今日は曇り。ポツリポツリと雨も落ちている埼玉南部です。 事務所にて書き仕事。 仕事は楽しい。‥が、計画通りに進まない‥。 そして楽しくても集中力には限度がありまして‥。 そんな時は川へミミズを掘りに‥行きたいところですが、そこまでの時間の余裕もなし。 というわけで、卓上ミミズ掘り‥否。 最近、私が見ている川について少し。 いえ、「見ている川」と言いましても、それはこれまでと変わらないのですが、見方が変わったと言いますか。 今、私が感じていることは、川の見方には3通りあるな‥ということです。それは‥ ①水のある場所で見る川 ②河道で見る川 ③河岸段丘で見る川 となります。 ご存知の通り、私は魚が大好きなので、若いうちからこれまでずっと、川と言えばほとんど①の見方をしていた気がします。水がなければ魚は居られませんから、水のある所ばかりに注目していたんですね。 ですが、ここ2~3年、事務所を川の近くに移してから、魚だけではなく鳥や四足の動物もよく観察するようになり、そうなると動物たちにとって河道の大切さがとてもよく理解できるようになりました。 河道とはいわば川原とか河川敷とか、都市型河川なら両岸に盛られた土手の内側の範囲となります。 埼玉あたりだと、河道にはまだまだ藪地や荒れ地がたくさんありまして、そんなところは鳥はもちろん、タヌキやイタチやイノシシの通り道になっています。土手の外側はアスファルトで固められた道路や住宅地だったりしますので、いわば河道は都市近郊に棲む動物たちの「回廊」の役目を果たしているのだろうと、そんな意識で川を見ていました。 そしてここ半年ほど、ブログで散々アップしている川ミミズ‥つまり川底に棲むミミズに興味が湧いておりまして。それは私にとって川観を変える大きなきっかけとなります。 ミミズが川底に棲んでいるのを知った時、私は結構驚いたのですが、観察を続けるうちに、ミミズに必要なのは「食物」と「隠れ家」と「湿った場所」なのではないかと思うようになりました。川底はもちろん水の中ですから湿っています。ですが、たとえば減水して水位が下がり、ミミズがいたところが陸地になってしまったとしても湿っていさえすれば問題ないわけです。そう考えた時、ひとつは湿った土の中となりますが、それは水の中のミミズではないので個人的にあまり興味を持てなかったんですね。 自分はミミズに興味があるわけではなくて、川の中にいるミミズに興味があるのだと気づきました。 そんなわけで川の中にいるミミズにこだわって探しているうちに、もうひとつ似た環境があるではないか!‥と気付いたのです。 それは湧き水でした。 年中安定した水温の水が供給される湧水場は、川ではないもう一つのミミズの水中での棲家であったわけです。 幸いにも私の棲んでいる場所は武蔵野台地の端っこの方で、湧き水は台地の斜面から流れ出しますので、昔から湧き水がたくさん湧く場所です。 そんなことをしているうちに、私が観察したり探して歩いたりしている湧き水場を線で結ぶと、それは川のもうひとつの姿であることに気づきます。もともと知識としてはわかってもいたのですが、体感として理解してくるといったところ。 それが河岸段丘というものです。 河岸段丘とは、川が長い年月をかけて浸食した段状の丘(つまり段差ですね)のこと。私が観察をしていたのは、川が長い年月をかけて削り取った段丘だったのです。 これは国土地理院の陰影起伏図となります。緑色マーカーで塗っているのは川を含む低地です。赤い線が川(河道)となるわけですが、その周囲にはこれだけの範囲の川が削った跡である低地があるわけです。色を塗っていない所が台地です。この緑色のベルト(低地)の幅は700m~1kmほどでしょうか。つまり、1kmほどの川幅を持つ川という意識で川を見ることになる、というわけです。 で、見ると河道が段丘に接している所があります(★印や○印)。 実はここだけの話‥今私がとても注目しているのはこんな場所です。 ここがどんな場所かと言いますと、湧き水が多量に川に流れ込む(と思われる)場所です。 湧き水は段丘の斜面から浸みだすのですが、それが川と接しているため、川に沢となって流れ込んでいたり、そのまま川へ浸みだしている場所です。 こんな場所ですね。 川に注ぎこむ湧き水があれば、そこにはコケが生えており、中には湧き水に棲むミミズを見つけることができます。 そしておそらくですが‥湧き水は川に特別な場所を作りだしていると思っています。 それが何なのか? 川ミミズが棲みやすい場所なのか、魚たちが棲みやすい場所なのか、底生の貝が棲みやすい場所なのか、水生昆虫にとって良い場所なのか‥。 まだわからないことだらけですが、予感はあります。 こんな感じで近頃は川を見て歩いています。〈若林〉□
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