を勝手に妄想してしまいたくもなります。

そして、もしかすると土中よりも開けた水の中も、相手を見つけるのに都合のいい「出会いの場」なのかもしれません。

私が「水生ミミズ」として観察していたものは、生活史の一時期に水中を利用するという陸生ミミズの知られざる姿だったのではないでしょうか。

川底という水中ではオトナでない環帯のついていない未成熟のミミズを見つけることもできますので・・「出会いの場」に限ったことではないのかもしれません。

(6月11日に見つけた富山ブラックは雄性孔?のような何かを突出させておりました。全然異なるものかもしれませんが‥)

ただ、もしかすると、川底の方がいい食べ物にありつけるのかもしれませんし、外敵が少ないのかもしれません。川にでる理由のひとつが「出会いの場を求める」なのかもしれません。

もちろん、まるででたらめで、事実はぜんぜん別・・なのかもしれません。

 

ただ、少なくても一年中を水の中で生きる水生ミミズ・・というよりは、一年のうちの一時を水の中で過ごす・・としたほうが、説明が上手く行くような気がしています。

そう思うと、カラスが5~6月によく川の中で石をひっくり返していたのも、その時期にミミズや黒川虫が多くいるからなのかもしれません。

私が掘り始めたのは5月中旬からなので、それ以前のことはわからないのですが、なんとなくもっと以前から水の中に入っていくような気がしています。もしかすると今日見た若く細いミミズたちは、そのまま水辺で冬を越して少しずつ流れの当たる場所に出て、洗われながらギラギラの「マッチョ虹色水生ミミズ」へと育っていくのかもしれません。おそらくそのギラギラは体の張り、マッチョさ加減そのもの‥とも言えるので、交接の相手としてのアピールにもなっているのかも‥なんてことまで妄想しています。〈若林〉□

 

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