8月も、もう終わりですね。だいぶ涼しくなりました。

『Danny boy』なんかを聞くと、だいぶもうグッときてしまう季節です。

ひと夏かけて、随分と川のミミズを観察しましたが、途中で興味が二分してしまったために、見落としてしまったことがありました。

それは、私が2年前から『オヨギデカミミズ』と呼んで、7月に観察を楽しんでいた大型ミミズ(おそらく大部分はヒトツモンミミズ)の「行方(ゆくえ)」です。

7月後半から、他の川で、川ミミズの這い出し行動の観察に夢中になり、約4週間も間を空けてしまったのです。お盆過ぎに4週間ぶりに行ってみると、あれほどいたヒトツモンミミズや、それを含む『オヨギデカミミズ』たちは姿を消してしまっていたのです。同じくとてもたくさんいた『しまぐろミミズ(おそらくキクチミミズ)』も、同じく姿を消してしまっておりました。

このところは、彼らがどこに行ってしまったのかを探す日々、なのですが・・。いません。どこにもいません。

もしかして、護岸の上に這い上って行ったのかな?

そう思い、護岸の上の土にソメイヨシノの落ち葉が溜まったところを少し掘ってみましたが、中型のフトミミズが一匹いたぐらい。土は硬く、落ち葉は薄く、思っていたよりも、彼らが暮らす条件が整っているようには感じませんでした。

私が観察している範囲は、100mぐらいでしょうか。その上流側と下流は、長靴ではそれ以上いけないほどの淵になっておりまして、そこまでは広く探してみたのですが、ヒトツモンミミズは唯一、観察範囲の護岸沿いに一匹だけ。キクチミミズ?は夜に唯一、護岸の穴に一匹だけ見たぐらい。

いったいどこに行ってしまったのか・・。

いくつかの可能性を想定して、探っています。

①水位が下がって露出した川底にソメイヨシノの落ち葉が溜まったような小さく湿った陸地。

こんな感じのところです。ちなみに唯一のヒトツモンミミズは、こんな場所で見つかりました。

こんな感じに背中の色がとても濃くなっていました。

②ヤナギタデやミゾソバなどが生えたもう少し土のある陸地。

こんなところです。ここはハリガネムシがいた場所でもありますが、ほとんど表層性と思わしき大型ミミズは見当たりません。

①②の場所には、ミミズ自体はいます。それも結構たくさんいます。

それは小型から中型、5〜10㎝ちょっとぐらいのミミズです。このように坑道を作っていることから、おそらくは地中性のミミズなのだと思います。地中性種は越年性でもあります。おそらく冬場まで、こんな感じのまま暮らすのかもしれません。ちなみに当ブログに度々出てきます『マッチョ虹色川ミミズ』は、おそらく地中性種だと思います。冬にも見ることができますし、このように土の中から出てくるミミズの何割かは『マッチョ』っぽいミミズです。

私が今、気になっているのは、表層性のミミズ、特に大型のヒトツモンミミズです。彼らは10〜11月ごろに産卵をして、その後はすべて死んでしまうという生活史を持っているそうです。

ちなみに私が今年観察した印象は次の通りです。

6月中旬:川に出現。結構急に現れ、日増しに増えていく。

7月上旬から下旬:川に頻繁に出現。雨などで護岸が濡れていると、それを這い上る姿を観察できる。またときに、川底を泳ぐ姿も観察できる。護岸の穴から顔を出して、苔の周りの有機物?を食んでいる姿が最も一般的。

7月下旬から8月中旬:ナゾ(未観察)

8月中旬から8月下旬:たくさん観察できていた川辺からいなくなる。

産卵期が10月からだとしたら、今の時期は産卵前の準備期間のようなタイミングですが、いったいどこで何をしているのでしょうか・・。

ちなみに、上の①や②の場所を探していると、別のタイプの大型フトミミズが時々現れます。

こんな感じ。

これが何ミミズなのかはわかりませんが、ヒトツモンミミズではありませんでした。

こんな感じにも。

これもヒトツモンではありません。

トカゲもちらほら。

9月の観察を経てみないとわかりませんが、なんとなく、同じ川の区間を定点観測していますと、ミミズと一口に言っても、様々な種類が季節ごとにこの場所に現れては消えていく感覚があります。

言い換えれば、この場所を利用しては、去っていく印象。

この川辺は一時的な利用、なのかもしれません。

彼らはどこからやってきたのでしょう。

そして、どこに去っていくのでしょうか。

・上流下流への大きな移動があるのか?

・深い層への移動があるのか?

・護岸を這い上ったり、這い下ったりしているのか?

・護岸の上から落ちたものが、流されて去っていくのか?

・一気に食べられたり死んでしまっていなくなるのか?

産卵期に向かうタイミングでの移動ということは、いる場所にはごっそりといる・・みたいなことがあるような気もしています。

カギとなるのは、彼らの産卵適地です。

ただ同時に気になっているのは、ここが二面護岸河川という人工的でエコトーンの乏しい川だということです。陸地はわずかにあり、このところ水位が下がって川底が干上がり、陸地の面積が増えてはきていますが・・・。

護岸の上の落ち葉だまりが怪しいと思っていたんですけどね。そんな感じでもなさそう。

ちょっと行き詰まりを感じています。〈若林〉□

 

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