今日はポカポカした一日。 小春日和ってやつでしょうか。前向きな気持ちになりますね。 バッファローの風が吹きそうな前向きな陽気です(「バッファローの風」についてはこちらのブログをご参照ください)。 朝方、ふと思い立って、事務所で飼っている川ミミズのふるさとと言いますか、川ミミズを採取した小さな湧水場を観察に行きました。 ひとまたぎできる3面護岸水路。水深は5㎝ちょっと。「ガタ」と同じように、コンクリートの底にうっすらと砂泥が溜まっています。流れはとても薄いのですが、ハケ地からの湧水が常時流れて枯れることはありません。ここにはたくさんの川ミミズが暮らしているのです。 水温は14.1℃、夏はヒンヤリしますが、冬の今はお湯のように生温かです。 こんな底の小石をどけると・・ 石と砂泥の間に川ミミズが棲んでいます。こいつはおそらくツリミミズ科。そしておそらく私が事務所で飼っているミミズと同じ種類です。 長さは5㎝ほど。自宅で飼っているものよりも、背中側はだいぶ黒くなります。まるで奥秩父の沢で釣り上げたイワナのよう。 裏を見ると、いよいよ同じ種類なんだろうな・・という印象。オレンジ色の環帯が特徴。カッショクツリミミズという種類かな・・と思いつつ、このタイプには、より大型もいますので、それらが全て同じなのかどうかなど、まあよくわかりません。 こちらも5㎝ほどですが、まだオトナにはなっていない模様。 結構グイーンと長く伸びるのも、このミミズの特徴です。 以前に比べ、だいぶ数が増えているみたい。そして水温が安定していることも影響しているのか、とても活動的です。飼育しているものは、基本的に暗所で飼育していますので、もしかすると、そのために色が薄くなっているのかもしれません。ここら辺は完全なる妄想ですが。 うれしいことに、ゲンジボタルらしき幼虫も観察することができました。3月に入ると雨の日の夜に、濡れた垂直護岸を上って陸地でサナギになります。 そして・・さらに・・ 美しく妖しく輝くは、「マッチョ虹色川ミミズ」です! 「マッチョ虹色川ミミズ」については、複数種をまとめてそう呼んでいる疑惑が最近濃厚だと気づいてきましたが、湧水場に多いこのタイプは、とても美しくステキです。 最初は頭と尻尾しか出ていなかったのですが、私が頭上の石をどかしてしまったものだから、スルスルと砂泥の中から出てきて、下流へと下っていきました。先ほどのツリミミズに比べると長さは倍ほどもあり、ちょっとした大型種です。動画もありますので、こちらをどうぞ。 いやーいい観察ができたーと喜んでいましたら、上流からボケた色のミミズが流れてきました。ん・・。ん!? まだ結構元気に動いてはいますが、様子が変です。これまでなら見逃してしまっていたかもしれませんが、ここらへん、経験がものを言いますね。ピンときました。これはプラナリアに襲われているのだと・・。 プラナリアというと、体を切断すると、そこから2匹に分裂することで有名な扁形動物です。過去に徘徊中の川ミミズが狩られた様子を観察したことがありました(その様子はこちら)。これがまた、結構、凶暴なんですよね。 本当は自然のままの姿を観察してみたかったのですが、水中用のカメラを持っていませんでしたので、観察ケースにミミズごと移してみました。 中央で赤い体をしているのがプラナリア。ミミズに襲いかかっている時(興奮時?)は赤く体が染まるのです。 いきなり明るいところに出されて少し戸惑っているのか、ミミズから離れたりまた戻ったり。集団でピラニアのように襲いかかります。獲物は自分の何倍もの大きさの川ミミズ。マンモスかクジラを狩っているような感覚なのでしょうか。 動画もあります。ぜひご覧ください!(こちら) 染まったプラナリア。 その直後には、2㎝ほどの小さなアメリカザリガニが、小さな川ミミズを捕食するシーンも目撃!(残念ながら上手く撮影できませんでした) かなり素早く、獲り慣れているようにも感じました。 気づけば、わずか3mほどの小さな小さな水路でひとり、大興奮。 コスモです。小宇宙ですね。 ひっそりといつまでも残ってほしい水場です。〈若林〉□
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