すっかり姿を消してしまった川ミミズたち。

今年の6〜7月も、わずかな時間ながら、有意義な観察ができました。

川ミミズを観察して早3年。こんなにも延々と興味を持ち続けているなんて、思いもよらず。

私にとって川ミミズの観察は「川を観察すること」そのものなのだと気付いたことが、これほどまでに長く観察を楽しく続けられているわけなのだと思います。

というわけで、今年の観察を踏まえ、現時点での小まとめをしたいと思います。

私が「川ミミズ」と呼んでいるミミズは、川底を這っていたり、川の護岸を這い上っていたり、川底の石の裏にいたりするーーつまり、川で見ることのできる大型の陸棲ミミズなのだと思っています。

水生ミミズといえば、例えばイトミミズやエラミミズのように、もっと小さく常に水の中に暮らしているミミズたちもいますが、私が「川ミミズ」と呼んでいるミミズたちは、土の中にもいるけれど、川の中にも出てくるミミズたちなのだと思っています。

そして今のところ、こんな感じなのではないかな・・と考えている概念図がこちらです。

このように、川ミミズは大きく分けて2タイプいるのではないかと。

表層性・地中性という区分けは、実際のミミズ研究者たちも用いている分け方です。

表層性(表層種)=リター(落葉)層に生息し、腐植や分解の進んだ落葉を食べる。夏までに生息し、冬には死滅して卵で越冬する年一化の生活史を送る。

地中性(地中種)=土壌中に生息し、有機物に富んだ鉱質土壌を食べる。越年性。

これは『土の中の生き物たちのはなし』(朝倉書店)の中で、ミミズ研究者の南谷幸雄さんが書かれているものを、内容を変えずに一部書き換えたものです(ちなみに、このほかに「表層採食地中種」というタイプもいて、本では3タイプを紹介しています)。

いわゆる「川ミミズ」は、10種類を超えるぐらいは観察しておりまして、多くのミミズが状況によっては川にも入ってくるのではないかと考えています。ミミズは種判別自体がとても難しいため、正確に何種類なのかはなかなか自然下で観察しているだけではわかりません。私がかろうじてわかるのは、2種類だけ。

それはともに表層種であるヒトツモンミミズとキクチミミズです。

ヒトツモンミミズです。成体の大きさは、15㎝ほど。大きいです。

こちらお腹側の写真ですが、Dの位置の斑紋がヒトツモンミミズの特徴なので、見分けることができます(今年の初夏に判別できるようになりました)。

キクチミミズがこちら。川辺にとても多いミミズで、私はその色合いから「富山ブラック川ミミズ」「しまぐろミミズ」などと呼んでおりましたが、ミミズに詳しい方から、それはキクチミミズだろうというお言葉をいただいたので、以降はキクチミミズと表記したいと思います。何よりも黒っぽい縞模様が特徴のミミズです。大きさは成体で10㎝前後といったところでしょうか。護岸を這い上る姿をしばしば観察していますが、なんと木に登ることも、南谷さんが報告しています。

キクチミミズにつきましては、また改めてブログにまとめてみたいと思っています。

ヒトツモンミミズとキクチミミズは、私が観察をしている川で、6〜7月には最もたくさん観察できるミミズたちです。言い換えれば、川辺で最も姿を晒す形で活動している2種とも言えるかもしれません。

ところが、お盆過ぎには、これらがほとんど見られなくなってしまいました。

一年で死んでしまう表層種だからこそ、なのでしょうか・・。来年の夏は、なんとか消えゆく彼らを観察したいと思っています。

対して私が観察している川ミミズの中で、地中種ではないかと思っているのがこちらです。当ブログを読んでくださっている方々にはおなじみの・・

「マッチョ虹色川ミミズ」です。

美しい虹色が特徴。

こちらはおそらく、地中種だと思っています。大きな理由の一つは、冬にも観察することができるためです。ただ、私が「マッチョ虹色」と呼んでいるミミズは、あまりにも大きさや色合いに幅がありすぎます。なので、おそらくは複数種を合わせて「マッチョ虹色川ミミズ」と呼んでいるのだと思います。

このミミズについては、この初夏、別の川で川底への這い出しを観察することができました。

上の写真二つは、掘り起こした後に潜っていくシーンですが、実際の這い出しは・・

こんな感じ。これは朝の這い出し。

こちら夜の這い出し。

7月は一晩で最高7匹の這い出しを観察することもできました。

もう一つ私が「オジロ川ミミズ」と呼んでいるミミズの這い出しも見ることができました(上の写真は掘った後の写真で実際の這い出しではありません)。

夜の這い出し現場。

この夏の這い出しの観察を統合すると、おそらく彼らは日中も川底で暮らしているのではないかと考えています(実際に日中、川底を掘り起こすと出てきます)。

これはヒトツモンミミズやキクチミミズでは、あまり見られないケースです。あまり見られない・・と書いたのは、見られることもあるからです。

日中、これまた別の川ですが、岸辺のエコトーンには、このように表層種のキクチミミズと、地中種と思われる「マッチョ虹色川ミミズ」が一緒にいることもあります。重なり合ってもいる、というわけです。

そこで、今一度最初の図に戻ります。表層種と(おそらく)地中種は、両方とも川底や垂直護岸、その近辺の湿った陸地で観察することができますが、このように重なり合いつつも、少しズレているのではないかな?というのが現時点で私が感じていることです。思えば、壁を高くまで這い登るのは、ほとんどがヒトツモンミミズとキクチミミズです(あと「クリームオヨギデカミミズ」も結構這い上りますが、これはまた謎に満ちたミミズでして・・)。

対して地中種だと思わしき「マッチョ虹色川ミミズ」や「オジロ川ミミズ」は、日中も川底で暮らしている様子をたくさん観察しています。そして夜や朝には川底を徘徊する様子も観察しています(90分ほど観察して、最終的に流心近くの川底に潜っていった例もあります)。

なんとなく・・ですが、より川の水中に依存しているのは地中種の方ではないかと。表層種のヒトツモンミミズやキクチミミズは、川の水中だけでなく、陸地や護岸も含め、とにかく広い範囲を徘徊するミミズなのではないかと。そんなことを考えるに至りました。

来年は、もう少しテーマを絞って、この2タイプの川ミミズの暮らしについて、また、そのどっちかもよく分からない、そして私が最も愛してやまない(?)「クリームオヨギデカミミズ」の暮らしについて、観察を重ねていきたいと考えています。

来年も見たいぞ(と言っている時点で一年生の表層種だとは思うんですけどね・・)、「クリームオヨギデカミミズ」。〈若林〉□

 

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