雨降りの1日です。川はちょっと潤ったかな? さて。今日は川ミミズの天敵とも言えるプラナリアについて。 先日、Twitterでプラナリアの投稿をされている方がいまして、見事な写真とともに、ツイートには「腹が上なので体中央下面の口がよく見えました」とありました。 ・・体中央下面の口だって!? 写真には、メダカの餌をもぐもぐするプラナリアの姿と、さらには体内に取り込んだ餌が腸内を移動していく様子もおさめられていました。 私が驚いたのは、プラナリアの口が体の中央にある、という点です。 なぜなら私は、以前にプラナリアが川ミミズに襲いかかり捕食する様子を観察して絵にまで描いてブログにアップしていたからです。 プラナリアです(おそらくはアメリカツノウズムシ)。 そしてこちらが、描いたイラストです。この際のブログはこちらをご覧ください。 川ミミズの体に巻き付いたプラナリアが、頭からニューッと漏斗状の口を出して吸いつこうとしている姿を観察していましたので、てっきり口は頭の近くにあるのかと思いきや、体の中央にあるなんて・・。 ちなみにこちらが川ミミズに襲いかかるプラナリア動画の一場面です。漏斗状の口は「咽頭」と呼ばれている部位なのだそう。 ノズル状の咽頭で吸い付く場所を探しているのでしょうか。この姿から、てっきり頭の近くに口があるもんだと思っていたのです。ですが実際には、中央の腹からこの咽頭がニューッと長く伸びて、餌を食べるのだそうです。こちらから動画も少し見ることができます。 そして取り込んだ餌は、体の頭の方へも尻尾の方へも送られていきます。なんとプラナリアは腸が音叉のように3方向に分岐しており、中央で取り込んだ餌を頭の方と後方へと、ともに送り込んでいくのだそうです。この3方向に分岐した腸から、プラナリアは「三岐腸目」というグループとされているのだとか・・。 さらに細かく見ると、プラナリアの腸は三岐どころではなく、網の目状に分かれているのだとか・・。毛細血管のように・・。なんだかすごくないですか? プラナリアは1匹を切断すると、そこから2匹に再生することが知られていますが、網状の腸を持つなんて・・。 そしていろいろ調べていると、さらに驚愕の事実につきあたったのです。 なんと、プラナリアの咽頭は、本体から切り離しても自ら餌に向かって動き、口を開けて飲み込むのだそうです!!!!! まさにホラー映画のしぶとい親玉のような・・切られた首が襲いかかってくるような衝撃です。 兵庫県立大学の梅園良彦教授と、当時学部4年生で卒論としてこの研究を始めた宮本真衣さん、研究を引き継いだ服部美希さんらによるこの成果は、国際科学雑誌「Science Advances」に掲載され、2年前に兵庫県立大学通信の記事として、「プラナリアの摂食行動の謎、解明ー卒業研究が米科学雑誌に」というタイトルで紹介されていました(こちらです)。衝撃的な動画もあります。 (記事より引用:梅園教授の言葉)今の時代、実験の様子を動画に撮ってYouTubeにアップするだけでも世の中の人は驚いてくれるでしょうね。けれども我々のように研究をする者たちは、目の前でびっくりすることが起きたら、それを論文にできるようにちゃんと研究し、確固たるデータを示さなくてはなりません。宮本さんは、咽頭の働きを卒業研究のテーマに定め、1年間、相当な研究を重ねました。(引用終わり) 研究により、プラナリアの咽頭には複数の匂いを嗅ぎ分ける力があることが、明らかになったそうです。嫌いな食べ物があることも。私は川ミミズがプラナリアに襲われると、次々と他のプラナリアが集まってくる様子を観察しており、まるでピラニアのようだと思っていたのですが、きっとミミズの匂いはプラナリアにとってとても美味しいご馳走の匂いなのでしょう・・。 何気ない近所の川ミミズ観察から、知らなかった生きものの不思議を知ることができ、ますます興味をそそられてしまったのでした。〈若林〉□ 関連過去ブログ【命がけのモグモグタイム】 【お知らせ】川辺の自然観察をまとめた一冊、『武蔵野発 川っぷち生きもの観察記』発売中です!(アマゾンの販売ページはこちら) ★RIVER-WALK Vol.1~Vol.3発売中です!★
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