毎日とても暑いですね。埼玉南部の午後はサウナの熱波を浴びているようです。陽射しもジリジリととても暑いです。バテないように、でもある程度は野外観察もしたい時期ですから、ていねいにテクニカルに毎日を過ごせればと考えています。 さて。前回のブログで、河床を這い回る川ミミズにはなぜ大型が多いのだろう?という疑問について考えを巡らせました。 ・大型ほど流れに対応できるため ・大型ほど多くの食べものを必要とするため ・大型ほど外敵にも対応しやすいため(ドジョウやアメリカザリガニに対して) こんなことを考えたのですが、もうひとつ、忘れていた視点がありました。それは・・ 成体には卵を産むための場所を探す必要がある という点です。 河床に這い出す川ミミズは成体が多く、この夏に観察している川のフトスジミミズとヒトツモンミミズについては、ほぼ整体ばかりです。そしてなんとなくですが、7月初旬に主流だったフトスジミミズは少しずつ数を減らし、少しずつ数を増やしてきたヒトツモンミミズが数を増やしているように思えます。別の川でもヒトツモンミミズは7月が這い出しのピークになりますので、時期的には合っているように思えます。 そしてその別の川では、お盆を境に一気にヒトツモンミミズが姿を消すのです。あくまでも印象ですが、出てくる時も急に一斉に現れて、姿を消すのも一斉に姿を消す印象があります。一斉に姿を消すのは、どこか卵を産む場所に移動しているからでは・・?なんてことを考えていたことを思い出しました。 以下、少しだけ2年前のブログでその点について書いていたブログを抜粋します。 (2022年8月29日のブログ【一時的な利用という可能性】より抜粋) 私が今、気になっているのは、表層性のミミズ、特に大型のヒトツモンミミズです。彼らは10〜11月ごろに産卵をして、その後はすべて死んでしまうという生活史を持っているそうです。 ちなみに私が今年観察した印象は次の通りです。 6月中旬:川に出現。結構急に現れ、日増しに増えていく。 7月上旬から下旬:川に頻繁に出現。雨などで護岸が濡れていると、それを這い上る姿を観察できる。またときに、川底を泳ぐ姿も観察できる。護岸の穴から顔を出して、苔の周りの有機物?を食んでいる姿が最も一般的。 7月下旬から8月中旬:ナゾ(未観察) 8月中旬から8月下旬:たくさん観察できていた川辺からいなくなる。 産卵期が10月からだとしたら、今の時期は産卵前の準備期間のようなタイミングですが、いったいどこで何をしているのでしょうか・・。(抜粋ここまで) おそらく・・ですが、川に出現するヒトツモンミミズにとって7〜8月は一つの大きな節目の季節なのではないでしょうか。そしてもしかするとそれは、餌を食べるためという理由もあるでしょうが、産卵適地を探すため・・という可能性もあるなと、そんなことを思いました。 サケのメスが「川に育ててもらう」ために卵を産む場所を十分に吟味するように、川ミミズたちの這い出しも、川という環境下において「川に育ててもらう」ために卵や生まれてくる子供たちにとってベターな環境を探し回っているのかもしれません。 ちなみに同じ川で、3月下旬に全長2㎝ほどのフトミミズの幼体を流れのほぼない凹んだ泥底場で確認しています。 こいつは川底に這い出してました。このほか3例ほどは見ています。おそらく生まれた幼体が餌を食べやすいのは流れの緩やかなところであり、土や泥や腐蝕が溜まっていればそんなところではないかと・・。 今のところの目論見では、8月中旬あたりに、そんな場所を探してみれば、もしかしたら卵胞や卵を産む姿を観察できるのではないか・・なんてことを考えています。 雷雨で1mほどのあった翌日である昨晩、ヒゲナガの捕獲網は変わらずありました。しかしこの日、這い出しはとても少なく、姿を表していたのはフトスジミミズ2匹のみ。ですが、河床をよく見ると、ヒゲナガの巣が集まっているところにヒトツモンがいることがわかりました。 試しに少し、新たに溜まったと思わしき砂礫を掘ってみると・・。 いましたいました。 結構、固まっています。 ひと掘りで3匹ほど出てきました。局所的に集まっている? 一気に出てきたのを集めて撮影。ただ、これらは大水による逃避的な集合である気もしました。 ただ7月下旬時点で、まだまだ川にはいます。こいつらが河床に姿を見せなくなったタイミングに彼らの居場所を突き止めることで、彼らが這い出す理由に近づくことができる気がしています。〈若林)□ 【お知らせ】 川辺の自然観察をまとめた一冊、『武蔵野発 川っぷち生きもの観察記』発売中です!(アマゾンの販売ページはこちら) |