今日は晴れ。忙しない一日でしたが、そんな日常に一服の清涼剤としての川歩き。

ま、トリ部です。

 

なにせ本日は、11月30日。

このところ何度もリンクを貼っておりますが、ちょうど一年前の今日、川でオオタカがコサギを襲うシーンを間近に目撃してしまったのです(詳しくはブログ【ローライト時の密な気配】参照)。

それ以来、トリ部は活動のギアを一段階上げることに・・。

そんな特別な一日なのです。

 

そしてもうひとつ、今日はとても気になっていることがありました。

それは昨日、今期初めてとも言える食痕を見つけたのですが、犠牲者はヒドリガモのメス。首から先だけない状態で身体は丸々残ってました。それが一晩経って、どうなったのか。

私的には自然の摂理として、羽根のみを残し、跡形もなくなっていると思いました。というか、それを望んでおりました。還元を許される命、というのでしょうか。昨晩は強い雨が降りましたが、今日あ青空の晴天。

ところで、あのヒドリガモは何に襲われたのか。

それをずっと考えてました。

フェイスブックでいただいたコメントでは、イタチの類ではないかと。テンがアオサギの首をひと咬みして断じてしまったのを目撃したことがあると。そんな意見をいただきました。

もうひとつ、気になっているのは血痕が見当たらないこと。

そして近くにはイタチが隠れるような茂みが一切ないこと。

目撃した瞬間はカラスに突かれていましたから、むしられた羽根が散乱していたのはカラスの仕業かもしれません。

もしかすると、藪に包まれた対岸でイタチの類が襲い、それをカラスが横取りして対岸まで運んだのか・・とか。野良ネコもいますから。そしてネコは鳥の頭だけをかじったりもしますので。それもあるか・・などと、あれこれと考えていたのです。

そしていないことを確かめに、現場へと足を向けました。

いない・・。跡形もなく。

よかった・・。

そう安心し、さらに確かめようと川辺へと降りてみると・・

あ・・。

いる。

5~6mほど移動していました。

直火バーベキューの跡の傍ら。

光沢のある蠅が数匹飛び立ちました。

実のところ、少しだけ嫌な予感はしていたのです。

周囲はこんな感じですから。

四足の獣が好む茂みが辺りには一切ない状況。

そして人がすぐ横を通る場所。

そして・・もしかすると昨日、人間である私が触ってしまったことも影響したのかもしれません。

いずれにせよ、ヒドリガモはその場にいました。

 

川は滔々と流れ、カモたちは日増しに色合いを鮮やかにさせているようです。

今日はなぜだかカモたちの距離が近い。

ヤエノムテキかトウショウファルコか・・。

美しい尾花栗毛の馬のようなヒドリガモのオス。

眠っているのか?

 

小型犬のようだ。

ジュリーもいました。

個性があります。

メスのヒドリガモも美しい。その首さしは鹿毛の名牝ファビラスラフインのようだ。

そしてこちらは芦毛の名牝ユキノサンライズ(※後にオスと判明。ダービー3着馬のマヤノペトリュースとさせてください・・)。

ん? こんなカモ、観たことないぞ。

調べてみたところ、おそらくはオカヨシガモ。

チョコレート護岸では、いつものようにミドリガメが甲羅を干し・・

北の空にはトビが飛び・・

久々にオオバンがバーンと登場・・。

東の空にはカラスと、ひとまわり小さな猛禽がやり合ってました。

追ったり

追われたり

仲好さそう・・。おそらく猛禽はオオタカのオスもしくはハイタカのメスではないかと。

南の空へと消えていきました。

 

トリ、多いな・・。

さすがは記念日(なんの?)。

 

ともあれ、そんな満ち足りた気持ちで事務所に戻ろうとした、そのときでした。

流れと風の上手、太陽の射す南西の方角から、一筋の矢のような塊が高度を下げながら、矢のような勢いで走ってきたのです。

慌ててカメラを向けるもとらえきれず・・。

写っていたのは驚いたカモとポケッとしたミドリガメ、そして画面右方にいるのが慌てておぼれてしまったコサギです。

コサギが驚くのも無理はありません。

それはまるで、水面を波立てるかのような風でした。

いや、それはモノのたとえではなく、確かに水面は波だったのです。

ヒドリガモとコサギたちのパニックで・・。

水面を薙いだ風はそのまま、一羽のカモに照準を合わせました。

右端にいるのが狙われたカモ。そして「風」は右下あたりにわずかに見えてます。

逃げるカモ。逃げられたカモ・・。

塊は途中であきらめたのか、そもそも襲う気などなかったのか・・。そのまま、風のままに飛び去っていったのです。

カラスよりも大きい、おそらくはオオタカのメスでしょう。

 

なんて日だ!

ちょうど一年前に見たオオタカの狩りを、そのちょうど一年後の今日、またしても目撃してしまうことになるなんて・・。

一瞬の出来事でしたから・・。

カラスは出撃が遅れたことが我慢ならなかったのか、ハシボソもハシブトも関係なく、集まって大騒ぎ。

やり場のない怒り?をぶつけるかのように、激しいモビング(擬攻撃)を仲間同士で繰り返します。

まるでシマを荒らされたその筋の一団のような・・

連結したり?

しばらくは大騒ぎが続きました。

薙がれた水辺。

とても不思議な気持ちになりました。

なぜちょうど一年後の同じ日に、目撃することができたのか。

それは本当にただの偶然なのだろうか。

こんなとき、いつも思い出すエッセイがあります(今回、かなりの長文になっております・・)。

『Coyote』(スイッチパブリッシング刊)No.2「特集 星野道夫の冒険 ぼくはこのような本を読んで旅に出かけた。」という一冊の冒頭に載っている池澤夏樹さんのエッセイ「全部を見られるはずがない」。

大好きな雑誌の大好きな星野道夫さんの特集号の大好きな池澤夏樹さんによる大切なエッセイ。

単行本には収録されているのでしょうか・・。

ざっくりと乱暴に一言で言うならば・・。

「世界は自分の目の前に現れる」

という考えでしょうか。

 

オオタカは今日狩りをした。

でも昨日も一昨日もその前だって、普通に狩りをしていたのかもしれない。ただ、私が観ていなかった、というだけで。

ですが、私の目前に現れる世界で言うならば、オオタカは一年前に私の目の前で狩りをした。そしてちょうど一年後の今日、再びオオタカは私の目の前で狩りをした。

夕方になって、もう一度来ちゃいました。

ヒドリガモのメスはいました。

50㎝ほど動かされておりました。

そんな一日となりました。〈若林〉□

 

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