暑い一日。

PCに8、自分に2。という冷風の割り当てになっておりまして‥。

なんとかごまかしごまかし来ましたが、そろそろ事務所での作業もしづらくなってきたこの頃の暑さ。

そんな日々、水辺の川ミミズのことを考えるのが、ひとつの癒しになっております。

いえ‥ですね。

このところ、ずっと考えていることがありまして・・。

それは「積極的に川へと出ていくミミズ」のことについてなんです。

掘れば掘るほど、川ミミズの多くは「自分が川に入りたくて入っているわけでもない」のではないかと‥そんな気になってきたわけです。

ミミズにとっては、まあ食べ物があって湿っていればいいよと。

そこが川の底でも、落ち葉の下でも、腐葉土の中だとしても‥。

食べ物がないのは困るから、夜には食べ物探して少しは動き回りますよと。

でも、そこが別に流れのある川じゃなくてもいいんですよね‥と。

そんなミミズの声が聞こえてくるようです。

 

ですが、また一方で、そんな川ミミズの中にも、正真正銘の川ミミズと言いますか、他のミミズよりは川が好きなミミズ?がいるような気もしていまして‥。

今のところ、それがこちら。

「マッチョ虹色水生ミミズ」。私が川ミミズ掘りを始めたきっかけになったミミズです。筋肉質?で身体に張りがあり、動きが俊敏。川底の上を縦にも横にもウネリながら泳ぐことも、オナガザルのように尻尾を石に巻きつけて流れの中でも体勢をキープしながら次の石にとっかかる‥なんてこともできます。

結局のところ、これがやっぱり最も「流れのある川が好き」なミミズなんじゃないかと‥。

そんな気持ちを少しずつ強くしています。

‥と、言いますのは、ここ最近、仕事で少し離れた所に行くたびに、空いた時間に少しだけ目ぼしい川を掘ることをしておりまして‥。

たとえばこんな、渓流然としたクリアな花崗岩質の白い川。

二面護岸の川でしたが、とてもきれいな川でした。花崗岩質の川底や水際は、ミミズの食べ物に乏しいのか、なかなか川ミミズは見当たりませんでした。わずかにいたのは、ヤナギタデだかアシだかの腐った根が薄く砂礫表面に張っていた、その根の中でした。

長さは10㎝ちょっと。正直なところ、ビカビカの虹色でもありませんでしたし、もう少しだけ細かったので、これがいわゆる『マッチョ虹色水生ミミズ』かどうかはわかりません。そもそもミミズの分類は難しく、外見だけの観察では、なかなか見分けがつかないんですね。ただ、雰囲気は『マッチョ虹色系』のものでした。そしてこのタイプがもっている流れに特化していると思われる大きな特徴は、節ばった尻尾です。

触ると全体的にヌルヌルではなくガサガサとしていて、ヌメリに乏しく、そして尻尾付近は特にザラザラです。おそらくこのザラザラが流れのある川の中を生きるために有効なのではないか‥。そんなことを改めてみたのです。ちなみにハチマキ(環帯)よりも先の節の数から、おそらくはフトミミズ科。

ザラザラ‥といえば、フトミミズ科ではなくツリミミズ科でありましょう通称「オレハチ」も身体(特に尻尾付近)のザラザラが特徴です。ツリミミズ科は総じて水の中、それもフトミミズ科よりも比較的冷たいを好む印象がありますが、動きが緩慢で弱弱しいので、流れの強い水の中で上手く立ち回ることができるのかどうか、少し心配にはなります。でも、実にこのオレハチも、流れの中でよく見かけるミミズのひとつです。

これは最初の頃に見つけた「マッチョ虹色水生ミミズ」の尻尾付近。これぐらいザラザラしているんですね。これまでつい、美しい虹色とマッチョな張りのある体にばかり目を取られていましたが、もっと注目すべきは尻尾だったのかもしれません。

一方、ミミズのたくさんいる近所の二面護岸河川では最近、水位が下がって所々に陸地ができてきています。実は、このところは、「こんな状況でもなお川の水の中にいるミミズを探したい」と思って掘り掘りしているのですが、なかなか川の中からミミズは出てきてくれません。

なんといいますか、陸地ができると、そこは適度に乾いて適度に湿り、さらに落ち葉などが流れ着いて溜まるために食べ物も豊富かつ身も隠せるような、ミミズたちにとって理想の地となるようで、そちらに集中するようなのです。

こんなところですね。

そんな時でも、比較的水に近い所、しかも護岸に近くない川の中央などで見つけられるのが「マッチョ虹色系」なんです。

 

こんなやつ。写真だと尻尾がザラザラしていないように見えますが、結構ザラザラです。

先ほどの花崗岩の川に戻りますが、こんな流れのある場所の岸際で見つけたのが・・

こんなやつ。尻尾ザラザラです。

で、先日、観察した流れの速い川の護岸の湧き水口近くにいたミミズもこの「マッチョ虹色系」のやや小型の奴だったような気がしています。そいつは速い流れの中でもグイグイと泳いで護岸のコケにとっついて潜っていってしまいました。尻尾はやはりザラザラ。

より流れの中を好む川ミミズは、結局のところ「マッチョ虹色水生ミミズ」タイプなのかもしれません。

確かなことは、尻尾付近のザラザラが目立つタイプとザラザラが目立たないタイプが存在しているということ。このザラザラはおそらく土の中の移動にも役立つことでしょうが、どちらかというと流れのある所にいるミミズはザラザラしたタイプが多いのではないか・・という印象もありますので、川の流れに特化したものが獲得した形態でもある・・なんてことだったら楽しいなぁ‥と、夢想しているこの頃です。

尻尾に注目をして、観察を続けます。〈若林〉□