ひさびさに段丘崖の接する川に行ってきました。 ヒトツモンミミズやキクチミミズなどの表層種はほとんど見られなくなってしまいましたが、こちらの川底を這う川ミミズは、一年で死んでしまう表層種ではなく、冬を越す越年種ではないか・・との見立てがあります(2種類の川ミミズについては過去ブログ【2タイプの川ミミズ】をご参照ください)。 こちらの川を最後に見たのは8月15日前後に2回でしたから(その時の様子は過去ブログ【いなくなってしまった】をご参照ください)、およそ1カ月ぶりといったところ。まだ残暑はありますが、随分と夜は涼しくなった印象です。 水位は平水より1〜2センチほど低め。別段、他には変わった様子はありません。 おそらく羽化したてのヒゲナガカワトビケラ。ヒゲナガは3月ぐらいから秋までずっと羽化する姿を目にしますが、捕獲網と呼ばれる、川を流れる有機物をキャッチするためのネットは、今はあまり見られません。捕獲網は春から夏に多いかな? これです。このネットに引っかかった腐植や藻類、動植物の遺骸のカケラなどをヒゲナガの幼虫は食べているのですが、私は、川底を徘徊する川ミミズも、このネットから食べ物を拝借しているのではないかと考えています。 たくさんある時はこんな感じです。 朝方、徘徊していた川ミミズが捕獲網近くでもぐもぐしているのは観察しています。 同時に、このように石についた苔や、苔に溜まった有機物?をもぐもぐしている姿も観察しています。 さて。 話を当日(昨晩)に戻します。 ヨシノボリの姿もちらほら。 ウキゴリの姿もちらほら。この他、カワムツかオイカワの幼魚と思わしき小魚も緩い流れに群れていました。 アメリカザリガニの数はまた増えた印象。 なんと、オスメスが抱き合う交尾も観察することができました。 アメリカツノウズムシ、でしょうか? ウズムシも夜になると石の表に這い出してきます。何かを感じて集まっているのでしょうか・・。 そして水深10センチほど。護岸沿いの、こんな緩い流れで・・ いましたー! ひさびさの徘徊川ミミズ。長さは8センチほど。細く、環帯はなし。「マッチョ虹色川ミミズ」あたりの幼体でしょうか。 こんな感じです。 石の上に積もった何かをもしゃもしゃ・・。 白色LEDを当てているので、完全な通常行動とは言い難いのですが・・ しばらくもぐもぐは続きました。 観察者(私)の腰が限界を迎え、離れることに・・。 すぐ近くに、しっぽだけ出したやつがもう1匹。 手前の石をどかしてみると・・。 こちらも幼体ですが、こっちは「オジロ川ミミズ」かな?(わかりません・・) それにしても、川底に降り積もったゴミのような有機物?のような物体は、徘徊ミミズたちのちゃんとした食べ物になっているのでしょうか・・。 川ミミズ・・特に、表層種よりも恒常的に川底に暮らしているであろう地中種たちが、川の流れの底で、そして時に川底を徘徊して何を食べているのか? それが目下の気になりごとです。 完全に妄想ではありますが、地中種の川ミミズが川底を徘徊する一番の目的は、餌を食べるためなんじゃないか・・。なんてことを考えています。 岩に生えた苔や藻類、そこに溜まった有機物?らしきこまごまとしたもの。ある程度、流れの強いところでは、ヒゲナガカワトビケラの幼虫が作った捕獲網に引っかかったもの。これらが一般的に陸棲ミミズの棲んでいる土壌や腐植層で得られる食べ物に比べて、どのぐらいの栄養があるのか・・。 自宅で飼育している川ミミズは、ツリミミズ科で、ここで紹介しているフトミミズ科とはグループも違うため、なんとも言えませんが、とにかくよく腐植を食べますので・・。 捕食者と考えられる魚やモクズガニ、アメリカザリガニなどがいる川底に身を露出してまで徘徊する理由は、一体なんなのか・・。 ヒトツモンミミズやキクチミミズなどの表層種が護岸を這い上るのとは、また別の理由が、地中種にはあるのではないか? そんなことを考えています(表層種の護岸這い上りの理由もナゾですが・・)。〈若林〉□
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昭和55年、小学校に上がる前に志木ニュータウンに越してきて27歳まで住んでいた者です。
『武蔵野発 川っぷち生きもの観察記』が発売したばかりの頃に志木駅構内の書店に平積みにしてあって懐かしさの余り購入させていただきました。
いつもは都内に住んでいますが休暇で一週間ほど滞在する事になり、毎日柳瀬川をコースを変えて散歩しています。
水谷田んぼに鮒やカエル、ザリガニ、水生昆虫なんかを友達と取りに行った日々を思い出しながら。
懐かしいけど寂しいようなそんな気持ちで歩いています。
コメントをいただき、ありがとうございます。
そして、本を読んでいただき、ありがとうございます。
昭和55年、私は小学校の3年生ぐらいで、東京都の田無市(今の西東京市)で、おーちゃんさんと同じように、近所の雑木林で友達と虫や小魚とりなどして遊んでました。この歳になって実家に帰ると、懐かしさとともに、周囲の街や道がこんなにも小さかったのかと驚きます。
27歳までと言いますと、若かりし頃のほぼ全ての時間を柳瀬川の川っぷちで過ごされたということですね。
かつての柳瀬川は、今よりも汚れていたなんて話も、地元の年配の方にお聞きしたことがありますが、水谷田んぼや周囲の雑木林などは、今よりも自然豊かだったのではないでしょうか。
水辺に行くと、普段あまり目にしない水面の光の反射や、木々の木漏れ日など、ちょっとした瞬間の光景や、川を渡る風の匂いなどが、かつての記憶を呼び起こす感覚があります。柳瀬川や水谷田んぼのお散歩でも、そのような瞬間を楽しまれているのではないでしょうか。
ちょうど今は、北の方からカモやオオバンが飛来してくる頃ですね。
夏の間も過ごしていたカルガモと、新しくやってきたマガモやコガモ、ヒドリガモなどとの、人見知りのような距離感が楽しい時期だと感じています。
良い季節の川っぷち生きもの観察を、楽しまれてください。
ご丁寧な返信をありがとうございます。
wpmasterさんは田無で場所は違えど同じような経験を子供の頃にされていたのをお聞きして親近感を覚えます。
また今のお仕事をされるまでは大変な努力をされてきたのだと想像出来ますが、好きな事をお仕事にされている事を羨ましく思います。
本を読んで私のように子供の頃を回想し、懐かしい場所にふらっと訪れた方もいらっしゃると思います。
生き物好きにはたまらない内容の本であると同時に懐かしくもセンチメンタルな気持ちも思い出させてくれる素晴らしい本です。
おっしゃる通り川の水面の光の反射や流れる音、川を通る風の匂いさらには川辺で遊ぶ子供たちの声などを聞くと子供の頃の記憶がフラッシュバックされます。
友達と水谷田んぼの小さな水路を泥ごと掬い、中にいる生き物を持ち帰ったのを場所まで鮮明に思い出してしまうのが不思議です。
それこそその時に通った東上線の色まで。
水谷田んぼに行く時に雑木林があったのも思い出します(酒屋さんが少し入って開けた場所にぽつんとありました)
それから昔の柳瀬川といえば、しばらく時を経て1987年中学生の時に理科の授業で観察に行ったのですが、とてもドブ臭く、大きな丸々太ったコイが群れていたのと川底にアカムシがいたのを覚えています。
あれから45年を経て当時とは比べ物にならないくらい綺麗になった柳瀬川で今日はコサギ、アオサギ、カルガモ、マガモを観察出来ました。
河童の石像を撮っていたら、後ろに散歩中のワンちゃんが駆け寄って来て水遊びをしていました。
今度は教えていただいた視点で鳥たちを観察したいので、双眼鏡を持って歩きに行こうと思います。
>あれから45年
35年でした。大変失礼いたしました。
本のご感想をありがとうございます。とても嬉しいです。
遠く川辺で遊ぶ子どもたちの声はとてもいいですよね。
80年代の柳瀬川は、やはりそのような状況だったのですね。
私は綺麗になってからの柳瀬川しか知りませんので、このようなお話はとても大切にしています。1年で見る自然と、5年で見る自然、10年、20年、30年で見る自然は、だいぶ違ってくるように感じています。人間が大きく手を加えているように見える影響も2年もすれば元通りになることも多々あり、逆に周辺住民の安全を確保することは、結果として川をそのままにするためにも必要なことなのだと知るようにもなりました。
柳瀬川、最近は鮎釣りの人が多いですね。落ち鮎をねらうアオサギやカワウを観察するのが楽しみな時期になりました。