本日は朝からかなりの本降り。

前線の通過がもたらした未明から早朝のまとまった雨によって、川は増水しています。

今朝の様子。今のところ、平水時より最大約1mの増水。一気に水かさが増し、一気に下がる川ですから、もうこの半分ぐらいにはなっているかと思います。

数日前の平水時はこちら。

岸際の陸性植物があちこちで冠水していました。

数日前にニゴイが産卵をしていた瀬も‥

すっかり濁った流れで見えなくなってしまいました。

ニゴイの卵とマッチョ虹色水生ミミズが少しだけ気がかりですが・・。

このぐらいではきっとまったく問題ないんだろうな・・。

 

さて。

一方の潟、ですが。

こちらは待ちに待った増水です。

「GATA開き」ですね。ブログを見返すと、4月20日以来、ここまでの水位上昇は(その際の様子は過去ブログ【GATA開き2020】をご参照ください)。「GATA開き」で言えば、私は未確認ですが、途中、5月6日あたりにも一度増水しているはずで、春になって3度目のGATA開きと言えそうです。

潟は、完全なる三面護岸のいわゆる水路。

ですがおそらく上流から田んぼの廃水が流れ込んでくる関係で、少しずつ泥が供給され、それに混じって植物のタネも運ばれてくるのでしょう。いくつかの抽水植物がコンクリートの上に、マットのように根を広げ、そこにまた泥がたまり、ちょっとした湿地的な陸地となり、時に訪れる増水等によって根のマットがめくれて寄せられ、それがまた地形を作り、いま現在は、下の写真のようなちょっとした「なめ滝」が出来ております。

そしてこの上流側は、水位が下がって平水になってもある程度(10㎝ほど)の水位を保つプールとなっているため、増水時にこの滝を上ったコイやナマズがその数日後まで産卵する様子を観察することができます。

現在の「なめ滝」。完全に開通しており、泥濁りのなか、コイやフナ、ナマズが遡上する様子が観察できました。

さて。注目すべきはこれからの水位の推移です。

潟は上流にある田んぼの水も集めますので、いつごろ水位が引くのかは、ちょっと予測が難しいのです。

もう少しだけ水位が下がって「なめ滝」が現れれば、そこを上るナマズやコイ、フナを観察できるはずです。

そして今はおそらく(コイもですが)ナマズの産卵のピーク時期。

このタイミングにしっかりと産卵行動を観察したいなーと。

そんなことを考えております(前回のGATA開き後のナマズの様子は過去ブログ【潟とナマズ】をご参照ください)。

 

ナマズは元々、川が氾濫した際に冠水する陸地、いわゆる「氾濫原」に産卵する魚。

人間活動によって氾濫原は少なくなりましたが、「水田」がその代わりとなり、西日本から東日本に向けて分布を広げてきた魚です。

現在は水田も、コンクリート用水+乾田化が進み、田んぼや用水へとナマズが川から自由に入りこめる場所は、特に都市近郊のここらへんでは少なくなってきていると思います。

そんななか、「潟」の持つ、極めて人工的な三面護岸が果たす「氾濫原」としての役割が、とても気になっているんです。(※このブログでいう「潟」とは、一般的な干潟のことではなく、事務所近くの三面護岸の水路の通称です‥)

春のまとまった雨で疑似氾濫原と化した潟は、今後どのような役割を果たすのか‥。

今週はそれを追ってみたいと思います。〈若林〉□

 

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