事務所の横の三面護岸河川、通称「ガタ」では、モズが高鳴きをしています。ヒヨドリの「いーよいーよ」という励ましの声ももらいつつ、本日も事務所内作業です。

キーボードと指を温めながら、このところ感じていることを少し。

川辺にあるイバラドームが気になる季節になりました。

「イバラドーム」とは、小さな木に蔓性植物のイバラが絡みつき、ドーム状になった空間のことです(詳しくは過去ブログ【イバラドーム】をご参照ください)。

上の写真で絡みついているのは、イバラではなく枯れたアレチウリですから、正確には「アレチウリドーム」ですね。

横から見るとこんな感じ。

内部はこんな感じです。

周囲に草がたくさんある時には目立ちませんが、特に冬など木の葉も落ちて見通しがよくなると、存在感が出てきます。

実はこのイバラドーム(総称でイバラドームと呼ばせてください)、川沿いに棲む鳥や獣たちの一時の利用空間なのです。

過去に観察した動物を並べると、思い出すだけでもタヌキ、アライグマ、アカネズミ、クイナ、ヒクイナ、アオジ、ツグミ、キジバト、キジといったところ。

タヌキはトイレとして、アカネズミやキジを除く鳥たちは食事場として利用していました。

おそらく隠れ家の少ない都市型河川において、意外にも重要な自然構造物だと思います。でも、これって恒常的なものではなく、できたりなくなったりと常に変化しているものなんです。

枯れた草は崩れ落ちてしまいますし、都市型河川だと清掃も入ります。

たまたま今は、こんな状態になっているものを動物たちは利用しているってことなんだと思います。

そう、このたまたま‥つまり偶然による瞬間的な自然変化を、動物たちは利用しながら生きているというわけです。

イバラドームの中で種子を食べるアオジ。

ツグミ。

ヒクイナ。

たとえばこんな三面護岸河川。

こんな所に、たまたまポツンと置かれた石が、多くの生き物たちの生活の場となっています。

たまたま投げ捨てられた?車のナンバーに上流から流されてきた砂や泥がたまり、そこに植物が生えて浮草が寄り集まってきます。

周囲には何もない所にポツンとこんなオアシスのような極少空間が偶然の人間のゴミ投棄という行いによって生まれます。

そこでたくさんの川ミミズたちが生活を営んでいます。

かれらはたまたま今、ここにいるだけなのか、代々ここで子孫を残しながら生息しているのか、それはわかりません。ただ、たまたま「今ここにいるだけ」ということの連続によって命をつないでいることも、自然界には多々あるような気がしています。

人間の行いが目立つ都市型河川を観察していると、環境の変化が急で規模も大きいため、そう思えるシーンに多々出会うのかもしれません。

ですが、もっと人の手つかずの自然の中でも似たようなことは普通に起こっていて、偶然による瞬間の連続の中で生きものたちは生きているのかな‥なんてことを思ってしまいます。

変化する‥といえば、我が事務所前のガタ。

これは今の様子です。

水量が乏しく、溜まった泥が湿るぐらいの所も多くなり、そうなるとタヌキやイタチ、アライグマが餌を求めて徘徊し始めます。潟は湧き水の影響なのか、冬でも雨がしばらく降らなくても完全に乾ききることはなく常に湿っています。なので冬場でもザリガニやドジョウが泥の中にいて、それらを獣や鳥たちは食べています。

同じ場所が、夏の草刈り前はこんな感じ。

カルガモの子育ての場所になってます。この時期に草刈りをして隠れ家がなくなれば、カルガモは他の場所に行くでしょう。

春はこんな感じ。田んぼの関係で水量は多めです。

その水位を利用してコイやフナ、ナマズが産卵にやってきます。この頃に田んぼの水を落とさなければ彼らは他の場所で産卵をするでしょう。

彼らはきっと、思うよりもっと、偶然による瞬間の連続の中で生きているんだろうなーと、埼玉南部の都市型河川流域を歩きながら考えています。〈若林〉□

 

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