今日はひさびさにまとまった春の雨でした。 春雨ですね。
さて。 雨・・といえば、こちら。 当ブログにも何度か登場しているアメマスです。 アメマスとは雨鱒であり、この魚、雨が降ると川を上りだしたり、餌の食いがよくなったりするもんで、こんな名前が付けられています。水玉模様転じての雨・・って話もあったかな? この魚はブログ【釣れなくても中満足】にも書きましたが、いわゆるイワナ、という魚です。 イワナというと山奥にいる印象をお持ちかと思いますが、北の方にいる一部のイワナは海にも降り、シャケのように大型化するんですね。それがアメマスと呼ばれています。 雨鱒=イワナ そして、そのイワナと対をなす渓流魚がこちら。 ヤマメです。 なぜ水槽に入れられているのかはさておき、今回はこのヤマメの名前について。 ヤマメを漢字で書くと、一般的には山女魚となります。パソコンの文字変換で出てくるのもこれです。 山女、だったりもします。
山の女の魚。
小判型の青い斑紋に、星のように散らした小さな黒点。 その美しさを評して「渓流の女王」なんて呼ばれたりもしています。 山女魚はいわゆる女性名詞、というやつでしょうか。 ところが、このヤマメ。北方にいくにつれ、実際のところ雄のほうが多くなります。北海道の川ともなると雄ばかりに・・。 なぜかというと、北方にいくにつれ多くの雌がサクラマスとして海に降るからなんです。 ここ↑ちょっと、ややこしいです。 イワナは海に降るとアメマス。 ヤマメは海に降るとサクラマス。 そしてサクラマスは、やっぱりシャケのように大きくなって川に戻ってきます。 だから雄も雌も、厳密には生まれたときは川にいるのですが、多くの雌が海に降ってサクラマスになるため、川に残っているのは雄ばかりになる、というわけなんです。あ、これヤマメの話です。
山女魚なのに雄ばかり。 その矛盾を感じてか、ヤマメの語源は寡(やもめ)である、という人もいます。 寡(やもめ)とは、妻を失ってひとりでいる男のこと。 ・・・かとばかり思っていたら、いまネットでいろいろ検索してみたら夫を失ってひとりでいる女の人もやもめというらしいです。
ともあれ、同じヤマメ型の雌、つまりサクラマスになっていない雌がいない川の雄は、やもめと呼ばれたりもして、それが転じてヤマメになったと・・・。
ともあれ。
そんな語源を持つヤマメですが、私が好きなのは、また別の語源なんです。
それは山雨(やまあめ)。
ヤマメは山の渓流に多くいる魚だから「山」はいいとして、「雨」はなんなのだ?
先にもうひとつ言ってしまいましょう。 こちらをご覧ください。
これはアマゴです。そしてアマゴはアメゴとも呼ばれており、それを漢字で書くと・・
雨子(あめご)です。
またしても、雨!
ヤマメとアマゴって、とっても似てるのに(違いは赤い点々の有無)、名前はなんでこんなに違うのか? ・・・と思いきや、山雨と雨子。
かなり近いんですね。
では、ナゼに雨なのか?
そこには「アメノウオ」という古い呼び名が関係しているんです。 雨の魚。 びわ湖のビワマスもアメノウオ。 諏訪湖にいたマスもアメノウオ(単純にアメ、とも言うそうです)。 また各所のアマゴもアメノウオと呼ばれていました。 そしていま呼ばれているところも多々あります。 ただ、例外はありますが、例外はたくさんありますが、ざっくりいうと、どちらかというと関東よりも西の方でヤマメやアマゴがマスになったやつのことをアメノウオと呼んでいた傾向があるようで・・つまり、海に降ってシャケのようになるサクラマス、みたいな存在ですね。そしてそいつらは海だけじゃなく、湖に降って巨大化してシャケのようになったりもします。そしていま現在よりも昔のほうが、そんなアメノウオと呼ばれる魚は多かったみたいで・・。 あまりうまく説明できていないので、ひと息で書いてみました。 ここらへんのところ、私がよく知らないだけかもしれません。が、実に混沌としています。
ともあれ。
「雨の魚(あめのうお)」という魚がいて・・ それはビワマスを代表とするどちらかというと大型の「マス」と呼ばれる類の魚であり・・ 山にいる「雨の魚(あめのうお)」の小さいやつが「山雨(やまあめ)」と呼ばれてヤマメとなり・・ 「雨の魚(あめのうお)」の子どもみたいなやつが「雨子(あめご)」と呼ばれてアマゴとなったと・・
という説があり、その説が、ヤマメとアマゴは近いんだよ、と教えてくれるその説が、なんか好きなんだなあ~。 ・・という話でした。
ちなみに。 日本国語大辞典によると、 ヤマメの語源は、ヤママスムレ(山鱒群) であるそうです・・。□
|
Pingback: RIVER-WALKブログ【吉村昭とサクラマス】 | RIVER-WALK