今日は一日曇り空。寒い一日はやはり事務所仕事です。 そんな息抜きにはやはり川。 部員は一人。部長は私。トリ部です。 どんよりとしていて寒い。川に着いたとたんに雨まで降ってきました。 写真は川辺に立つ木。幹がミノムシみたいになってますが、増水時はここまで水が上がるというサイン。
本日は非常にローライト。LOW LIGHTです。薄暗いのできれいな写真も撮れまい。でも晴れた日とはまた違うカモがいるかも・・。 おーいるいる。今日は多い。 きっと悪天候で釣り人がいないことも関係しているのでしょう。水門で一人竿を出している人がいましたが、それ以外は見渡す限り、川に注目してる人間は私一人。土手上の遊歩道では人が忙しく往来しているが、一段下がった川辺はまた別の世界なのです。 コガモのオス。生殖羽への生え換わり。頭はまるで北海道の美瑛で見る丘のよう。 モヒカン頭はヒドリガモ。これはどのように変色してくのだろう。 お、オナガガモはメスを挟んでwith Bが護衛? あれ、もう一羽いた。
そんな感じでカモなひとときをゆるりと過ごしたところで、雨も強くなってきたので帰ろうかと。 土産も得たことですし。 そして川を離れ際に・・ アオサギは皆勤賞やな・・とか。 これは・・チュウサギか?とか観察しながら。 あれはチュウサギかコサギか。気持ちよく羽ばたいていきました。
・・・と、その後を追うように・・一羽のトンビ?がスーッと視界を横切っていったのです。
ここではトンビなど見たことなかったので、なにげにシャッターを押したのですが。 なんとなく気になりました。
何かが違うと。
いや、何かというのは、そのサギを追ったように見えた鳥もそうなんですけど、ローライト時の密な気配といいますか、カモたちも小さなハクセキレイやシギの仲間も何となく、いらだっているというか、緊張している感じ。川は上流にユンボが入っている影響か若干濁ってましたが、普通に流れています。 でも何かが違う。 晴天時にはない濃い気配がある。 ・・そんなことを感じながら、ああ寒い寒いとカメラをアウターの下に仕舞いこみ、帰ろうとしたそのとき、ギャッ!という鋭い声のするほうを反射的に見ると、先ほどのトンビとアオサギ、それにハシブトガラスが2羽、空中でもつれ合ったように見えたんです。 一瞬、アオサギがギャッ!と鳴いて、羽を大きく広げ、でもトンビとカラスは上流へと去り、アオサギはまた川辺に降り立ち・・。 トンビとカラスは喧嘩っ早いからなー・・なんて気を抜きつつも、密な気配による軽い緊張感はなぜか解けませんでした。 カメラも濡れてしまいますから、早く帰りたかったのですが、ちょっと気になって、上流の方へと歩いていきました。またあのトンビ、出てこないかなーと。 すると遠方で、またしても2羽のカラスとトンビが喧嘩。 パシャとその様子を撮りました。 左はカラス。そして右は・・ん? こうして改めてみると、これもきっとカラスですよね。
でもそのときは、モニターを拡大して「トンビじゃない!」と。これはトンビではない、別の猛禽だと。 結構でかいぞ。トンビよりも少し大きいぐらい。なんだろうなんだろう。 ・・・と思ったとこで、自分が猛禽についてあまりにも知識がないことに気付きました。 でもトンビは尻尾が直線か凹型になっているから、これはトンビではない(カラスなんですけどね)。だとすると・・なんだ!?(カラスでした) そして待ちました。雨に打たれながら。 渓流でカワネズミを20分出待ちするぐらいなんてことないじゃないか。だったら、20分は待ってみようと。 でも10分でめげました。なにせ傘もささずに雨の中、ですから。ちょうど一年前のいまごろ大出血した痔が再発しそうな悪い気配があり、尻にはホッカイロを貼っているのですが、それでもなんだか足から冷えてきて痺れてきた。帰ろう。 ところが、そのときです。 やつがやってきた。 そして追われているのは・・コサギだ。 ああ・・つかまる・・。 どこかを鋭い爪で蹴り上げたのでしょうか。 コサギは川へと落ちていきました。 それを追うトンビ・・ではない猛禽類も急降下。 ああ・・ 2羽のカラスも出撃。ですが、水面で繰り広げられたあまりにも壮絶な一部始終を、彼らは遠巻きに見ているだけでした。 あれ? ピントが合わない。
そう。2017カメラグランプリ大賞を受賞したOM-D E-M1 MarkⅡを持ってしても、この震える手は止められませんでした。・・というか、オートフォーカス設定の失敗です。いつの間にか全画面AFになっており、見事に手前のヤブにピントが合っているという。がっくし。 10秒ぐらいは水面でドタンバタンとやっていたのですが、そんな余裕があってもAF設定は直せませんでした。気が動転していたのです。 で、MFにようやく切り替えて撮影した一枚がこちら。 あれ? コサギは?・・と思うでしょう。 おい、お前の尾羽のあたり・・。きゃっ・・。 そうなんです。首根っこをとらえて水に沈めると、そのままちょうど5分間。 確実に息の根を止めたのです。
そして・・ うわ、 わわわわ・・ う~ん・・。 カラスが少し写ってますね。これは横取りを狙ったのか、それとも助けようと思ったのか。 どうもカラスの行動は読めません。
引きずられヤブの中へ。 そして・・ 食事が始まりました。 すべての作業を鋭いくちばしで。 羽毛を抜き、肉を破り、内臓を食らい、また羽毛を抜いて・・。 さっきまで水中でしかと川底をつかんでいたコサギの黄色い指が、まるでピアノの速弾きのように動きます。腱をついばまれているのです。 一時も目が離せませんでした。 こうなると、獲物を置いて去ることはよほどの危険がない限りありえませんので、藪からのっそりと抜け出した私は、ちょうどこの猛禽の川向いにある斜め護岸に腰を下ろしました。冷たい・・。 2羽のカラスは、ライオンの食べ残しを待つハゲコウのようにジッと近くの木で見守りますが、20分ほどすると諦めて去って行きました。 日常のすぐ隣で営まれている別の世界。川時間。 すぐ横を見ると、先ほど襲われかかった(と思われる)アオシギが首をちぢめて、その一部始終を見ておりました。
食事開始からすでに30分が過ぎました。 コサギはだいぶ、食われてしまった。 食われるコサギ、食べる猛禽。それを川向いで並びながらジッと動かずに見ている一羽は先ほど襲われかけたアオサギ、そしてもう一人はトリ部の部長(痔もち)。 面白いことに、川上の土手では人が頻繁に往来している。だが、この光景に気づく者はいない。私に気づいている人はいるのだろうが、だれも近寄ってはこない。 この光景を独り占めしたいという気持ちもありました。 もしくはアオサギとの二人占め(あとハゲコウのようなカラスが2羽)。 でも気にかける人っていないんだなーと、そんなことを思っていると、向こうから作業着を着たオジサンがひとり近づいてくるではないか。こっちにくる。 しかたない、独り占めしたいところではあるが、教えてあげよう。そしてこの自然界の現実をともに直視しよう・・そんなことを思っていると・・ 「すみません、水門裏に停めてある車、ちょっとどかしてもらえますか? 作業のじゃまで・・」 「あ、違います」 「あ、失礼しました」 ・・・行っちゃった。 向いの猛禽にも、隣のアオサギにも気づかずに。 ガツガツ食っている音すら聞こえてくるのに。 いやしかたないことだ。仕事中の人だ。平日の午後2時に、雨の中の川辺のコンクリに座しているほうが稀有なのだ。 まあいいや。そんなことよりも・・ 食事が長い! 雨でべっとりとアウターが濡れ、尻のホッカイロがカチカチに冷たくなってすでに45分ぐらいは過ぎてしまっておりました。でも最後まで見たい。でも引き換えに払う代償も大きそう。でも私はトリ部。食われかけたアオサギだってジッとかたずをのんで見守っているではないか(動けないだけ?)。でもやっぱりお尻がなんだか痛くなってきた。無理だ・・。 そして食事開始からちょうど59分で、1時間を待たずに私はそっと立ち上がり、その場を立ち去ろうと決めました。案の定、食い続けている。でももうほとんどスカスカだ。 試みにコホンと軽く咳をすると、ピロロ・・と思いがけず可愛い声を出しながら飛び立った。 おっと・・またしてもピンボケ。 そしてコサギの命はこの世からこぼれ落ちた。 最後に隣のアオサギを見ると、心中を察することはでませんが、日常には戻っていったようでした。 おしまい〈若林〉□ ☆RIVER-WALK First Issue 好評発売中☆
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