このところ、午前中はさんさんの青空なのに、お昼を食べて外に出ると一面曇り空……なんてことが多いような気がします。まさに猫の目。スタッドレスタイヤにも昨日履き替えを済ませ、早く標高の高い所へと出向きたいのですが(ブラウントラウトの産卵行動の観察に行きたいのです)……まだしばらくは事務所作業が続きます。

その息抜きにと、健康維持のウォーキングにと始めたのがトリ部。

近所の川に飛来するカモを観察するだけなのですが。

今日も行ってまいりました。

どんよりと曇り空。釣り人がひとり。周囲70mほどにカモはいない。

カモって何気に身近に見ているような気がしていましたが、この川では釣り人の周りにはカモはいません。川辺に立つ人間は警戒されているんです。ちなみにカモが不自然に逃げると近くのコイも異変を感じて逃げてしまい、コイが逃げるとナマズも逃げてしまうという……なのでカモを驚かせちゃいけないよ、という話を以前のブログに書きました。

今回はその続き(?)として、トリとの〝距離〟について走り書きたいと思います。

ちなみに私がカメラを持ちながら近づかせてくれる距離は、いまのところおおよそ20mが限界といったところ。

姿が見えないので、一気に下流へ。

いましたいました。

(正確に言うと、この写真は2日前。でも今日も、こんな感じにコガモの群れがおりました)。

 

コガモといえば、オスはきれいなメタリックグリーンの頭が特徴ですが、それは繁殖期のペアリングの時期に向けて生えかわる生殖羽だそう。上の写真は、まだだいぶ非生殖羽である「エクリプス」の状態が残っている感じ。サケマスの婚姻色と同じく、これからどんどん色づいてくるのです。

だいぶ色づいたオスがいました。

こちらのオスなど、すでに可愛いメスを引き連れてます。

いいなー。

 

話をトリとの距離に戻します。

 

現状、川辺にはススキが一列にちらほらと生えている程度で、こちらの身を隠す藪がありません。そして背後には壁もなし。

こんな状況で、普通に歩み寄ると、50mぐらいのところで、カモたちは緩やかに泳ぎながら下流へと逃げていきます。

少し急いで近づくと、すぐ飛び去ってしまいます。

1mを3秒くらいかけてゆーっくりと近づくことで、25mぐらい。

さらに遮蔽物となっているススキを利用すれと20mぐらいでしょうか。

それでもこちらの姿は見えてしまっているので、限界です。

 

ちなみに産卵期のヤマメなんかだと、3mぐらいまで近づいても大丈夫なのですが、やはり急ぎ足で近づくとビュッと逃げられてしまいます。

私の知るコツとしては、

①背後に壁を背負う

②1mを5秒ぐらいかける気持ちでゆーっくりと動く

③できたら太陽に自分が照らされない

④下流側から近づく

⑤遮蔽物を利用もしくは身を低くする

といったところ。

その場にこちらが先にいる場合は、ピタリと動かなければだいぶじっくりと近づいて観察することができます。

でもトリの場合、どれも少しずつ有効だとは思うのですが、どれも産卵期の魚よりはだいぶ効果が薄い印象。

やはり水面という膜を持たない陸上動物同士だからでしょうか。

あとはカモが、ネコなど他の陸上動物にもかなり気を配っているためかもしれません。

 

ただ、サケマスの場合、産卵期は比較的観察がしやすいという点も記しておかねばならないでしょう。おそらく外敵に払う警戒心を薄めてでも夢中にならなければならないことがあるためかと思います。メスだったら産卵床というナワバリを守るため、オスだったらメスという繁殖の相手を独占するため、主に同性同士がしのぎを削りますので、おそらくはそっちに気が行っているのだと思います。さらにオスにはメスへの求愛行動が、メスには巣を掘り返すという作業もあります。

だとすると・・。カモにしても、もう少し時期を経て、しっかりオスが色づき、メスを追ってディスプレイでもするようになれば、外敵への注意は薄れるのかもしれません。

そんなことを思いながら、いまはススキの影からそーっと観察を続ける日々です。

 

ちなみに・・

こちらは近所の公園の池に飛来したオナガガモ。

これはスマホ撮影ですが、柵越しにこれだけ近づいても逃げません。

ずっとここにいて慣れている、というのならまだしも、こいつらにしてもきっと数週間前に遠く北国から飛来してきたばかりのはずなのに。

人はきっと襲ってこないし、人がいるから他の外敵もこないだろうと……。

こんな風になってしまうのは、飛んできてすぐにエサ慣れしたからなのか?

毎年のことだから覚えているのか? 

それを伝達する社会的な連携を持っているのか?

・・・実に興味深い。

そして実に無防備である。〈若林〉□