今日は雨。全国的に梅雨前線の影響により、まとまった雨が降っているようです。

こちら埼玉県南部も強まったり弱まったりしながらも、しっかりと降り続いています。

こんな日は水生ミミズも掘ることができませんので(いや‥掘ってもいいのですが‥)、少しだけシーバス(スズキ)をねらって竿を振りました。ルアー釣りです。

結果はまるでなんお反応もなし。ただ、流芯の表層でフワフワ泳いでいたイナッコ(ボラの若魚)の群れにガボッと一回、おそらくシーバスが食いついたのは目撃することができました。上手い人ならば釣れる状況。ですが私には、残念ながら釣れませんでした。目の前に急に現われたルアーに驚くようにシーバスが食い上げてくるようなルアーしかもっていなかったのです。イナッコにガボッと出るシーバスを釣るルアーはまた別なのです。そこらへんがシーバス釣りの難しくも面白いところですね。

さて。

シーバスは釣れませんでしたが、待ちに待った雨であることに代わりはありません。

事務所前の三面護岸水路、通称「潟(ガタ)」が水位を上げて、川に通じている水門からコイが多勢遡上してきました。

通称「潟開き」です。

コイはそうですね、ざっと200匹以上はすでに上がっているかと思います。

これが4~5月あたりのコイの産卵期であれば、「ハタキ」と呼ばれる産卵行動で潟中がバシャドシャと、とても騒がしいことでしょう(ハタキの様子は過去ブログ【GATA開き2020】をご参照ください)。

ですが、6月の中旬過ぎともなると、コイのハタキの気配はほとんどなく(一部追尾している集団はおりました)、どちらかというと泥底をスパスパやったり、これまでは見られなかった水面の流下物をパクパクやったりする行動が目立っております。

ですが、私が待っているのはコイではなくナマズです。

日中でも見える時には見えるのですが、今日は一匹も姿をまだ確認しておりません。

ですが、私には強い予感がございます。「今晩はきっと来る!」と‥。

そう、ナマズの産卵のための潟遡上です。

今年は5月7日に、初めて産卵行動の一環である追尾行動を日中と夜に観察することができました。ただその時は、雨による増水が前々日でしたから、気づいた時には産卵行動を終えて潟から川へと出ていってしまったのです(その時の様子は過去ブログ【潟とナマズ】参照)。

潟でナマズの産卵行動を見たのは、昨年の4月にこの場所に事務所を移転してから初めてのことでしたので、その後もちょくちょく見ていたのですがナマズの姿が見られなかったことから「今年は終わってしまったんだ‥」と勝手に思っていたんですね。

ところが、ちょうど一週間前の6月12日、仕事が押してしまい23時ごろに事務所を出ると、潟でナマズの捕食音があちこちからバシュポシュと鳴り響いていたのです。日中から降った雨と満潮のタイミングで潟の水位が上昇し、潟が開いており、そこに産卵のためのナマズが多勢押し寄せていたのです。

推定で30匹以上。コイも数匹おりましたが、圧倒的にナマズだらけ。そしてあちこちで追尾行動を見ることができました。

とはいえ、実際に観察できたのは、そう・・2分ぐらいでしたでしょうか。

急に大粒の雨が降ってきたため、退散を余儀なくされてしまったのです。

そしてあれから一週間。

昨晩の夜より降り続いている雨のおかげで、本日は朝から潟開き。

コイがすでにかなり多いのと、雨が少し降りすぎているのが気がかりですが、今晩はナマズがやってくるものと信じております。

こちらの参考資料と、ニゴイの産卵行動の際もお世話になった片野修さんらの論文「ナマズ Silurus asotusのばらまき型産卵行動」(1988年 魚類学雑誌)もチェック。

それによるとナマズが観察した水路にやってきたのは18~21時、そして産卵行動が観察できたのは21~3時とあります。もちろん、場所によっても違いはありますし、例外も無数にあることでしょうが、私はこの間の23時の観察からも、ナマズは夜遅くなってから一気に潟に集まってくると今は信じております。

5月7日、日中にナマズの姿と追尾行動を観察できたのは、潟の中流部に植物による障壁がありまして・・。そこがなめ滝のようになっており、水位が下がると、なめ滝の上流側は15㎝ほどの水が溜まって残るのですが、下流側は5㎝ほどの水位となってしまい、魚たちがなめ滝上流に閉じ込められてしまうためだったのです。

もしかしたら、夜遅くに観察をしていれば、満潮のタイミングやちょっとした増水などでもナマズは上ってきていたのかもしれません。

6月12日に気づいたのは偶然でしたが、これはラッキーでした。

そして今日は、確信を持ってナマズを待ちたいと思います。

撮影は難しいかもしれませんが、観察ならば雨でも可能です。

ただ今、時刻は17時38分。片野さんの論文による第一陣の登場時刻まで、あと20分ほど。そして少しずつ増えていき、21時過ぎぐらいから産卵行動が始まるのです。

ドキドキしながら、ライトを携えて(不審者に思われぬよう注意して)、ちょこちょこと潟を観察しに行ってみたいと思います。

絶対に来る。ナマズは来る!

楽しみです。仕事しよ‥。〈若林〉□