今日もとても暑い一日。30℃超えたんじゃないの?という勢いの埼玉南部です。

一昨日にオケラの鳴き声を初感知、昨日は近くでアマガエルとオケラの合唱を聞きました。ウシガエルも鳴いてますね。今日はまだオケラは鳴きません。暑すぎたからなのか、耳が慣れてしまって、実はもう鳴いているのに気づかないだけなのか・・。

 

さて。

近所の川を少しだけ歩いて見ましたところ、ニゴイのペアがおりました。

少しだけカメラを沈めて観察をしてみることに・・。

右が上流側ですが、上流側にメス、下流側にいる黒くて追星の出ているのがオスです。

おそらく千載一遇のタイミングだったのでしょう。オスは盛んに下図のような追い越し行動を行っておりました。

この行動につきましては、過去ブログ【ニゴイはやっぱサーモン】をご参照ください。

それによりますと、この行動は【産卵が近づいた段階で見ることのできたオスの追い越し】でございます。

おそらく‥ですが、サケマスでいうところの、オスが身体をブルブルさせながらメスにこすり付ける「求愛行動」相当のアクションなのではないかと思います。

オスが追い越し行動をしているところ。

そして、実際に今回も‥

上図のワンツースリーを見事に行い、産卵・放精を水面上から観察することができました(写真はナシ。そんなに上手くはいきません‥)。

極めて幸運に恵まれたタイミングでした。

偶然見つけたペアが産卵直前だったのです。

ですが、産卵・放精よりも、今回はもっと個人的に興奮する発見がございました。個人的に‥。

それは「ニゴイとサーモンとの根本的な違い」でございます。

以降、文字ばかりとなりますが、ご容赦ください‥。

 

まず、サーモンことサケマス類ですが、ざっくりと簡潔に言うと、メスが産卵床を掘って、そこにオスが入ってきて産卵・放精を行います。

この場合、「場所」にナワバリを持つのはメスであると思っています。

サケマスのメスにとって、産卵床を造る場所はとても大切なようで、シロザケやカラフトマスなど密に産卵床を造る種の場合、メス同士がお互いに場所を巡って追いかけや咬みつきなどアグレッシブな行動を取るほどです。

「場所」にナワバリを持っているため、そこにオスがいなくても、産卵前メスは産卵床に固執して、ナワバリを守っているような行動を示します。

対してサケマスのオスは、あまり場所に固執しているようには見えません。それよりも、オスにとっては「産卵間近なメス」が大切なようで、他のオス(来遊オス)が紛れ込んでくると、必死にメス来遊オスとの間に身体を入れてきたり、盛んに追いかけや咬みつきなどアグレッシブな行動を取るのです。

そしてメスがいなくなってしまえば、その「場所」には興味がないため、オスはいなくなってしまうのが常です。

 

ところが今回、産卵・放精を行ったニゴイのオスをそのまましばらく観察していましたところ、なんと先ほど産卵・放精をともに行ったメスを追い払った(ように見えた)のです。結果として、メスは産卵した場所から去り、オスだけが残りました。そしてサケではほとんど見られない、「場所」を守るためのナワバリ行動を見せるようになったのです。

仮に産卵・放精を行ったオスを「ナワバリオス」と呼びましょう。

その場所の半径2mほどには「ナワバリオス」の他に、オスが3匹ほどいました。そしてナワバリオスは、盛んに近づいてくる他のオスを追い払う行動を取り続けたのです。メスはいないのに。

そもそもこのナワバリオスは40㎝ほどあり、その場では大型なオスでしたから、それよりも小さな周辺のオスを蹴散らし続け、時に同じぐらいの大きさのオスにも果敢に攻撃行動を仕掛けておりました。

で、30分もした頃でしょうか‥。下流から小さなメスがやってくると、そのメスを相手として向かい入れ、追い越し求愛行動を始めたのです。

おそらく・・ですが、ニゴイの場合、メスは産卵床を掘り返すことはしませんので、「良い場所」「オス」そして「自身のコンディション」。この3条件が満たされると産卵を行うのではないでしょうか。そして強いオスにとっては、良い場所をしっかり確保することで、あとは産卵できるコンディションの整ったメスを待てばいい状態を断思っているのではないかと思いました。

瀬で追星の出ている真っ黒な元気満々のオスはいったい何をしているのだろう?・・と考えていたんです。時折、砂利を口でもぐもぐやっているから、おそらくニゴイやマルタウグイの卵を食べるために、そこにいるのだろうと考えていました(ブログ【エッグイーター】参照)。過去ブログでは「卵食いついでにメス待ちしている」なんてことを書きましたが、「メス待ちしているついでに卵食い」と改めたいと思います。

ちなみに過去ブログ【ニゴイがまた少し】では、メスが先にいて、そこにオスがあとからやってきたように書かれています。これにつきましては、おそらくカメラを入れる際におどかしてしまって下流の深みにオスメスともに逃げ込んだものが、メスのほうが先に戻ってきただけ・・であると考えています。

最初にニゴイの産卵・放精を観察した日のペアは、【ひそひそパラレルドリフト】(下図・過去ブログ【ニゴイはやっぱサーモン】参照)など、産卵・放精に至る前に、面白い行動をしばらく見せてくれていましたが、これは「良い場所」「オス」という2条件はそろっているけど「自身のコンディション」が整っていない状態なのだと思います。とても美しい行動です。

そんなわけで、偶然出会うことができた「強いオス」によって、あくまでも現時点での推定ではありますが、サーモンとの根本的な違いを知ることができた気がします。

さらなる疑問としては‥。そこにもう一匹、メスがきたら、どうなるんだろう‥ということ。

メス同士は「良い場所」と「オス」を巡って、アグレッシブな行動を見せたりするのかどうなのか‥。

 

いやぁ‥ニゴイって、本当にいいものですね!

 

最後にもう一枚。

数日前から水面上で、観察はしておりましたが、アユの遡上をしっかりと確認することができました。写真はニゴイのメスに睨まれて?慌てているアユでございます。〈若林〉□

 

★RIVER-WALK Vol.1~Vol.3発売中です!★