前回のブログでは釣りの取材をしている最中、肩に鳥がとまった話を書きましたが、その続き・・というかセットとなっている話を。

鳥が肩にとまったのは自然に溶け込めたような気がしてうれしかったのですが、きっと一羽だからなんですよね。道を歩いてて次から次に鳥が肩にたかってきたら、それは嫌なことだし怖いとも思うんです。

それと同じで釣りの場合、魚も適当に釣れているから面白いのであって、あまり釣れすぎるとつまらないどころか怖くもなってくるっていう話です。

こんなことがありました。

ついこの間まで毎月一度、とある都内の鯉の釣り堀に通ってたんです。

釣れる鯉は40㎝ぐらいの大型ばかりなんですが、なかなか釣るのが難しく、1時間でだいたい10匹も釣ればいいほうでしょうか。ちょっとじまんしますが10匹はフツーなかなか釣れないんです。カップルがデートついでに遊びにきたぐらいじゃふたりで3匹釣れりゃいいほうでしょう。私はまあまあ通い込んだから、いいときで10匹。

その日は池の角に座りました。とりあえず鯉を釣るには練り餌という、うどんをこねたようなエサを同じ場所に繰り返し撃ち込むことから始めます。上手な人は「練り餌の山を築く」なんて言い方をします。それで鯉を自分の周りにおびき寄せてから釣りあげていくんですね。なので開始してすぐは、あまり釣れないものです。

ところがその日は確か1投目から釣れたと思います。その後もエサを入れるたびにウキが沈み、2投に1匹ぐらいのペースで釣れてくる。これはすごい。夢中になって、それまで味わったことのないハイペースで釣りつづけ、15分ぐらいで10匹をクリアしちゃいました。

すごいな、1時間30匹ペースじゃないか?・・なんてワクワクドキドキしつつ、でもなんでこんなに釣れるんだろう?と疑問も湧いてきました。

見回すと、まあ、だいたい隣の人との間隔は2mぐらいなのですが、周りはなかなか釣れないいつもの雰囲気。ほとんど釣れてるのは私だけなのです。

30分たたないうちに15匹ぐらい釣ったところで、あまりに釣れるので「ははあ・・・」と思いました。この角は自分が座る前に上手な人が釣っていて、すでに練り餌の山が築かれていたんじゃないかと。

そう思うととたんに「釣った」ではなく「釣らせてもらってる」という面白くない気になってきて、場所を変えたんです。あえていつものようにあまり釣れてない雰囲気の場所を選んで座りなおしました。

ところが・・・やっぱり釣れるんです。それどころか仕かけが十分に沈まないうちに鯉が勝手にかかってくる始末。それが2匹続いたところで試しにエサをつけずにそのまま放り込んでみたら・・・釣れました。オイオイ。

19匹を数えたところでまだ時間は40分。もう1匹で夢の大台20匹。1時間なら30匹も狙えるペース配分。

ですが、なんだかそこで、とたんに釣りがつまらなくなったんですね。というよりも怖くなってきたんです。なんで自分にだけこんなに釣れるんだろう? まわりはぜんぜん釣れていないのに・・。

視線を落とすと鯉が水面で口をパクパクやってます。もっと餌くれって感じ? 

それを見るとなぜか少し腹も立ってきまして。15分残して19匹で釣りをやめました。

だって、実際、こんな感じだったんですよ。

鯉フォト (640x480)

そして仕かけを畳み、よっこらしょとビールケースから腰を上げると・・

 

 

息が詰まるほど驚きました。

 

 

うわわ・・こんな感じだったんです!

 

鯉図 (640x456)

逃げるように釣り場を後に。それ以降まだちょっとコワくて行けてません・・。

後日、この話を釣りライターのMさんにしてみると、いろいろと物知りな方で仲間内のコメンテーターみたいな人なんですが、そのMさんいわく「そりゃおめーの体のシルエットか見た目だかが、普段その釣り掘で鯉にエサあげてる管理人か何かに似てたんだろーよ」だって。

なるほど。一理ある。でもそんな奇遇が起こるのか? そもそも釣り堀って鯉にエサあげてるんだろか?

まあ、それはおいおい調べるとして、この一件でひとつひらめいたことがありました。

それは、釣りするときは気配や殺気を消して魚から気づかれないようにすることも大事だけど、その逆に、あえて魚に自分を気づかせてなおかつ気を許してもらったうえで釣りまくる・・なんてことはできないかしら?ってことでした。□