しんしんと冷える、しんしんと。

ここ数日は埼玉南部もとても寒いです。

そういや、今年はまだ一度もスタッドレスタイヤを必要とする地に足を延ばしていないなーと。

そんなことを思いつつ、昨日は6日ぶりに地元の川へ。

トリ部です。

 

ゴイサギの幼鳥とシャンシャンは元気かな。

食痕は増えていないかな。

なんてことを思いながら。

前日は大河川のT川でオオタカと、捕食されたオオバンに出会いました。その映像が脳裏にまだ強く焼きついたまま、川で狩りをする猛禽に意識を向けつつ、歩きます。

この日は強風。強い北西風が川を走ります。

カモたちも風裏へ避難。

最近、よく通っているコースを歩くと・・

わかりますか?

新たな食痕を見つけました。

ガイシャはコサギ、ホシはオオタカ。

おそらくは間違いないでしょう。

6日前にはなかったから、ここ5日間のうちに捕食されたものでしょう。

自然の時間は長くて短い。

羽以外の部分は、おそらく翌日まで残ることは稀なのだと思います。

今回も現場は水際。

オオタカがコサギを襲ったシーンが脳裏によみがえります。

詳しくは過去のブログをご参照いただきたいのですが、あれ以来、川を歩いてはコサギが食べられた痕を探し、実に6カ所の現場を目にすることができました。おそらくドバトが食べられた痕と思わしきものも1カ所。

きっと、5日に1回ほどのペースでコサギは襲われているのではないか。

そんな仮説を立てています。

食われてはまた供給され、供給されてはまた食われる。

ゴイサギの幼鳥がいるいつもの場所へ行きましたが、幼鳥はいませんでした。シャンシャンもいませんでした。

とても風の強い日でしたから、「きっといないだろうな」と予測を立てていたのですが、案の定。

そしてその足で、このところ気になっている楽園へ。

川と繋がる地下水路。

この先に、金網がめぐらされた湿地のような空き地がありまして、そこはゴイサギの成鳥やアオサギがのんびりと羽を休めている楽園のような地なのです。

「川と繋がる~」と書きましたが、繋がっているかどうかは定かではありません。

事実としては、

・この穴にゴイサギの幼鳥が逃げ込んだ。

・この地下水路の行く先が気になって、おおよそのあたりをつけながら地上からたどってみたら、金網に囲まれた楽園を見つけた。

・そこには逃げ込んだ幼鳥ではなかったが、ゴイサギの成鳥がいた。

というもの。

なので、ただの偶然なのかもしれません。

でも、きっとそうなのだろうと。

ゴイサギの幼鳥は、その楽園からエサを捕るために地下水路を滑空して川へとやってくるのだろうと。

そんな仮説を立てたのです。

そして今回、その仮説を裏づける目撃がありました。

楽園では、いつものように首を体にうずめたアオサギが休んでおりました。

カルガモやコガモも昼寝中。

見慣れたゴイサギの成鳥。

そして・・

あ!

いました。ゴイサギの幼鳥。

やはりいた。

きっと、風が強いからこちらで休んでいたのでしょう。

いつもは3、4羽いる成鳥が今日は1羽しかいなかったから、幼鳥も休める場所を確保できたのか?・・・は、定かではありませんが、これも新たなる仮説。

はじめて1カ月ほどのトリ部ですが、その楽しみのひとつは、目にした鳥たちの行動や川に残っている痕をたどって、彼らの生活を想像する「仮説」を立てることなんですね。

その仮説は間違っているかもしれないし、あっているのかもしれない。

観察を積み重ねることで、その仮説を裏づける目撃もあれば、くつがえす目撃もある。

そんなことを繰り返しながら、川をとりまく生き物たちの生活をいろいろと知っていく。想像していく。

ひとつの仮説を立てると、それが気になって川を歩き、その最中に出会った鳥たちを見て、また新たなる仮説が思いつく。

そんなエンドレスな遊びなのです。

ちなみにいま気になっていることは・・

・コサギはなぜ、食べられても食べられても次から次に供給されてくるのだろう?

・オオタカは普段はどこにいるのだろう?(T川では何年も同じ川沿いの木を休み場としているようです)

・なぜ、コサギの足の先は黄色いのだろう。

・なぜ、オオタカの足も黄色いのだろう。

・ミドリガメはカモが近づいても逃げない。

・結構大きなニゴイがカラスとウミネコについばまれているのを見たが、そのニゴイを最初に襲ったのは何者なのか?

・なぜゴイサギの成鳥は楽園以外で目にしないのだろう?

・シャンシャンは何を食べて生きているのだろう?

・なぜ、オナガガモはこんなにも人間の接近に対して寛容なのだろう?

・コサギ以外のオオタカの食痕は見つけられるだろうか?

等々。

 

帰りがけ、もうひとつ大きな目撃がありました。

それはこんな川辺の藪の中から

グゲーグゲーッと鳴きながら、キジのオスが飛び立っていくのを目にしたのです。

この川は夏になると雑草が人間の背丈ほども伸び、私はその草をかき分けている最中に一度キジのメスと出会ったことがありました。

でも、その雑草は冬を前にすっかり刈られてしまいます。

私は仮説を立てていました。

基本的にキジの棲家は川の土手を越えた反対側に広がる畑+荒地であり、草がぼうぼうに生えている夏になると、餌をとるために川の近くに飛んでくる。

というものです。

ですが今回、冬にオスのキジを目にすることができました。

そしてそのキジが飛び去った先は

予想通り、土手の反対に広がる畑+荒地だったのです。

慌てて土手を駆けあがったときには、すでにキジの姿はなく、数羽のキジバトが土をほじくっている姿のみ、でした。

ですが冬でもキジは時折、土手を越えて川へとやってくることがわかりました。これは新たなる発見でした。

T川ではキジが結構、オオタカにやられているらしい。

だとすれば、逃げ場の少ない冬の川沿いにくるキジも、やられているのではないか?

新たにそんな仮説が立ちました。

そして次なる目的のひとつは、その仮説を裏づける目撃。

いまよりももう少し藪の中まで、食痕を探してみようと。

そんなことを思った、年の瀬でありました。〈若林〉□