本日は曇り。比較的、明るい穏やかな一日。 昨晩も少し、いつもの二面護岸河川に観察へ‥。 (※今回も出てきます。センシティブなミミズ画像。もうアナウンスしなくてもよいかもしれませんね‥) 昨日のブログ【彼らはなぜ水に入るのか?③】にて二つの妄想仮説を立ててみました。 仮説α:川底の土中(礫中)にいる川ミミズは、時に護岸を這いあがる。 仮説β:川底の土中(礫中)にいる川ミミズと、護岸を這っている川ミミズとは別モノ。 見た目は同じミミズなのですが、川底の土中(礫中)に潜んでいる数に比べて、夜に出てくる数があまりに少ない気がしているのと、夜に護岸に這い出してくるミミズの多くは護岸の隙間から出てくるミミズなのでは・・という疑念が高まり「仮説β」に少し傾いていたのですが‥。 今回、ちょっとあることに思い至りました。 それは同じ夜でも、ミミズの護岸の這い上がり方には違いがあるということです。 断片的な観察なので、まったく確かなことではないのですが、妄言として自分がちょっと信じてみようと思う仮説を改めて立ててみたいと思います。 まず、どのように這い上がり方に違いがあるかといいますと・・ まずこちら。護岸に結構な湿り気のある時のぶっといミミズさん。護岸の隙間の穴から顔だけ出して周囲のコケを食んでいます。この時は雨が降っていたのですが、雨が降ると護岸が濡れますから、より一層、ミミズは護岸を這いまわる‥かと思いきや、そうでもないんですね。こんなふうに、穴から顔だけ出してコケを食んでいるミミズが主に観察できました。 次にこちら。 雨が降らず、護岸も乾いた状態の時に良く見られたミミズさん。 水面近くに這いあがってはいるけれど、濡れていないために上手く登れず、途中でコロンと水中に落ちてしまうミミズもちらほら。そして雨の日よりも川の中を移動しているミミズも多く見られました。 そして最後がこちら。昨晩の様子ですが・・。 雨は降らず、護岸はやや湿りぐらい。乾ききってはいないけど、濡れて艶が出ているほどではない感じ。川の水位は低下。心なしか穴から身体を出し切っているミミズが多く見受けられました(上にいる小さなやつは富山ブラック的なミミズ)。 こんな感じだったり・・ 穴から出てきて・・ 完全に這い出して来たり。 これは細く小さなミミズですが、完全に這い出しているミミズも結構いました。 そして水中でも結構多くのミミズを見ることができました。 水面上に開いている穴から出てきたと思わしきミミズが水中にいました。 そしてそのミミズを含め、興味深いことに、そのまま砂利の中に潜っていったミミズが2匹。それまではどちらかというと護岸の穴の中に戻っていく感じだったので、ちょっと新鮮です。ちなみにぶっといミミズはライトの光をさほど嫌がりませんが(シマミミズなどはとても過敏に反応します)、撮影意外なるべく光を当てないようにして観察しました。 水深がとても浅い所にはぶっといミミズが3匹も川の中(河床の上)におりました。そしてこのあたりには護岸に穴が開いていないのです。上流から移動してきたのかもしれませんが、もしかすると砂利の中から出てきたのかもしれません。そしてあまり登らずに水面近くをうろうろと・・。 時折、登ろうとして・・ 他のミミズとぶつかったりしながら(互いにあまり興味なし)進み・・ 時にのびのびと水中を進んだりしながら・・ 一匹はこんな感じで護岸のスリットを少し登りました。 ちなみにツリミミズ系も珍しく水際に・・。 「水生雪ミミズ」とも思わしき、やつも水中にいました(雪ミミズについてはこちらをご参照ください)。 そして最近はヤスデが多く、そのほか今日はこちら。 川に張り出した樹上もしくは陸上から落ちて死んでしまったセミの幼虫がちらほら。 4匹ほど見ました。
さて。 この日の観察の後、またしても悶々と川ミミズのことを考え続け、ひとつの妄想仮説へと至りました。 こちらです。 これは両面護岸河川におけるぶっといミミズの生活スタイルを表した図です。 ①は雨などで護岸がよく濡れている時のミミズ。護岸の隙間の穴に潜みながら顔だけ出して周囲のコケを食んでいます。②は日中の様子です。おそらく湿った護岸の隙間の穴の中に隠れて明るい日中をやり過ごしたりしているのでしょう。③は雨がしばらく降らず、護岸が少し乾いてきた状態です。昨晩の状態ですね。ここからはかなり妄想なのですが、おそらくミミズはやや「乾き」を感じているのではないでしょうか? できることならば護岸の隙間の穴に体を潜らせながらコケを食んでいるのが一番いいはずですが、雨が降らないと護岸のコケは乾き、おそらく隙間の穴の中も乾いてくるのではないでしょうか。ミミズにとって一番の大敵は「乾き」なのではないでしょうか。雨後に地面に這い出てそのまま干からびて死んでしまうミミズをご覧になったことがある方は想像がつくと思います。彼らは乾いてくると、上手く進むことができなくなり、そのままスタックしてしまうのだと思います。そこで・・④のように、川へと入るのはないでしょうか? 乾きをいやすために。そしてそのまま河床を這い(⑤)、また護岸を這いあがろうともするのでしょうが、乾いているとなると、⑥のように河床の石と砂の間に身を潜らせて日中をやり過ごすのではないでしょうか。そしてまた夜が来ると⑦のように這い出したり、充分にエサを食べていればしばらくはそのまま河床の礫中に潜ったまま数日を過ごすのでは・・。そしてまた雨が降ったりして護岸が十分に湿っているようならば、スリットをよじのぼって⑧のように水面近くの穴に潜りこむのではないでしょうか。 観察をしていてわかったことは、護岸が乾いていると、上手く這うことができずに川にぽちゃんと落ちてしまうことが多いということです。そして護岸が乾いている時はよじ登りづらいということです。 おそらくミミズにとって、最も欠けてはならないものは、湿り気なのではないでしょうか。たとえ護岸の穴に入れば餌はたくさん食べられるとしても、乾いてしまえばそこにいることはできない。川底の礫中は、もしかすると餌は豊富ではないかもしれません。でもそもそもミミズって、毎日食事をとる必要があるのか?と問えば疑問です。ここらへんも裏付けはありませんが、きっと食いだめできるはずです。なので乾きが続く日は川の底で眠るように過ごし、雨が降ったタイミングで這い上がってコケをむしゃむしゃと食むのではないでしょうか。そして都合よくそこに湿った穴があれば、そこにしばらく間借りして、エサをむしゃむしゃと食べ続けるのかと・・。 この妄想仮説は、梅雨の明けるこれからが見ものです。夏も雨は多いので夕立などが護岸を湿らせるでしょうが、雨が数日降らずに完全に護岸が乾ききってしまった時、夜になり護岸に這い上りたいけど這い上れないミミズが多勢川を泳ぐのではないでしょうか・・。 この考えを、近所の川原のある川にあてはめてみます。もしかすると、5月ごろよく水中で観察できていた川ミミズがあまり見られなくなり、代わりに陸地の土中でたくさん見られるようになったのは、雨の多い時期だからなのかもしれません。だからこそ彼らは餌も豊富でなおかつ湿り気もある土中に集まっているのではないかと・・。乾きをいやすために水中に逃げ込む必要がない、というわけです。 ちなみに5月ごろの陸地の土中は観察できてません。5月にも陸地の土中には今と変わらずたくさんの川ミミズがいたのかもしれません。そこらへんもこれからの観察で確認してきたいと思っています。 新たなる妄想仮説X:川ミミズは体の乾きをきらって川に入水する。 この妄想仮説に基づくと、護岸が乾ききった日が数日続いた後に雨などで護岸が濡れた夜、大量のミミズが護岸を這いあがる・・となります。 そもそも、川底に潜っていて、なぜ夜がわかるのか?とか、護岸が濡れているかどうかもわかるのか?とか、観察していない深夜や未明はどうなのか?など、まだまだナゾはたくさんあるのです。果たして・・〈若林〉□
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