梅雨が明けきらず、むしむしとした天気が続いていますね。 釣りにはよさそうな天気ですが‥ 水生ミミズ掘りにも向いてそう(炎天下じゃない分)。 さて。 このところ、川のミミズ沼にハマっている私ですが、とうとう‥というか、思い切って一歩踏み出し、さらなる水生ミミズの謎に迫ってみました。 ずばり‥夜の川です。 これまで日中に、川底を掘り掘りして水生ミミズを見つけていたのですが、書物によるとミミズは夜行性。ならば夜の水生ミミズは、きっと川底を這いだして泳いでいるに違いない‥と思っていたわけです。 それを確かめに行ってきました。 雪ミミズを見つけた二面護岸の川へ。ドキドキしながら水面をライトで照らしながら進みます。すると‥。 いた‥。「富山ブラック水生シマミミズ」と呼んでいるタイプ。 いた場所はなんと‥垂直に近いコンクリート護岸の壁でした。 昼に雨が降っていたからでしょうか。護岸は濡れてそれが功を奏している様子。水面から這い上がって30㎝ぐらい水面上に出ていました。 太いのもおった。これは「マッチョ虹色水生ミミズ」よりも太くて柔らかい、この川だけで確認しているタイプ。長さは15㎝ほど。1mほど護岸を上っていました。 ギラリと虹色。 ツリミミズ系の…これはおそらく「キジ」と呼ばれるシマミミズでは? やっぱり護岸を登ってる‥。 こっちにも‥。 こっちにも‥。 さすがは夜行性。アクティブに動いています。それにしても‥水の中にいると思いきや、水から這い出して壁を登っているとは‥。 そして、ようやく見つけました。 泳いでいる! これも15㎝ほどあるが、より筋肉質でシマ模様があるタイプ。 でもちょっと思いました。 このミミズは果たして積極的に水中の小石の上を這って移動していたのだろうかと‥。 本当は他のミミズ同様、護岸に登っていたのがコロリと水に落ちてしまったのではないのだろうかと‥。 このミミズは結局、川底の石の下に潜っていきました。
ところで‥。夜のミミズたちは護岸に登って何をしているのだろう‥。なんとか護岸を這いあがってその上にある陸上の土に戻りたいのだろうか‥。3mほど高さはあるが、無理ではないでしょう。 でも良く見ると、どうやら目的は「食事」のようでした。 なんとコケを食んでいたのです。いや、正確に言うとコケの葉の部分というよりもコケの根元やコケ周囲の護岸についた何かを盛んにチュパチュパ吸っています。 ちゅぱちゅぱ・・ もぐもぐ・・ これには少し、戸惑いました。 ミミズは食事をするために川底から這い出して護岸を登っている? そしてコケを食んでいる? ならば彼らはなぜ川底に棲んでいるのだろう‥? 陸上に行けるのであれば、護岸の上にある土の中で暮らしていればよいではないか‥。おそらくはコケの食事を済ませたミミズは、ぽちゃんと水に落ちて、また夜が明けるころには川底の石の裏に潜っていくのでしょう。護岸の隙間からも這い出してきていましたから、そんな所にも潜りこんで日中をやり過ごすのかもしれません。 ちなみにこの川にはヒルとエビもいますが、彼らはミミズを食べてました。死んでいるものもいれば、生きているものもいました。 川に張り出す木から落ちたセミの幼虫も‥。
水生ミミズ‥なんて呼んでいたけど、陸地にも這い出ていけるんです。そしておそらく陸地の土中にも棲めるのでしょう。実はミミズに詳しい方に少しお聞きしたところ、彼らにとっては水の中も土の中もあまり変わらないのかもしれません‥なんて言葉もいただきました。確かに水中にいても石の下や砂の中に潜っている分には土の中にいるのとあまり変わりないかもしれません。 それよりも壁登ってコケ食べているほうが驚きです‥。
そしてどうにも気になってしまい、2日後にもう一度、見に行きました。 やはりいた・・。でも2日前とは様子が違っていました。 壁に登っているミミズが圧倒的に少なかったのです。 理由はすぐにわかりました。護岸が濡れていなかったのです。 代わりに、このように水から這い出して登ろうとしているけどうまく登れないミミズを数観察することができました。 ミミズは護岸が湿っていないとうまく登って行けないようなんです。 コケもかさついてしまっていました。 こんな感じに水面で待機?しているミミズも‥。 その代わりに水辺でうごめいているミミズは一昨日よりもたくさん見ることができました。 泳いでいるミミズも5~6匹は見ることができました。 水生ミミズは夜、川底を這って回るのです。 おそらくは一度、コケを食べようと護岸に取りついたのでしょう。でも思いのほか壁が乾いていたために、また川に戻って「どうしたもんかいなー」と動き回っていた感じです。 図にするとこんな感じ? ①日中の様子。夜も石の裏に隠れているミミズはいます。おそらく毎日は食事をしていないのではないでしょうか(もしくは水中の石の裏でもちゃんと食事ができているのか) ②夜になると、一部のミミズは石の裏もしくは砂利の中から這い出して流れの中を這うように動き回ります。結構な流れの中では、尻尾をまるでオナガザルの尾のように使って石をホールドさせながら頭でとっかかりを探して滑り込ませる‥そんな曲芸で流れを横切ります。流れに向かう形になれば、抵抗がないからでしょう。強い流れの中でも比較的すいすいと上流に這っていくこともできます。 ③水から這い出す時も躊躇はありません。でも水面上に顔を出している石や岩に登る様子は確認できず。湿った護岸に食べ物があることを知っているかのように、常に壁は意識しているようでした。 ④湿っていれば、護岸の溝がないところでも登って行きます。護岸が乾いていると上手く登れませんが、溝をとっかかりにして器用に登るものもいます。 ・・と、こんな感じ。
ちなみに観察を終えた後に激しい雨が降ってきました。ああもしかしたら今ごろ這い登っているかも‥なんて思いながら帰路に着いたのですが、どうにも気になってしまい、また次の朝に見に行ってしまいました。 護岸は湿っておりました。 夜間ほどの大胆さはありませんでしたが、這い登っているミミズがいました。 そして少し石をひっくり返して掘ってみると・・ いたいた‥。こいつらも夜には這い登るのでしょうか‥。
知られざる川ミミズの生態‥。 水生ミミズとばかり思っていたミミズは、どうやら陸生でもあるような‥そんな気がしています(そうじゃないのもいるかもしれませんが‥)。なのでこれから彼らのことをまとめて呼ぶ際は「水生ミミズ」ではなく、「川ミミズ」と呼びたいと思います。 今、一番気になっているのは・・ 川ミミズたちはなぜ、川に入っていくのか?(川に棲んでいるのか?)ということです。 ・身体が乾かない ・モグラなど土の中の捕食者から逃れられる ・川に入れば匂いを消せる‥はず(イタチなどからも逃れられる?) ・暑さを避けられる ・その気になれば流れに乗って大きく移動できる ・食べ物は陸上の土の中のほうが豊富なのではないか?(石の下にいるミミズは何を食べているのだろう? 食べるものが乏しいから護岸に登るのか?) ・魚には食べられてしまうのではないか?(この川には魚の姿がほとんどない) ・もう少し上流域の場合、カワネズミやカワガラスには狙われるのではないか?(カワネズミはモグラの仲間、きっと川ミミズを食べていると思います‥)
これからも少しずつ追っていきたいと思います。〈若林〉□
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