今日は明るい曇り。少し暑くなりそうな気配もありますが、許容範囲には収まりそうです。 昨日、7月7日は七夕ですが、「川の日」でもあるそうで・・。 思い立って仕事帰りに少しだけ夜の川へ・・。 段丘崖との接点です。いつも観察している川よりも明かりも人通りも少なくやや及び腰にはなるのですが、どうしても確認しておきたいことがありまして・・。 先日、朝に観察した際、たまたま一匹の「マッチョ虹色川ミミズ」が川底を徘徊していたんですね。 こんな川で・・ こんな感じに。 1時間31分の尾行の末、最終的にこのミミズは流れの流心の手前ぐらいまで進み、川底へと潜って行きました。水深は20㎝。(この時の様子は過去ブログ【1時間31分の観察】をご参照ください) で、こちらは昨日の朝に同じ川で観察した川ミミズ。石をひとつどかした状態です。 このように、川のあるところには多くの川ミミズが川底の石とその下の砂との間で暮らしています。(この様子は過去ブログ【少しずつ理解を進める】をご参照ください) ミミズは夜行性ですから、夜になると活動的になり、あるものは這い出して護岸を登ったりする様子は別の川で観察しています。 ですがこの川では夜に一度だけ来たことはありますが、しっかりと観察したことはなかったんですね。 そして最近の観察で、自分の中では「表層種」と「浅層種」の間には結構大きな違いがあって、川の流れの中で暮らしているミミズは「浅層種」なのではないか?という妄想的な仮説を立てておりまして・・。 いつも夜観察している川は、どちらかというと、表層種のヒトツモンミミズが多い川なのですが、この川は、しっかりと流れの中で暮らしている(浅層種と思わしき)ミミズたちがいることがわかっているので、ぜひ彼らが夜のどのような動きをしているのかを観察してみたいと思ったのです。 期待としては次のような感じ。 ①先日の朝、徘徊していたミミズは夜の間も這い回っていて、その延長で朝方に私に見つかってしまったのではないだろうか? ②その後、流れの中の川底に潜っていったことから、日中は川底で暮らしているのではないか? ③そして夜になると、また川底から這い出してきて、餌を食べるために岸近くを徘徊し始めるのではないか? ④そして私はこれらのミミズ(主に「マッチョ虹色川ミミズ」)が日中、どこにたくさん潜っているかを知っている。 ⑤ならば、日中たくさん潜っている場所の近くで観察すれば、川底に這い出して徘徊しているミミズをたくさん見ることができるのではないか? このような期待のもと、夜の川へと向かったのです。 結構、驚いたのはカマドウマがたくさんいたこと。おそらくマダラカマドウマというやつではないでしょうか。干からびたミミズを食べてます。 ひさびさに見て嬉しくもあり、やはり少し苦手でもあり・・。 そしてすぐ近くの森で「ぎゃー!!」というケモノの声とガサガサ音。おそらくタヌキかとは思いましたがかなり心臓が握り込まれました。さらに川に入って二歩目で長靴に浸水。いつもは2㎝弱の余裕があるのですが、水位が上がっていたのか、夜なのでルートを誤ったのか、開始早々両足がズブズブです。 そして目的の場所へ・・。 ウキゴリでしょうか。 でかくて太いのもいました。小さな川ミミズが徘徊していたら、きっと食べているのだろうと想像できる体型。 アメリカザリガニもたくさん徘徊しています。このところ日中に死骸を見る機会が増えているのですが、共食いなんかもあるのかな・・。 そしておそらくは石の下の卵を守っているヨシノボリ。 ヒラタドロムシの仲間の幼虫。石の裏ではなく表側にいるのが夜ならではですね。 カワムツの稚魚かな? オオカナダモの近くには小魚が群れていました。 お目当の場所に到着。一見したところ、ウヨウヨ湧いているわけではないようです。残念・・。少しは観察できると思ったのですが、正直期待はずれでした。 そして鉄の矢板に沿って上流に進みながら観察をしましたが、まるで見つけることはできませんでした。 意外だったはこちら。 でか! 長さ23㎝ほどあるヒトツモンミミズが結構な流れの中を泳いでおりました。水深は20㎝ほど。正直、表層系のミミズが出現することはなぜか頭にありませんでしたので驚きました。 下流に向かって進んでいたようです。 そしてさらに進んでいくと、鉄の矢板の凹みの部分に・・ いました。2匹います。長さは10㎝ほど。ノロのような藻類にぶら下がっています。なんだかとてもリラックスした様子。 光を当てたからなのか、一匹は川底に落ちてしまいました。でも動きも緩慢でのんびりした感じです。 次の矢板の凹みにもいました。 小型の「マッチョ虹色」でしょうか。 一匹だけ這い上っているやつも。 他にも小さやつがちらほらいました。 先日、朝方にミミズが徘徊していたところまで行って、また下流に戻っていきます。 ヒトツモンミミズはまだ徘徊中でした。 護岸の苔の中にいるやつも。 10㎝ぐらい。 期待したほどではありませんでしたが、いるにはいるなと。ただ護岸を這っているやつに関しては、川底から出てきて護岸に向かった可能性もありますが、そもそも護岸の隙間や苔の中に棲んでいて、それが夜になるとともに出てきた可能性もあります。 川底にいるやつは出てこないのかしら・・。 そう思いながら、少しだけ時間をおいて、もう少しだけじっくりゆっくりもう一度だけ同じ場所を上流に向かっていきます。 するといました。10㎝あるなし。つまようじよりは太いけど、そこまで大型ではありません。川底の石やヒゲナガのネットをかいくぐりゆるゆると進んでいます。 「マッチョ虹色」かな? 環帯がうっすらありますが、完全ではないようなので幼体か亜成体と行ったところでしょうか。 こちらにも。さっきと同じぐらいの大きさ。 意外・・と言えば、日中、たくさん潜っている場所は、どちらかというと流れの効いた場所なんですね。なので最初はそんなところばかりを見ていたのですが、このようなふわふわした有機物?が溜まるような場所をじっくり観察すると姿を見ることができました。 これは尻尾が埋まっているような・・。這い出してきたところでしょうか。やはり流れは緩やか、ほとんどないようなところです。 矢板の凹みの底にもいました。これは最初に矢板を這っていたやつかもしれません。ふわふわとゆったり這っています。 アメリカザリガニがせっせとオオカナダモの切れ端を運んでおりました。 これはつまようじぐらいの太さの小型(7㎝ぐらいかな?)ですが、石を登っていました。なんだか少しずつ見えるようになってきた感じ。 さらにもう一匹! 10㎝ちょっとぐらいの長さ。 夜の観察は光を当ててしまうので、その時点でおそらく通常の動きとは異なるものになってしまうと思い、深追いはしていません。 さらにもう一匹。 思えば先日の朝に徘徊していたミミズも、こんな底質のところを這っていました。
今回はこんな感じでした。 観察を終えて湧いてきた新たな疑問は・・ ・歩いているミミズは川底から這い出てきているのだろうか? ・地面の這い出しにタイミングがあるように、大量に這い出す条件もあるのだろうか? ・結構、ウキゴリやヨシノボリなど魚とも近い場所にいるが、どのぐらい食べられているのだろう? ・なんのために這い出しているのだろうか?(より餌のある岸際に来るのか?) ・ヒトツモンミミズはどこからやってきたのだろう?(上流にある岸辺? それとも川底から這い出してきた?)
うーむ・・。 また行くしかないか・・。〈若林〉◻︎
【お知らせ】川辺の自然観察をまとめた一冊、『武蔵野発 川っぷち生きもの観察記』発売中です!(アマゾンの販売ページはこちら) ★RIVER-WALK Vol.1~Vol.3発売中です!★
|