猛暑の続く埼玉南部。日中はドライヤーのような風が吹いています。

そして先日、ガサガサで変な筋肉を使ったためか腰痛を発生…。

身近な川っぷち観察や川ミミズ観察よりもさらに身近な、道端に落ちている死骸観察を短いお昼休みにしています。

まず、この時期に面白いのは、私は「埋葬蟻」と呼んでいるトビイロシワアリの仕事です。

トンボの死骸の周りに小さな粒々が集まっているように見えると思います。トビイロシワアリという小さなアリは、獲物となる虫の死骸を他のアリなどに取られないように、小さな砂つぶなどで塚を作り、獲物を「埋葬」するのだそうです。

こちらはゴミムシの仲間でしょうか。

これからの季節、大型のセミが埋葬されている姿もたくさん観られると思いますので、ぜひ観察してみてはいかがでしょうか。お時間がありましたら過去のブログもチェックしてみてください(過去ブログ【埋葬蟻】)。

さて。そんな観察をしていますと、とある場所で、カブトムシの成虫の死骸がごろごろ落ちている場所を見つけました。そうですね。2日間で15個体ほどは死骸があったでしょうか。

ほぼすべての個体はこの写真のように、お腹がなくなっています。何者かに柔らかくて美味しい腹だけを食べられた痕なのでしょう。

それを「埋葬蟻」がさっそく埋葬する姿も・・。

だいぶ埋葬されています。

クロオオアリにたかられていました。

腹部を失ったメス。なかにはこの状態でまだ動いているものもいました。

あたりでカラスが鳴きました。

なんとなくですが、知識としてカラスがカブトムシを捕食することは知っていたのですが、これほどまでに1カ所でまとまって食べられているとは・・。そこは雑木林の脇にある小道で、畑が隣接しており、周囲の中ではやや開けた場所。カラスの食事場になっているのかもしれません。

気になってネットで「カブトムシ カラス」と検索してみますと、面白い研究があることを知りました。

東京大学大学院農学生命科学研究科のプレスリリースで「カブトムシを食べたのは誰?」というタイトルで紹介されていた、小島渉さんらの研究です(詳しくはこちら)。

発表のポイントは次の3つだそうです(一部記事を引用させていただきます)。

・タヌキとハシブトガラスがカブトムシのおもな捕食者であることを明らかにしました

・これらの捕食者は、メスよりもオスを、角(つの)の短いオスよりも角の長いオスを多く捕食していました。

・これらの発見は、カブトムシの角の進化に捕食者が及ぼした影響の解明につながる可能性があります。

(引用ここまで)

興味深いことだらけ!

まずカブトムシを食べているカラスがハシブトガラスであること。私の場合、川の観察が多いので身近なカラスはハシボソガラスなのですが、カブトムシを主に食べているのはハシブトガラスなのかと。さらにタヌキも主な捕食者なのかと。

このリリースを読み、いてもたってもいられなくなりもう一度、炎天下に痛い腰を引きずりながら段丘崖を登り「カブトの墓場」を見て確かめてきました。研究によれば、捕食者がタヌキであれば、歯型と思われる小さな穴を残骸に残すのだそう。それを確かめに行ったのです。

道中、ノコギリクワガタのメスの死骸が。暑さにやられたのでしょうか。鳥などに持って行かれなければ埋葬されるはず。後日観察に行ってみよう。

 

羽化に失敗したミンミンゼミ(?)

きれいなタマムシの死骸がありました。見上げるとエノキ。逆光気味に見るとブルーの発色を楽しむことができました。

ちなみにこちらは順光の反射。虹色に輝く川ミミズ同様、タマムシは太陽を当てる向きによって色味が変わるんですよね。

さて。カブトムシを近くで観察。

こちらは栗の皮を剥くように、きれいに傷もなく腹部だけ食べられたオスのカブトムシ。他にも同様に胸部の外殻に傷がないものは2、3例見ることができましたが、いずれもあまり状態がよろしくなくはっきりと判別はできず。

対して、歯型がついたような死骸もありました。

 

これなんてタヌキの歯形っぽいですよね。

バキッと割られたものも・・。

思い出したのは、以前観察したドブガイに付けられた歯型です。

この時の様子は過去ブログ【タヌキ、なのか……?】をご参照ください。 

これらカブトムシの殻に付けられた穴も、やはりタヌキなのかな・・。

いまだともしかすると、アライグマという可能性もあったりするのかしら・・。

ちなみにすぐそばの畑はこんな感じ。

(おそらく)タヌキの足跡が散らばっておりました(手前はカラスかな?)。

定期的に観察してみたいと思います。〈若林〉□

 

PS

角の長いカブトムシのオスがより食べられやすいという内容についても、いろいろと気になることがあったのですが、それはまた次のブログで・・。

 

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